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やり抜く力(GRIT)とは?高めるメリットと伸ばす4つのステップ

2023.05.10

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「やり抜く力」が話題となっています。なぜなら、大きな成果を上げるためには、生まれつきの才能や資質よりも「やり抜く力」が重要だと判明したからです。

今回は、「GRIT(グリット)」理論の提唱者である、アメリカのアンジェラ・ダックワース氏が2016年に出版した書籍「やり抜く力GRIT(グリット)」を参考に、「やり抜く力(GRIT)」とは何か、伸ばし方・ポイントをご紹介いたします。

書籍:
『やり抜く力 GRIT(グリット)
 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』
著:アンジェラ・ダックワース(ペンシルベニア大学教授(心理学部)・心理学者)・神崎朗子 訳/ダイヤモンド社

https://amzn.to/3hb11DZ

なぜ「やり抜く力」が大事なのかが、大変わかりやすく書かれています。「やり抜く力」を身につけたい人は、ぜひこの本を読んでみてください。

目次

やり抜く力(GRIT)とは?

ダックワース氏が提唱したGRITは、日本語ではやり抜く力と定義されている言葉です。以下の4つの頭文字を取って「GRIT」と呼ばれています。

  • Guts(ガッツ)
  • Resilience(レジリエンス)
  • Initiative(イニシアチブ)
  • Tenacity(テナシティ)

各要素の意味は以下のとおりです。

Guts(ガッツ)

Guts(ガッツ)とは、困難な状況に立ち向かう力のことです。例えば、難易度が高い業務や異なるジャンルの業務を任されたとしても、逃げずに挑戦しようとする人や、さまざまな困難に立ち向かい続けられる人はGutsが高いと言えます。

Resilience(レジリエンス)

「回復力」や「立ち直る力」と直訳されるResilience(レジリエンス)は、失敗しても最後まであきらめずに粘り強く続ける力のことを指します。

ビジネスでは、成功だけでなく失敗することも多くあります。そのため、失敗してもあきらめず何度でも挑戦する粘り強さを持たないといけません。成功するまでやり続ける状態を維持できる人はResilience(レジリエンス)が高いと言えます。

Initiative(イニシアチブ)

Initiative(イニシアチブ)とは、自ら目標を見つけて取り組む自発性のことです。上司から与えられた仕事という受け身の姿勢ではなく、自ら行動することができる人は、Initiative(イニシアチブ)が高いと言えます。

Tenacity(テナシティ)

「執念」や「粘り強さ」と直訳されるTenacity(テナシティ)は、最後までやり遂げる力のことを指します。難しい業務を避けたり、失敗したらすぐにあきらめたりしてしまう人がいますが、それでは成長できません。困難な仕事でも放棄しない人はTenacity(テナシティ)が高いと言えます。

やり抜く力の例

書籍内で取り上げられている3人のレンガ職人という話をご存じでしょうか? ある人が、教会を建てているレンガ職人3人に対し「何をしているのですか?」と問い掛けます。すると、三者三様の答えが返ってきます。

 1人目の職人「レンガを積んでいるんだ。」
 2人目の職人「教会をつくっているんだ。」
 3人目の職人「歴史に残る大聖堂をつくっているんだ。」

同じ仕事をしていても、その仕事に大きな意義が感じられるかどうかは人によって異なります。

1人目の職人にとって、レンガ積みは単なる「仕事」を意味します。
達成感・やりがいなどは生きていくために必要ないと、時間を切り売りし、ただ作業するだけの無機質な労働者になってしまっています。

2人目の職人にとって、レンガ積みは「目標」「キャリア」を意味します。
目の前に目標がある内は、その目標に向かって前向きに没頭することもでき、一時的には充実感や達成感を味わえます。

しかし、その先にある目的(あるべき姿)がないと、次の目標を失い、精神的に疲弊・孤独を感じ、燃え尽き症候群となってしまう可能性があります。

また、キャリアの積み上げに思考が偏ってしまうと、スキルや実績・経験さえ身につけられればどこでもいいという後ろ向きな発想にしかならず、より高い給料やスキル・経験が得られる職場に転職してしまうでしょう。

3人目の職人にとって、レンガ積みは「天職」を意味します。
仕事が面白いことはもちろん、他の人々にも役立つと思えるような目的意識を持っています。そのため「仕事」を「仕える事」ではなく「志の事=志事」と捉えています。

仕事の捉え方が、やり抜く力に影響し、その後の人生や仕事に対する満足感・幸福感の決定的な違いにもつながります。

ダックワース氏も、成功するために大切なことは「才能よりも情熱と粘り強さ、すなわちやり抜く力」であると結論づけており、自分の職業を「天職」だと感じている人ほど、やり抜く力が強いと述べています。

やり抜く力と成功の関係性が注目されている理由

やり抜く力が注目されている理由は、「人生において成功の鍵を握っている能力とは何か?」を科学的根拠に基づき述べているからです。

ハーバード大学(神経・生物学を専攻)を卒業したダックワース氏は、世界有数のコンサルティング会社マッキンゼーで勤務した後、ニューヨークにある公立の中学校で数学の先生をしていました。数多くの人たちを教育し、評価する段階で以下のことに気付いたようです。

  • 成績上位の優秀な生徒が必ずしもIQ(知能指数)が高いわけではない
  • 成績下位の生徒が必ずしもIQ(知能指数)が低いわけではない

このことから成績とIQ(知能指数)は関係ないと仮説を立て、彼女は大学に戻り知能と成功の秘訣について研究しました。まず、1926年にスタンフォード大学の心理学者キャサリン・コックスが、偉業を成し遂げた301名の歴史上の人物たちの特徴を調べた研究結果を見つけます。

そこから全員のIQ(知能指数)を割り出した結果、偉大な功績を収めた歴史上の人物たちは、一般の人々よりは高かったものの、知能が高ければ高いほど成功しているわけではなかったと結論付けているのです。

今度は陸軍士官学校に入隊した人たちや教育現場の先生、会社の営業担当者など分野の違う人たちで研究した結果、ある共通点を見つけました。その共通点は「やり抜く力(GRIT)」が強いということでした。

つまり、成功の条件は、知能や天賦の才能などではなく、情熱や粘り強さなど精神力が大切であることが分かったのです。実際、会社のトップやアスリートなど成功している人の多くが努力を積み重ねることの大切さを語っています。

やり抜く力を高めるメリット

ビジネスにおいてやり抜く力を高めることは、以下の2つの効果があります。ぜひ組織として取り組み、社員のやり抜く力を伸ばしていきましょう。

  • 生産性が向上する
  • 心身の健康につながる

生産性が向上する

やり抜く力は、心理学の分野で研究されてきた概念ですが、特に近年では労働生産性との関係性が注目されています。

社員のやり抜く力が高まれば、一つの物事に対してあきらめずに根気強く取り組むようになりますし、一人ひとりが「今、自分が何をすべきか?」を考えながら行動・自走するようになります。さらに、過酷な業務に挑むことはスキルアップ・成長につながり、ひいては企業・組織全体の生産性や収益向上に大きく貢献します。

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心身の健康につながる

やり抜く力が高い社員は、心身ともに健康であることが分かっています。困難に対する向き合い方がうまくなり、ストレス耐性が身につくからです。社員が健康になることで、欠勤のリスクや他の社員の業務をカバーするリスクが減るため、業務を円滑に進めることができます。

やり抜く力の測定方法

やり抜く力の測定方法として「グリット・スケール」があります。

グリット・スケールは以下の10項目の質問に回答し、それを5段階評価します。各項目の点数を合計し10で割った数が、グリッド・スコアとなります。

項目 まったく あてはまらない あまり あてはまらない ある程度 あてはまる かなり あてはまる 非常に あてはまる
新しいアイデアが出てくると、そちらに気がとられてしまう。 5 4 3 2 1
私は挫折してもめげない。 簡単にはあきらめない。 1 2 3 4 5
目標を設定しても、 すぐ別の目標に乗り換えることが多い。 5 4 3 2 1
私は努力家である。 1 2 3 4 5
達成するまでに数ヶ月かかるような長期タスクに、集中して取り組み続けることができない。 5 4 3 2 1
一度はじめたことは最後までやり遂げる。 1 2 3 4 5
興味の対象が、毎年のように変わる。 5 4 3 2 1
私は勤勉である。 1 2 3 4 5
何かに夢中になっても、すぐに興味を失ってしまったことがある。 5 4 3 2 1
重要だと思う目標を、挫折しても乗り越えて達成した。 1 2 3 4 5
合計スコア                   点

やり抜く力を伸ばす4つのステップ

やり抜く力は一握りの偉大な天才だけが持っているものではなく、誰でも伸ばすことができます。

ダックワース氏は書籍内で「やり抜く力の達人」に共通する要素、そして「やり抜く力」を伸ばすために必要なステップについて記載しています。

1. 興味

自分のやっていることを心から楽しみ、尽きせぬ興味と子どものような好奇心を持って、取り組んでいる。

POINT

自社の事業内容やビジョンを社員に伝えきれていますか?
興味・関心を抱いてもらえるよう、積極的・継続的に発信を行っていますか?

2. 練習

自己肯定感を高めるため、大きな目標ではなく自分のスキルを少し上回る目標を設定する。そしてそれをクリアする練習に励み、自身の弱点を克服するため、日々の努力を何年も続けている。

POINT

社員のスキル・働く姿勢に準じた目標設定、目標に対する進捗・KPIの管理をしていますか?
取り組み結果に対するフィードバックやアドバイス、信賞必罰の人事評価制度などの仕組み・体制は構築できていますか?

3. 目的

自分の仕事や取り組んでいることが重要だと確信し、個人的に面白いだけではなく、他の人々にも役立つと思えるような目的意識を持つ。

POINT

自社のお客様が誰なのか、またお客様にどのような価値を届けているのか、お客様のどのような悩みを解決しているのかを具体的に伝えていますか?

4. 希望

困難にぶつかり、不安になっても、その苦しみは一時的なもので、特定の要因があるという楽観主義になり、自分の道を歩み続けるための希望を持ち続ける。

POINT

頑張り続けた先にあるみんなの未来像やわが社の未来像を、社員が理解できるよう言葉で表現・発信をしていますか?
また、課題発見・解決思考やリーダーに必要なマインドセットを伝えていますか?

まとめ

「会議の決定事項や経営計画で設定した取り組みが、実践できていない。成し遂げられない。成果が出ていない。継続できていない。」

「そもそも取り組むことさえできていない。計画倒れだと思っている。」

こういったご相談が、この1~2年増えています。

やり抜く力は今からでも鍛えることが可能です。今回ご紹介した「やり抜く力」の伸ばし方を参考に、社員のやり抜く力を高めていきましょう。

(令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成)

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この記事の著者

NBCコンサルタンツ株式会社

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