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【後継者準備率】は、組織戦略上、重要ポスト数に対する後継候補者数の割合を示す指標です。
人的資本に関する情報開示のガイドライン『ISO30414』では、「後継者計画」領域における人材KPIとして設定されており、下記段階で開示を求めています。
[Ⅰ]準備済(ready now)
[Ⅱ]1~3年後に準備完了
[Ⅲ]4~5年後に準備完了
御社の【後継者準備率([Ⅰ]準備済)】は何%でしょうか?以下の計算式で、試算してみましょう。
「いつでも交代可能」な候補人数
───────────────── ×100
社長を含めた役職の数
普段、分かってはいるが見ないふりをしている現状が、数字として現れた企業様も多いのではないでしょうか?ご支援先やご相談先に、あえてこの計算をしていただくようにしていますが、10~20%にとどまる中小企業も少なくはありません。
「代われるならとっくに代わってるよ!」と、苦笑される高齢管理者の方もよくいますが、この話題、不思議と嫌な雰囲気にはなりません。皆様、一様に「そうだよな。人が中心の会社なんだから、次世代育成に踏み込まないとな。」とかえって前向きになっていただけます。もっと踏み込んで「◯年後のあるべき組織図」と現状組織のギャップを検討すると、より一層、採用・育成・定着の方向性が見えてきます。
ちなみに、よく話題に上がる三井化学株式会社の後継者準備率はなんと211%(2022年度)です。1つのポジションに、2名以上の後継者候補がスタンバイしているわけですが、「事業が成長していくことで、ポジション数が増加することも想定した場合、現状の目標値が適正と考えています。」とのことです。
上記【後継者準備率】のポイントは、「後継者」とは決して「経営承継者」だけを指すわけではないことです。
一昔前のように、社長のご子息のみが「後継者」と呼ばれ、事業承継の成否・責任を負うのではなく、社員一人ひとりが常に「自分自身の後継者」を育てる責任を果たす仕組みと風土こそが、本来のリーダーシップ・パイプラインであり、後継者育成計画(サクセッションプラン)の礎になります。
人的資本経営の大切さが叫ばれていますが、中小企業における人材KPIの意義は、
「組織の伸びしろ」を社員に示すために、あえて「できていないこと」を可視化する潔さや、変革に向けての決意表明にあると考えています。
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管理職育成・リーダー育成
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NBCコンサルタンツ株式会社
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