今回はテーマ1:成功・成長企業に共通するのは「◯◯」だ!の最終回として第5弾「成功・成長企業の『人財育成』」についてお伝えします。
目次
NBCでは、会社にとってなくてはならない財産のような存在を、人材ではなく“人財”と表します。
成功・成長企業にはこの“人財”が溢れています。皆さんの会社はいかがでしょうか?
“人財”を育てられていますか?
超売り手市場・採用難時代においては
「なかなか良い人が採用できない……」という声をよく耳にします。
確かに、外部環境も一因ではありますが、それ以前に「良い会社になっていない」ということかもしれません。
良い会社には良い人財が集まり、お客様もしっかりと付いてきます。
そして、良い会社であるためには、コンセプトをしっかり定めて、お客様イメージを明確に描き、お客様のために活動することを繰り返す……この道のみです。
先日、支援先のある店舗で見かけた光景です。
営業マンが店頭でプリウスを見かけたお客様と商談を行っていました。下取りもあり、安めで状態の良い1台だったことも相まって、お客様はあっさりと契約。商談時間は約30分でした。
一見、何の問題もないように感じるでしょう。
しかし、私はお客様が帰られた後、営業マンに質問をしてみました。
(前川)「なぜプリウスだったんですか?」
(営業)「燃費が良い車が良かったそうです。」
(前川)「そうでしたか。ちなみにあのお客様は、どういう時に車を使われるんです?」
(営業)「それは……。」
(前川)「燃費の良さなら、他のハイブリッド車も候補に上がりますよね?」
つまり、営業マンは目の前の実績づくりに走り「お客様のことを知ろうとする、考える」という接客ではなく、「売りやすいものを売る」接客を行ってしまったのです。
今回は、たまたま話が早いお客様だったのでスムーズに進められたかもしれません。
しかし、このお客様は次の機会もこの店を利用してくれるでしょうか?何かそれだけの「印象・感動」を与えられたでしょうか?
もしも、この営業マンに「お客様のことよりまず実績」という考え方・接客が根付いてしまったら、いつまで経っても、今回のようなラッキーパンチ的な実績しか取れなくなってしまいそうです。
実際に、お客様のことを考えた接客指導までできているお店は少ないです。
「時間をかけて接客しましょう」という短絡的なことではありません。目標は必要ですが、目的を外した育成には要注意です。
“人財”を強化する
ある大手ディーラーの話ですが、チラシや雑誌、WEB媒体の広告すべてを休止することにしました。
当然、営業サイドからは大ブーイング。それでも断行しました。
広告には“原因を外に求める”隠れた落とし穴が潜んでいます。
「広告を出しても売れないのは、設定価格が高いせいだ。」
「広告のデザインが悪かったよな……。」
「競合の○○と広告がバッティングしちゃったしなぁ……。」
売れない原因をすべて外に求める「他責」思考。これが広告の怖いところです。
さて、広告をすべて休止したこの大手ディーラーは、営業労力を顧客訪問に費やしました。
お客様の直接訪問を繰り返していると、他社ではこのような接点づくりをしていないこともあり、お客様の評判がうなぎのぼり!
営業マン達も「電話では断られていたお客様も会えば話ができる」とはっきり分かってきました。
しかも、実際に顔を合わせて話ができれば、お客様の細かい好みもよりよく分かり、それにマッチした応対・行動ができます。
営業マン達は、次々と「お客様に喜んでもらえた経験値」を増やしました。そしてさらに、その経験を社内で共有するようにもなりました。
結果、この大手ディーラーは、広告を使わなくても、以前と変わらぬ売上を残せたのです。
そればかりか、広告宣伝費をかけなかった分、営業利益が倍増し、決算賞与として社員に還元することもできました。
当然、社員のモチベーションはぐっと上がり、自社の方針である
「お客様としっかり向き合う=“本来やるべきこと”に時間を使う」
を理解・体感し、翌年はさらに頑張ることができます。
ポイントは次の3点です。
- 1)成功体験
- 2)社内共有
- 3)やるべきことだけをやる
今はWEB広告を復活させていますが、基本であるこの3点だけは外さないように営業マンたちを教育しています。
まとめ
上述の大手ディーラーは、広告を出すことが当たり前となっていて、そこに工夫も想いも入っていませんでした。
当たり前になっていることこそ、疑ってみなければなりません。
惰性になっていないか?
工夫できることはないか?
そこに想いはあるのか?
お客様に寄り添っているか?
道徳のようですが、このようなところからの教育が、社員一人ひとりの「想い」や「経営理念」の詰まった対応へとつながるのではないでしょうか。
このような対応ができる人財であふれる会社は最強です。
【目的・目標を共有して、自立・自律・自責の風土となる】
これこそが、本コラムのテーマ1:成功・成長企業に共通するのは「◯◯」だ!の結論です。
次号からは、テーマ2:“管理の利益”で勝ち組企業へ!についてお伝えします。どうぞお楽しみに!
「自動車販売・修理業」特別コラム
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
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