シリーズでお伝えしています経営計画書の作り方。今回は月次資金繰り表について解説します。
目次
〇経営計画書_ひな形_目次
1〉企業概要
1-1 企業の概況
1-2 課題・問題点【ポイント1】
1-3 経営改善計画の骨子
2〉企業集団の概要
3〉ビジネスモデルの概要【ポイント2】
4〉計画の概要
4-1 数値計画・具体的施策
4-2 経営改善計画に関する表明事項・具体的施策の実施計画
5〉数値計画
5-1 貸借対照表計画
5-2 実態バランスの確認
5-3 要償還債務償還計画・実質債務超過解消計画
5-4 借入金返済計画
5-5 CF計画【ポイント3】
5-6 損益計算書計画
5-7 売上・粗利計画【ポイント4】
6〉月次資金繰り表【ポイント5】
月次資金繰り表の目的は『ざっくり説明する』
月次資金繰り表の目的は『年間での各月の資金繰りをざっくりと説明すること』です。ここでのポイントは、『ざっくり』ということです。
資金繰りは、業種業態によって、大きく二つに分かれ、受注型の業種とそれ以外の業種になります。
受注型の業種
受注型の業種として、建設業が代表的な業種となります。
全社での売上収入・仕入支出の流れを、各工事の実行予算(売上収入・仕入支出の累計)の積み上げで表します。
それ以外の業種
それ以外の業種として、小売業が代表的な職種となります。
過去数年の売上実績、仕入実績等を根拠に算定した、当年の売上予測・仕入予測から資金繰りを検討します。
業種形態による資金繰りの精度の違い
資金繰りの精度(ぶれ)についてまとめると、以下のようになります。
受注型の業種 | ◎ 受注済の工事に関しては、比較的資金繰りの予測が立てやすい。 |
それ以外の業種 (例:小売業) |
△ 日次資金繰りは、当日の天気・広告等によってぶれる。 |
受注型の業種 | × 各工事の受注の成否・受注時期によって、資金繰りが大きくぶれる。 |
それ以外の業種 (例:小売業) |
〇 繁忙期・閑散期の傾向は、大きくはぶれない。 |
経営計画での計画期間は、概ね3~5年程度ですので、
上記の「資金繰りのぶれ」を考慮すると、
計画期間内の資金繰りを正確に把握することはほぼ不可能です。
そこで、必要になる考え方が、上記の『ざっくり』です。
小売業を例とすると、月次資金繰り表では、過去数年の月次売上・仕入の実績(季節指数)を踏まえて、
『資金が最も厳しくなるのは、毎年、7月と11月です。繁忙月となる夏休み、年末年始に係る仕入が先行して発生するからです。』といった内容が、ざっくり説明できるようにすると良いでしょう。
季節指数を使った月次資金繰り表
季節指数を使った月次資金繰り表のサンプルは以下です。条件は以下
- 7月…賞与資金、8月仕入資金としての借入
- 11月…12月仕入資金としての借入
- 季節指数→平均売上・仕入/月を1とした場合の各月の売上・仕入
項目/月 | ~ | 7月 | ~ | 11月 | 12月 | |
月初残高 | 26 | 33 | 9 | |||
売上収入 | 106 | 106 | 170 | |||
仕入支出 | 104 | 125 | 103 | |||
営業収支 | -38 | -44 | 27 | |||
借入金 | 借入 | 25 | 25 | |||
返済 | 5 | 5 | 5 | |||
経常収支 | -18 | -24 | 22 | |||
月末残高 | 8 | 9 | 31 | |||
売上季節指数 | 0.94 | 0.94 | 1.5 | |||
仕入季節指数 | 1.3 | 1.50 | 1.2 |
経営計画書の作り方関連記事
経営管理関連記事
- 詳細を見る
PMI(M&A後の経営統合作業)とは?M&A実施後のプロセスと成功させるためのポイント
- 詳細を見る
経営計画と経営戦略の違いとは?経営で重要な「理念」についても解説
- 詳細を見る
経営計画書は必要?作成するメリットと活用方法を紹介
- 詳細を見る
経営計画書の書き方を解説|記載したい項目と作成時のポイントも
- 詳細を見る
経営計画は策定したほうが良い?策定の流れやポイントを解説
- 詳細を見る
経営計画の立て方を分かりやすく解説|経営計画を立てる際の注意点も
- 詳細を見る
経営計画発表会は開催した方がよい?メリット・成功させるポイントも
- 詳細を見る
中期経営計画は必要?目的と策定のポイントを解説
- 詳細を見る
経営計画とは?経営計画を立てる目的と必要なタイミングを解説
- 詳細を見る
経営計画書の作り方~売上・粗利計画
この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
NBCコンサルタンツ株式会社は1986年の創業以来、会計事務所を母体とする日本最大級のコンサルティングファームとして数多くの企業を支援しております。4,290社の豊富な指導実績を持つプロの経営コンサルタント集団が、事業承継、業績改善、人材育成、人事評価制度など各分野でのノウハウをお届けします。