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経営計画書は必要?作成するメリットと活用方法を紹介

2022.12.23

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経営計画書を作成しようと思っても、作成することのメリットや活用方法が分からない方も多いでしょう。経営計画書は自社の将来的なビジョンや目標を明確にし、経営理念を実現させるために重要な役割を果たします。また、作成後は月次決算や日々の打ち合わせなど、さまざまな場での活用が可能です。

今回は、経営計画書を作るメリットや活用方法、間違われることが多い事業計画書との違いについて解説します。企業としての目標や目的を達成するために、経営計画書の必要性を知っておきましょう。

目次

1.経営計画書とは?

経営計画書とは、自社の経営理念や目標を明確化し、目的を実現させるための手段です。

経営計画書を作成することで、社内の意思や方針を統一しつつ、取引先や出資者といった社外の関係者とも企業の方向性を共有できます。企業の設立時はもちろん、新規事業の立ち上げや事業展開を行う際などは、都度経営計画書の見直しを行うことが大切です。

経営計画書は企業によって盛り込む項目や内容は異なりますが、おおむね下記の7項目から構成されます。

方針

  • ミッション(使命感)
  • 経営理念
  • 経営基本方針
  • 個別方針
  • 中長期計画

数値

  • 当期経営目標
  • 当期数値目標

1-1.事業計画書との違い

経営計画書と混同されやすいものの1つに、事業計画書があります。事業計画書は企業の商品開発・展開やサービスなど、事業一つひとつに対して作成し、事業ごとの方向性などを定める計画書です。事業計画書は、主に下記のような項目が該当します。

  • 損益計算書
  • 貸借対照表
  • キャッシュフロー計算書
  • 借入金返済計画書
  • 経営改善計画書
  • 投資計画書

事業計画書の内容は金融機関にとっても非常に重要なチェックポイントであり、融資を受ける際の審査には欠かせません。

経営計画書は企業の経営計画に基づき、全社的な方針・理念を大枠で示す計画書です。対して事業計画書では、経営計画を実現するために必要なアクションプランを具体的に記します。

地図で言うなら経営計画書は目的地であり、事業計画書は経路に当たると考えればよいでしょう。

2.経営計画書を作るメリット

経営計画書を作るメリットはいくつかありますが、特に下記の2項目が代表的です。

企業の将来を見通せるようになる

経営計画書を作成することで、「企業がこの先どのように成長していくか」「どのように変化することが好ましいか」といったビジョンを見通すことができます。経営計画書では、企業が目指す今後の方向性・数値目標・目標達成によって得られる未来像を具体化して示さなければなりません。

企業の未来を計画書へ明記するためには、現状を客観的かつ正確に分析・把握した上で、5年後、10年後に向けた経営戦略を立てる必要があります。100%予測できるわけではありませんが、あらゆる事象や変化を仮定しておくことで、突発的な事態の発生にも対策が取りやすくなる点も大きなメリットです。

従業員や社外の関係者と方針の共有ができる

経営計画書には、従業員や社外の関係者と方針の共有が容易になるメリットもあります。経営者や従業員それぞれの頭の中だけで描いた企業の将来像や目標が、完全に一致することはありません。企業の方向性や目標を経営計画書に明記することで、社内の目的意識を統一し、一丸となった事業の推進が可能となります。

また、取引先や出資者へ経営計画書を提示すれば、数値を伴わない勝手な憶測や推測で企業の評価が下落する可能性も低くなるでしょう。経営計画書が実現性の高い内容であると評価されれば、金融機関の審査に通りやすくなる・新たな出資者を募る際に有利に働くといったケースも珍しくありません。

他にも、企業の方向性が定まることで社員のやる気がアップしたり、事業承継がスムーズに行えたりするメリットもあります。

3.経営計画書の活用方法

経営計画書を作成すると、さまざまな場面で活用できます。工夫次第でいかようにも可能性は広がりますが、特に代表的な経営計画書の活用方法は下記の4つです。

  • 経営計画発表会を行う
  • 月次決算に役立てる
  • 日々の打ち合わせで使用する
  • 補助金・融資を申請する際の資料として使用する

ここでは、経営計画書作成後の活用例を4つ紹介します。

3-1.経営計画発表会を行う

経営計画発表会とは、経営計画の達成状況を報告するとともに、社長自身が描く企業理念や未来像、将来の目標に向けた事業展開の方針を従業員に発表する場です。従業員だけではなく、取引先や金融機関の関係者も招いて行うケースもあります。経営計画発表会を実行することで、下記のような効果が期待できるでしょう。

  • 経営者自らの考え方・意思・決意を伝えられる
  • 企業のゴールイメージ・目標・方向性を共有できる
  • 企業の理念・価値観を浸透させられる
  • 従業員に人事評価制度の目的・役割を理解してもらえる
  • 経営陣と従業員のコミュニケーションの場になる
  • 企業への帰属意識向上や事業へのモチベーションアップにつながる

経営計画書を作成しても、机や棚にしまったり壁に貼り出したりしているだけでは、さしたる効果が得られません。経営計画書を作成したら、経営計画発表会を行って経営計画を周知することが重要です。

経営計画発表会についてさらに詳しく知りたい場合は、下記のリンク先もご参考ください。

3-2.月次決算に役立てる

経営計画書の内容・目標と月次決算の実績を比較検討し、目標の達成状況と現状の原因を数字で理解できれば、計画と現状のギャップに気付きやすくなります。

経営計画書の当期数値目標は、月次決算の12回分です。例えば、月次決算における結果が経営計画の12分の1を達成できていない場合、実施中の施策に問題が発生している可能性があります。あるいは、計画の目標自体が高すぎる可能性も否定できません。毎月の結果や利益が右肩上がりに成長していれば、現行の計画で目標を達成できるケースもあるでしょう。

企業の現状を正確に把握しつつ、解決すべき課題を早期に発見するためには、経営計画書と月次決算書の対比が大いに役立ちます。

3-3.日々の打ち合わせで使用する

経営者の望む方向に企業が成長するためには、経営理念や基本方針が社内に浸透していなければなりません。経営計画書は、企業の経営理念や基本方針、中長期計画が記されているものです。内容自体は大枠となるため、日々の打ち合わせのように細々とした仕事で使うものではないように思えます。

しかし、小さな会議や細かな意思決定の積み重ねによって左右されるのが、企業の経営状況です。打ち合わせや会議における判断基準に経営計画書を用いれば、企業の方向性とブレの少ない適切な判断を下せるようになります。また、日常業務の中で経営計画を意識する機会が増えることで、経営理念の自然な浸透も期待できるでしょう。

3-4.補助金・融資を申請する際の資料として使用する

国や自治体からの補助金・金融機関などからの融資を受ける際は、さまざまな書類が必要となります。提出を求められる書類の中には事業計画書も含まれており、基本的に必須の書類と言えるでしょう。

特に審査へ大きく影響を与えるのは決算書ですが、事業計画書の内容も補助金・融資の可否を判断する材料として重要です。事業計画書に説得力があり、将来性が見込めると判断されれば、多少決算書の印象が悪くても「融資する価値がある」と認められるケースは珍しくありません。そして、補助金や融資を申し込む相手によって、効果的な事業計画書の内容は異なります。

会社の方針を示した経営計画書を作成しておくことで、融資の下りやすい事業計画書がスムーズに作成できるでしょう。

まとめ

自社のあるべき姿を明確にして、目的を実現させるには経営計画書が必要です。経営計画書を作成すれば、社内での意思統一ができるのはもちろん、事業計画書の作成にも役立ちます。自社をさらに発展させたい経営者は、経営計画書を作成することで自社のビジョンを見通すことができるでしょう。

また、経営計画書は、月次決算や日々の打ち合わせの場でも活用できます。自社の目標が明確化できること以外にもメリットがあるので、ぜひ経営計画書の作成を検討してみてください。

(令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成)

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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