会社経営では、利益のために事業の方向性や目標を立てることが重要です。会社が継続的に利益を出しながら成長していくためには、経営計画と経営戦略が欠かせません。
経営計画と経営戦略という名前自体は知っているものの、それぞれの違いがよく分からない方も多いのではないでしょうか。経営計画と経営戦略は役割が異なり、策定する順番を理解することで自社の方向性や指標が定まりやすくなります。
当記事では、経営計画と経営戦略の違いや策定方法を詳しく解説します。自社を成長させたいと考えている方はぜひご覧ください。
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目次
1.経営計画と経営戦略はどう違う?
経営計画と経営戦略は似通った言葉ですが、意味合いが異なるため注意が必要です。経営計画は、経営戦略が決まった後に立てられるため、経営戦略を構成する概念の1つと言えます。
ここでは、経営計画と経営戦略の意味を解説します。どちらも企業の経営において大切な知識のため、言葉の違いを理解しておきましょう。
1-1.経営計画とは?
経営計画とは、事業を成功させるために、経営理念や経営戦略に沿って計画を立てることを指します。社会情勢の変化や競合の動きなど、変化の早い世の中だからこそ、事前に経営計画を立てることが重要です。
また、具体的な経営計画を立てると、経営者が考えている構想を他人と共有でき、社内で一体感が生まれたり、組織の方向性が定まったりと多くのメリットがあります。
経営計画は、期間によって以下の3種類に分類されます。
項目 | 長期経営計画 |
---|---|
内容 | 企業の将来の経営ビジョンを定める |
期間 | 5~10年 |
項目 | 中期経営計画 |
---|---|
内容 | 目指すビジョンと現在の状況とのギャップを埋める計画 |
期間 | 3~5年 |
項目 | 短期経営計画 |
---|---|
内容 | 数値などを使用し、経営計画を達成するための具体的な業務の内容を示す |
期間 | 1年 |
1-2.経営戦略とは?
経営戦略とは、企業全体が継続的に生き残りながら成長するための方針や計画です。具体的には、定められた経営理念を実現するために、中長期的な目標やゴールを定め、人材や資金といった経営資源の運用方法を考えるのが一般的です。
バブルの崩壊や少子高齢化、国際競争の激化など、日本の経済状況は日々変化しています。変化する経済環境の中で生き残るには、具体的な計画や戦略を打ち出し、競合他社よりも早く実現していくことが大切です。
2.経営計画を立てるために重要な経営戦略と経営理念
経営計画は、経営理念と、経営理念をもとにした経営戦略をベースにして作成されます。経営理念と経営戦略は、今後の経営方針を決める大事な要素です。そのため、それぞれを自社にとって最適な形で策定することが大切です。ここでは、経営理念と経営戦略、経営計画をどのように決定すればよいのか解説します。
2-1.経営理念を策定する
経営理念は、会社を知り尽くし、未来を見据えている創業者または経営者が策定するのが一般的です。特に中小企業や個人事業などは、経営者の熱意を社員に伝えたり、行動指針を示したりするために経営理念を明確にすることが重要です。経営理念は社内外に会社の存在意義を広く知ってもらうために策定するため、分かりやすく、心に響くものにしましょう。
経営理念を策定する方法を、以下で解説します。
1 | 基本となる3つの要素を書き出す |
---|---|
経営理念には、基本となる3つの要素があります。
上記の3つの要素に対して会社の考えを立案し、経営理念の土台を作ります。 |
2 | 伝えたい順番に並べる |
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書き出した3つの要素を短く分かりやすい言葉にして、伝えたい順番に並べ替えます。有名企業の経営理念では、従業員や顧客に向けた内容が多く、利益の優先度は低い傾向です。伝えたい順番が決められない場合は、経営者の熱意が伝わり、社会への貢献度を示す内容を優先して作成するのもおすすめです。 |
3 | 数種類のパターンを作成する |
---|---|
伝える順番が決まれば、次は言葉を変えながら数種類のパターンを作成します。日本語は、同じ意味の言葉でもさまざまな言い回しができます。文章に改行を入れたり、漢字をひらがなに書き換えたりなど、文章全体が伝わりやすいように工夫しましょう。 |
4 | 人に見てもらう |
---|---|
経営理念を確定させる前に、人に見てもらい、理念の意味や思いが伝わるかどうか確認することが大切です。経営理念が伝わりにくい場合は、何度も推敲を重ねましょう。 |
経営理念の変更は、簡単にはできません。しかし、企業の成長のためには、変動の激しい社会情勢に合わせて、経営理念を見直したほうがよいケースもあります。
2-2.経営戦略を立てる
経営戦略は、会社の最終的な目標達成のために、経営資源の運用を明確にするのが目的です。
経営戦略と似た言葉で「経営戦術」がありますが、2つの言葉には規模や具体性に大きな違いがあります。戦略は、物事を大きく捉えて計画を立てることを指し、戦術は小さな視点で物事を見て、具体的な計画を立てることです。経営戦略は、経営戦術と比べると抽象度の高い計画と言えるでしょう。
経営戦略は、以下の3つに区別されます。
全社戦略(企業戦略) | 会社全体でどのように成長するのか、複数の事業を俯瞰して作成する戦略。 |
---|---|
事業戦略 | 全社戦略を決定した上で、事業ごとに、市場の選定や事業モデルを設定する戦略。 |
機能戦略 | 研究開発や営業、販売など、企業の事業を細分化して最適化を図る戦略。 |
経営戦略を立てる手順は、全社戦略を策定後に事業戦略を作り、最後に機能戦略の作成に取り組むのが一般的です。
経営戦略を立てる際には、成功している企業を参考にするのもおすすめです。多くの企業が採用している分析方法や戦略内容などを参考にすると、社内外に分かりやすい経営戦略を作成できます。多くの企業が使用しているフレームワークには、以下のような種類があります。
SWOT分析 | 事業戦略を作成する際に使用されるフレームワークです。強み・弱み・機会・脅威の4つに分けて企業を分析し、事業の改善ポイントを洗い出します。 |
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PEST分析 | 自社を取り巻く外部要因を把握し、予測するための分析です。事業戦略の市場を大きな視点で分析する際に用いられるケースが多い傾向にあります。 |
アンゾフのマトリックス | 全社戦略を策定する際に使用され、市場浸透・新商品開発・新市場開拓・多角化の4つに分けて自社の成長戦略を作成します。 |
自社の強みや立ち位置に合わせてフレームワークを活用し、最適な経営戦略を立てましょう。
2-3.経営計画を立てる
経営理念、経営戦略の策定完了後、目標達成のための方法を決める「経営計画」を立てます。経営計画は、社内外の人間に公表して周囲の協力を得たり、組織として連携したりすることを目的に作られます。そのため、どのような人が見ても分かりやすい内容にすることが大切です。
経営計画を立てるには、以下の4つのステップがあります。
- 1.自社のことを理解する
- 2.自社を取り巻く環境を把握する
- 3.将来の目標を決定する
- 4.目標達成のための方法を決める
経営計画策定後は、期日などの数値目標を定めて実践します。社員全員に経営計画の内容を共有し、役割を分担します。その後は担当者と細かいタスクを設定し、定期的に進捗を確認しましょう。担当者と密に連絡を取り合うことで、経営計画の早期見直しや経営計画の効率化を図りやすくなります。
まとめ
社会情勢が日々変化する中で、企業が継続的に利益を出すためには経営計画と経営戦略を立てることが重要です。経営計画と経営戦略は、言葉は似ているものの、目的や内容が異なります。経営計画と経営戦略の違いを理解しておけば、自社が継続的に発展・成長していくための手助けになるでしょう。
また、経営計画は、経営状況の改善や新規事業の立ち上げにも役立ちます。自社の強みや弱み、特性を把握した上で最適な計画を立てて実行に移しましょう。
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