前回配信のVOL.1に続き、今回はテーマ1:成功・成長企業に共通するのは「◯◯」だ!の第2弾として「成功・成長企業に共通する『目標設定』」についてお伝えします。
目次
目標の前にまずは「事業計画」
前回お伝えした「経営理念とコンセプトを紐づけた経営」を進めるにあたり、重要なことが「事業計画」です。
そのうち、3~5年後にどういう規模や社員待遇にしたいかを表したものが[中期計画]。そのために今年度何を大切にするかを表したものが[単年度計画]です。
計画と聞くと絵に描いた餅になりがちで「どうせ計画だから……」という意見をよく耳にします。
確かに、100%計画通りに進むことはほとんどないかもしれませんが、私はそれで良いと考えています。
大切なことは「計画や理想の姿に近づける努力」です。
計画実行の節目節目で、できた要因・できなかった要因を振り返り、社長の想いと社員の想いを合わせながら、やること・やめることを決めていく。
このように行動・実践できるかどうかが重要だと考えています。
例えば『3年後には社員の平均年収を現在の500万円から800万円にしたい』
このような中期計画を立てた会社で、現状との差である300万円を埋めるためには何が必要でしょうか?
300万円の粗利を増やしただけではダメですよね。
仮に粗利を1,000万円増やすとします。基本的な対策は客数を増やすか、客単価を増やすかになりますが、平均の粗利額が1台15万円とすると、年間で67台、月間では約6台の販売数アップが必要です。
それに伴い、毎月6台多く販売するための計画を、3W1H(いつ・だれが・何を・どうやって)に沿って立案・落とし込みます。
また、定期的な振り返りの際は注意が必要です。
縦社会の会社が多い業界でもあるため、一歩間違えると単なるあら捜しや吊し上げとなってしまい、主旨とは異なる結果になってしまうことも……
あくまで計画達成を目的とした情報共有や改善項目の洗い出しのために振り返りを行うことを社員の方に伝えておきましょう。
目標設定・現場の活動数字への落とし込み
計画の中で必要となってくるのが数値目標です。
ある社長に来年の目標を尋ねたところ
「昨年は110台売ったから、来年は121台。成長性は110%で!」
このような答えが返ってきました。
さらに、その根拠や理由を尋ねてみると
「台数は落としたくない。勢い。何となく……。」という回答でした。
社長の気持ちはわかるのですが、目標の設定方法は本当にこれで良いのでしょうか?
経営で重要なのは売上ではなく利益です。
そして、目標として掲げたその利益に妥当性があるか、経営者は把握しなければいけません。
利益の妥当性:必要利益(借入返済・内部留保・昇給原資・投資関連・納税など)を加味した純利益をいくら残すか?
簡単に説明すると【純利益+固定費】が目標粗利となります。そして、目標粗利を達成するには、粗利率を改善するか売上を増やさなければいけません。
売上アップで目標粗利を達成する場合、先の例では「年間で67台、月間では約6台の販売数アップ」が必要でした。
これをどのように現場の活動数字(数値目標)に落とし込めば良いでしょうか?
仮に、
成約率が50%であれば、12組への見積が必要です。
見積率が50%であれば、24組との商談が必要です。
商談率が50%であれば、48組との接点が必要です。
上記を鑑み具体的な現場の活動数字へ落とし込みましょう。
48組との接点は既存顧客への電話から10組、
チラシで10組、WEBで20組、SNSで8組つくる!
まずは、既存顧客から10組の接点をつくるために
5年以上前の顧客100組に架電する!
目標設定・現場の活動数字への落とし込みは、このように考えれば難しくありません。
会社→部門→個人→行動へと関連付けて活動計画・目標を設定する。そして、節目節目で計画進捗を振り返る。
いかがでしょうか?これが成功・成長企業に共通する『目標設定』の秘訣です。
自動車販売・修理業特別コラム
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NBCコンサルタンツ株式会社
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