企業や教育現場、地域のコミュニティなどの組織をうまく機能させるためには、優秀なリーダーの存在が欠かせません。各組織で求められるリーダーの役割を明確に把握することが、事業の成功や目的の達成につながります。
今回は、組織マネジメントの軸となるリーダーの役割や特徴について詳しく解説します。また、部下の育成やコミュニケーション力など、組織の管理者として大切なスキルにも触れているため、ぜひ最後までご覧ください。
〔エッセンシャル版〕
企業・組織を率いる経営者・後継者・幹部社員に
必要なリーダーシップとは?をこれ1冊で。
目次
1.組織の成立に必要な条件とリーダーの役割
リーダーとして組織のメンバーを牽引するために、まずは組織論を知っておくことが大切です。ここでは、組織に必要な3つのポイントとして「組織の目的」「協同意欲」「意思疎通」に着目し、組織がどのように成り立っているのかを説明します。
・組織の目的 |
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集団を形成する上で、共通の目的がないと存在意義が曖昧になってしまい、方向性が定まりません。組織において目的を設定することは最重要課題であり、具体的には企業理念やビジョンが「組織の目的」にあたります。 目的の設定はリーダーが率先して作り上げていくものであり、組織を運営する軸となります。組織全体のミッションをはじめ、各部署の共通目的を明瞭に示すことが、強い組織力を作るための条件と言えるでしょう。 |
・協同意欲 |
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協同意欲とは、チームワークや組織へのエンゲージメント、モチベーションなどを意味します。一人ひとりの組織メンバーに、周囲と協力して成果を出そうという意欲を持たせることが、リーダーの役割です。 周囲の協同意欲を上げるためには、以下の2種類の報酬を提供すると効果的です。
リーダーの働きかけで社員やメンバーの組織に対する貢献意欲は大きく変わるため、一つひとつの意思決定や振る舞いを慎重に行うようにしましょう。 |
・意思疎通 |
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会社やチームの中でコミュニケーションがうまく取れていないと、協同意欲の低下を招くばかりか、ミスが増えるなど多くの問題を引き起こし兼ねません。その結果、組織の目的に対する意識が薄れ、エンゲージメントが生み出せなくなり、悪循環に陥ります。 組織のリーダーは、チームメンバー全員との意思疎通を図ることはもちろん、メンバー同士の関係性にも常に気を配る必要があります。話しやすい雰囲気や環境を作り出し、部下やメンバーとのコミュニケーションを増やすよう心がけることもリーダーの役割です。 |
組織は、目的と協同意欲、意思疎通の3つがそれぞれバランスよく機能しないと、うまく成り立ちません。リーダーの役割は、常に組織論を追求した上で周囲に正しい方向性を示し、成果につなげていくことです。
2.組織を成功に導くリーダーの特徴
初めて部下を持つ時や、新たな部署でチームの人数が増えた時など、リーダーシップの取り方やマネジメントの仕方に悩む人が多いのではないでしょうか。メンバーがついていきたいと思える優れた管理職や経営者などのリーダーには、次のような特徴があります。
- 確かなビジョンを持っている
- コミュニケーション能力が高い
- 部下との信頼関係が築けている
- 広い視野で物事を考えられる
- 部下の育て方がうまい
ここでは、組織を成功に導くリーダーの特徴について、詳しい内容を確認しましょう。
2-1.明確なビジョンを示せる
現代の組織に求められるリーダーには、自ら率先してビジョンを示すカリスマ性が必要です。揺るぎない自信で部下を導き、前向きな風を作り、新たな道を切り開くようなリーダーは周囲の心を掴むことができます。
具体的には、組織の中で実現したい明確なビジョンをリーダーが示すことが大切です。ビジョンを言葉にして、チーム全員に組織の目的を理解させることで協同意欲が生まれます。
2-2.適切なコミュニケーションが取れる
組織論の意思疎通の基本となるのが、組織の部下やメンバーと心を通わせるコミュニケーションです。リーダーとして伝えるべき業務上の指示に加えて、メンバーとの関係性を構築するためには次のようなテクニックも必要となります。
- 部下やメンバーの話に耳を傾ける
- 小さなことでも褒める
- 個々に合わせた会話をする
一方的に自分が話をするだけでは、物事の全容を捉え切れない可能性があるため、チームメンバーの意見をしっかり聞くことが大切です。また、メンバー全員のモチベーションが上がるように、小さなことでも言葉にして褒めましょう。さらに、個々の状況や性格に合わせたコミュニケーションを行うのも、優れたリーダーの特徴です。
2-3.部下から信頼される
たとえ部下が組織の目的を理解していたとしても、リーダーに対する不信感があると協同意欲は湧いてきません。部下から信頼されるリーダーの条件には、以下のようなものがあります。
- 言動と業績が伴っている
- 的確な判断力がある
- 自分の非を素直に認める
- 部下をフォローする
- 指示に一貫性がある
- 責任感が強い
仕事への姿勢や実績、人間性なども含め、部下からの信頼が厚いリーダーが率いるチームは、意思疎通がスムーズになる上に、高い協同意欲を維持しやすくなります。その結果、職場全体の雰囲気がよくなり、業務にもプラスの影響を与えるでしょう。
2-4.視野が広い
狭い視点でしか物事を考えられないリーダーは、ビジネスの可能性を広げられないばかりか、人材育成にもよくありません。リーダーは1つのアクションに対して多角的な視点から物事を見つめ、メリットやデメリットなどを分析することが大切です。
視野の広い組織リーダーのもとでは、部下ものびのびとアイデアや意見を交換でき、協同意欲も高まりやすくなります。マニュアル通りの対応ではなく、さまざまな情報を取り入れて、柔軟に検討できるリーダーこそが、組織を成功に導く存在になれるでしょう。
2-5.部下を育成できる
リーダーの重要な役割の1つが、部下の能力を最大限に引き出し、成長させることです。しかし、個性の違う複数の人材を育成するのは簡単なことではありません。部下を指導する際のポイントは以下を参考にしてください。
- 一人ひとりの特徴や性格を把握する
- よい関係性を築いた上で指導する
- 部下の目標設定をして育成計画を立てる
部下との関係性を築く第一ステップは、個々のモチベーションや性格、能力など、相手を知ることです。また、雑談を通して部下との共通点や意外性を見つけ、部下のことをよく知った上で指導をすると、より意思疎通がスムーズになります。加えて、部下の目標達成に向けて成長をサポートすると、協同意欲も高まりやすいでしょう。
3.組織に求められるリーダーとして身につけるべき力
カリスマ性の高いリーダーとして組織に成功をもたらすためには、特に自己管理力とチームの心理的安全性を保つ力を身につける必要があります。ここでは、リーダーとして大切な2つのスキルについて解説します。
自己管理力 |
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リーダーは、部下の管理と並行して、自分のタスクも進めていかなければなりません。リーダーの真剣さや業務に対する熱量が周囲にも影響するため、組織の責任者として、周囲のお手本となる姿や行動を見せることが大切です。 また、リーダーは時としてプレッシャーや問題の発生、人間関係の複雑さなどにより、精神的に追い詰められることも少なくありません。しかし、情緒不安定なリーダーでは、周囲から不安や反発の声が上がる恐れがあります。常に気持ちをコントロールし、自らのメンタル管理もしっかりと行いましょう。 |
心理的安全性 |
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不安要素がある職場環境では、パフォーマンスや創造性の向上は見込めません。失敗を罰せられたり人格を否定されたりすることが日常化していて、心がいつ病んでもおかしくない状況では、前向きに仕事に取り組むことは難しいでしょう。リーダーは部下が安心して発言でき、アイデアを共有できるように、健全な育成環境を整える必要があります。 部下にとってよりよい環境を整えるため、職場の雰囲気や部下の様子を敏感に察知できるよう普段から気を配り、心理的安全を確保できるよう努めましょう。 |
自己管理力を高めると同時に、部下が気持ちよく働ける職場環境を作ることで、リーダーとして組織に求められる役割を果たすことができるでしょう。
まとめ
マネージャーや管理職などの組織のリーダーに求められる役割は、組織の目的をビジョンとして示し、チームメンバーを牽引することです。また、組織運営をスムーズに行うためには、部下やメンバーの協同意欲を高めることや、スムーズな意思疎通も欠かせません。
誰もが最初から優秀なリーダーシップを発揮できるわけではないため、部下の育成と同時に、リーダーも常に成長していけるよう謙虚な姿勢を保つことが大切です。自己管理力の向上や心理的安全性への配慮も行いながら部下との信頼関係を構築し、組織を成功に導くことができるリーダーを目指しましょう。
「リーダーの力量以上に組織は伸びない。」
このような言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
『真のリーダー10ヶ条』は、企業・組織を率いる経営者・後継者・幹部・管理者に
必要なリーダーシップ(あり方・実践力)についてまとめたものです。
(令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成)
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