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360度評価とは?メリット・デメリットや具体的な手順、導入する際の注意点を解説

2023.08.04

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「360度評価」とは、従業員のパフォーマンス評価を行う手法の一つです。従来の上司からの評価だけでなく、部下や同僚、そして自己評価も含めた総合的な視点から評価を行います。

これにより、より多角的な評価を得ることができ、従業員の強みや改善点を的確に把握することができます。

メリットとしては、フェアな評価が行われることや、フィードバックの多様性からの成長機会が生まれることが挙げられます。

一方で、デメリットとしては評価の主観性やフィードバックの多さによる情報処理の困難さがあります。

導入手順は、評価基準の設定、評価対象者の選定、評価方法の選択、評価結果の分析とフィードバックなどがあります。導入時の注意点としては、評価の公平性や匿名性の確保、評価者のトレーニングやコミュニケーションの重要性などがあります。

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目次

360度評価の概要

360度評価とは、企業が人事評価を行う際に用いる制度の一つで、上司だけでなく部下、同僚、自己評価など、あらゆる角度から対象者の業務を評価する方法です。この客観的な評価制度を採用することで、従業員個々の特性や能力を詳しく把握することが可能になります。

360度評価とは

360度評価とは、従業員の業務遂行能力や行動特性を、上司や部下、同僚など多角的な視点から評価する制度です。評価項目は事前に設定され、各関係者が対象者に対して直接フィードバックを行います。自社の人材育成と組織の改善を目指す企業が導入しています。

360度評価の目的

公平な評価と人材育成、モチベーション向上が主な目的です。評価者が多角的になることで、主観的な評価を抑え、対象者自身が自分の強み・弱みを把握し、それを活用することで成長を促すことを意図しています。

公平な評価

上司だけではなく、部下や同僚からの評価も取り入れることで、評価が公平性を帯びます。個々の業務遂行能力や行動を客観的に評価することが可能となり、社員一人ひとりが納得のいく評価を得られます。

人材育成、モチベーション向上

360度評価では、社員が自分の強み・弱みを自己認識し、それを活用して自己成長を促します。また、評価結果をモチベーション向上につなげることが可能で、エンゲージメントの向上をもたらすことが期待できます。

360度評価のメリットとデメリット

360度評価には、メリットとデメリットが存在します。メリットとしては、複数の視点からの評価により公平性が向上し、従業員の成長機会が増えることが挙げられます。また、フィードバックの多様性によって能力の強化が促される点も重要です。

一方で、デメリットとしては評価の主観性やフィードバックの多さによる情報処理の困難さがあります。また、評価者同士の意見の食い違いやフィードバックの偏りが生じる可能性も考慮する必要があります。

総合的な評価手法である360度評価を導入する際には、メリットを最大限に活かすために注意深く運用し、デメリットを軽減するための適切な対策を取ることが重要です。

360度評価のメリット

360度評価のメリットは多岐にわたります。1つは、社員が納得感を得やすいという点です。評価が多角的な視点から行われるため、公平性があり、自分の強み・弱みを正確に把握できます。また、人間関係の把握や管理職育成にもつながります。

1人の評価よりも納得感が得やすい

上司だけでなく、部下や同僚も評価に参加することで、評価が一人の主観に偏ることを防ぎます。これにより、評価結果に対する納得感が高まります。

自分の強み・弱みを把握できる

360度評価は、自身の強み・弱みを直接的、かつ多角的に理解することを可能にします。自分が認識していなかった長所や改善点を他者からフィードバックとして得ることで、自己成長やスキル改善に活用することが可能です。

人間関係が把握しやすくなる

部下や同僚からの評価を得ることで、自身の人間関係やコミュニケーションの取り方についても深く理解することが可能です。これは、職場の雰囲気改善やチームワーク向上にも寄与します。

管理職の育成につながる

360度評価を用いることで、管理職の育成にも役立ちます。自分がどのように部下や同僚から見られているかを知ることで、リーダーシップスキルの改善や人間関係の構築に活用できます。

360度評価のデメリット

360度評価にはデメリットも存在します。主観的な評価になりやすいという問題点があります。また、関わりが薄い人の評価が難しい、評価に馴れ合いが生まれる、お互いの不信感が生まれる可能性があります。

さらに、上司が自分の評価を気にした指導や育成に陥りやすい、工数と時間がかかるという課題も挙げられます。

主観的な評価になりやすい

評価者が主観的な評価をする可能性があり、客観性が失われることが懸念されます。これは評価の公平性を損ない、結果として評価の信頼性を低下させる可能性があります。

関わりが薄い人は評価がしにくい

評価対象者と直接的な交流が少ない評価者は、適切な評価を行うことが難しいです。これは評価の精度を下げる可能性があります。

評価に馴れ合いが生まれる

評価者間で事前に評価を調整するような「馴れ合い」が生じる可能性があります。これは評価の公平性や信頼性を損なうリスクとなります。

お互いの不信感が生まれる可能性がある

不適切な評価や馴れ合いが生まれた場合、評価対象者と評価者間に不信感が生じる可能性があります。これは組織の雰囲気を悪化させ、組織のパフォーマンスにネガティブな影響を与える可能性があります。

上司が自分の評価を気にした指導や育成に陥りやすい

上司が自身の評価を気にしすぎて、部下への指導や育成が偏る可能性があります。これは、部下の能力開発に対する阻害要因となり得ます。

工数と時間がかかる

360度評価の実施は、評価者の選定、評価の実施、フィードバックの実施と、手間と時間が必要となります。これは、他の業務への影響を考慮する必要があります。

360度評価の具体的な手順・注意点

360度評価の導入と運用は一定の手順と注意点を必要とします。この評価方法は一人の上司からだけでなく、部下や同僚、自己評価など、多角的な視点から評価を受ける制度であり、公平で客観的な評価を可能にします。

しかし、その実施には明確な目的設定、評価項目の決定、評価基準や運用ルールの確立、評価者と被評価者の選定、全従業員への周知といった複数の手順を経る必要があります。

また、その過程で生じうる問題点に対する予防策や改善策も考えておくことが重要です。以下、各手順と注意点について詳細に説明します。

実施目的を明確にする

360度評価を行う前に、その目的を明確にします。公平な評価を行い、人材育成やモチベーション向上を図るといった具体的な目的を設定することで、評価の質が向上します。

評価項目を設定する

評価項目は、業務能力やコミュニケーションスキルなど、対象者の行動や成果を具体的に評価できる内容にすることが重要です。これにより、評価の公平性と透明性を保つことができます。

評価の基準や運用ルールを決める

評価の基準や運用ルールを明確にし、全従業員に周知します。これにより、評価の公平性を保つとともに、評価対象者や評価者の理解を深めることができます。

評価者と被評価者の選定を行う

評価者と被評価者の選定を行います。この際、評価者は対象者の行動や業績を具体的に知ることができる人物を選定します。また、評価対象者は自己評価を行うとともに、上司や同僚、部下からの評価を受けます。

全従業員に周知する

評価の目的、評価項目、評価の基準、運用ルールを全従業員に周知し、理解を深めます。これにより、360度評価の導入に対する理解と納得感を得ることができます。

360度評価を実施・評価の返却

全従業員に周知した上で360度評価を実施します。評価結果は、評価対象者に返却され、その内容を確認することができます。

上司との面談

評価結果を基に上司と面談を行います。面談では、評価結果に基づくフィードバックや今後の改善策について議論します。

定期的にフィードバックを実施する

定期的に評価結果のフィードバックを行い、改善の効果を確認します。このプロセスを通じて、従業員の成長と組織の改善を進めます。

360度評価の項目

具体的な評価項目については、業務遂行能力、コミュニケーションスキル、チームワーク、リーダーシップ、個人の成長意欲などが挙げられます。評価項目は、評価の目的や企業のビジョン、個々の業務内容に合わせて設定されます。

まとめ

360度評価は、従業員のパフォーマンスを上司、部下、同僚、自己の視点から総合的に評価する手法です。

メリットとしては公平な評価と成長機会の提供がありますが、主観性や情報処理の困難さがデメリットです。具体的な手順は評価基準の設定、評価対象者の選定、評価方法の選択、評価結果の分析とフィードバックなどです。

導入時には公平性と匿名性の確保、評価者のトレーニング、コミュニケーションの重要性に注意が必要です。360度評価はより多角的な評価を可能にし、従業員の能力や改善点を的確に把握する手法です。

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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