前回9月6日の記事では、労働分配率の改善、借入返済に必要な利益を生み出すために必要な、目標設定方法と社員の巻き込み方についてお伝えいたしました。
ポイントとしては以下の2点です。
- 評価項目は経営課題の改善に「絞る」こと
- 「共通目標(KGI:Key Goal Indhicator)を達成させる」という共通言語のもと、「共通目標」を因数分解して、主要な現場計数(KPI:Key Performance Indicator)を評価項目として設定すること
営業や生産部門(製造業における生産のみを指さず、広く商品・製品を生み出す部門)は、上記の定量的目標設定は比較的可能ですが、多くの企業で社内サービスである間接部門の目標設定・評価に悩んでいらっしゃるようです。今回はそのポイントについて以下の4つをお伝えします。
- 直接的成果・業績指標の目標
- ルーティン業務の改善目標
- 管理手法の改善目標
- 直接部門の支援目標
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目次
なぜ以上の4つが労働分配率の改善に繋がるか
労働分配率は(人件費)÷(限界利益)ですが、人件費と限界利益を分解すると
人 件 費=(総労働時間)×(時間当り給与)
限界利益=(売 上 高)×(1-変動費率)
よって、上記1は変動費比率の削減にもつながり、固定費の削減は営業利益の改善に繋がります。2~4については、総労働時間の削減につながります。
間接部門業務の効率化で基準外労働の低減になり、特に4は直接部門(営業や生産部門)が「成果を生み出す時間」に集中できるように、業務改善や支援業務を増やし、間接的に成果に貢献することになります。
間接部門の目標設定例
1直接的成果・業績指標の目標例
<変動費・固定費の削減、資金の改善>
- 全社の固定費の削減
- 変動費の中でも梱包費・副資材費・消耗品費など特定科目の削減
- 金融機関交渉による支払利息の削減(利率の低減)
- 3ヶ月以上滞留債権をゼロにする
2ルーティン業務の改善目標例
<現状業務の多能工化、業務効率の改善>
- 試算表の役員提出を7営業日早期化する
- 経理部門の多能工化のため、業務マニュアルを■件作成する
- ○上記の結果として、基準外労働時間を一月あたり▲時間以内にする
3管理手法の改善目標例
<マネジメント・システムの導入などで全社業務の最適化や効率化>
- ●ヶ月以内にシステムを導入する
- ◆ヶ月以内にシステムを稼働させ、発行ミスをゼロにする
4直接部門の支援目標例
<直接部門の間接的業務を改善または支援>
- ○(改善)◆ヶ月以内にカタログの商品問い合わせは全て間接部門で対応する
- ○(支援)ニュースレターまたは動画からの問い合わせ件数を増加させる
間接部門の目標がうまくいくためには
上記のように、直接的または間接的に労働分配率の改善に繋がるテーマを設定し、可能な限り(1)期限や(2)件数、(3)時間を明確にし、「定性目標の定量化」を行い、効果の検証と評価ができるようにすることがポイントです。
間接部門の目標・評価項目を検討する際の障壁は「決められたことしかできない」という固定観念にあります。
間接部門は仕事の基準や進め方がマニュアル化され「How to」が決まっていますので、「Why(何のために:目的)」や「What(何を:ターゲット)」をゼロから考えるということが苦手なようです。
その場合には、上記のフレームワークで考える癖づけをし、皆が会社の成果に対して取り組める仕組みにしていくことが重要です。
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労働分配率を使った人事評価制度
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NBCコンサルタンツ株式会社
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