ここ数年、人事評価制度の『構築支援』を数多くさせていただいております。その中で「人事評価制度を構築した後の『運用支援』は具体的に何をするのか?」とよくご質問をいただきます。
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今回は、NBC流の人事評価制度の『運用支援』(完全版)をお届けします。
目次
NBC流の人事評価制度の『運用支援』
『運用支援』とは、簡単に言うと「構築した人事評価制度を次に記載する<年間ルーティン>に従って、社員が自分たちだけで回せるようにするためのお手伝い」です。
- 目標設定(部門・個人)
- 進捗確認(目標管理)
- 評価
- 査定・考課(昇給昇格・賞与シミュレーション)
※ここは、一般社員はタッチしません。 - 面談(1.2.3.の時)
- 人事評価制度の修正(継続的改良)
『運用支援』では、各段階で裏方としてきめ細かなサポートをするわけですが、必要に応じ、次のような【管理者を対象とした勉強会】も実施します。
※なお<>内の表記は、<年間ルーティン>でどの段階に関するテーマかを示しています。
管理者を対象とした勉強会
【前提】人事評価制度の完全理解
管理者自身が、制度を理解できていないケースが散見されます。それでは制度運用がままなりません。
そこで、管理者だけを対象として「再度」説明会を行う、管理者から制度を説明してもらう、などを行います。これだけでも立派な勉強会となります。
<[1]目標設定> キャリアプランの作成
まず、管理者に自分のキャリアプランを作成してもらいます。キャリアプランを作成する際、直属の上司・役員、または社長にサポートいただきます。
管理者には、その経験をもとに、部下がキャリアプランを作成する際にサポートしてもらいます。
<[1]目標設定> 全部門の目標カードチェック
管理者は、自部門社員の目標カードは確認しますが、他部門社員の目標カードには関心がない(または見る余裕がない)ことが多いです。
そこで勉強会の中で、管理者には他部門を含めた全社員分の目標カードを読んでもらい、意見交換を行います。
社員数によっては結構な時間がかかりますので、読んで意見をまとめてくることを宿題としても良いです。
この全部門の目標カードチェックの効果は2つあります。
- 他部門への理解が深まり、部門間の連携が期待できる。
- 他部門との意見交換を通じて、自部門の目標カードをブラッシュアップできる。
<[1]目標設定> 間接部門の目標設定
「間接部門の目標設定が難しい」という話をよく聞きます。そこで、他社の事例を紹介しながら、直接部門の管理者も一緒に間接部門の目標設定を考えます。直接部門の管理者もこの勉強会に参加させることで、他人ごととならず、かつスキルアップを図ることができます。
<[2]進捗確認> 各部門における部下との関わり方の共有
目標の進捗確認の仕方や、日頃の部下との接し方を共有します。他部門のやり方を聞くのは非常に勉強になりますし、共通の悩みを相談し、解決する機会にもなります。また、管理者の意外な一面を見ることもできます。
<[3]評価> 評価者が陥りやすい傾向
『ハロー効果』など「評価者が陥りやすい傾向」についての座学です。どのような傾向があるのかは、知識として知っておけばよく、大切なことはそうならないための対策です。
結論として「日頃から部下をよく見ておく」の一言に尽きます。勉強会では、日頃のメモの取り方やその実践状況の共有も行います。
<[3]評価> 行動特性評価における基準のすり合わせ
上記「評価者が陥りやすい傾向」の発展形として、評価者によって特に甘辛の生じやすい「行動特性評価」についてケーススタディを行い、評価者間での目線合わせを行います。
例えば、「~という部下がいた場合、『積極性』の項目について、あなたは何点をつけますか?その理由も教えて下さい」等です。評価者によってバラバラであることが浮き彫りになります。
<[3]評価> 行動特性評価の評価基準の詳細化
行動特性評価の評価基準は、簡易版でスタート(初年度)しますが、将来的に詳細化する必要が生じた場合に備えて、その方法を学んでおきます。自分たちで改良できるようにするためです。
<[5]面談> 面談のロールプレイング(目標設定編・進捗確認編・評価フィードバック編)
二人一組で、上司役と部下役に分かれて面談のロープレを行い、気づいたことや感想を相手にフィードバックします。面談に不慣れであれば、当方で「面談の台本」を準備し、その通りに実施していただきます。
これが、思いのほか盛り上がります。一組ずつ前に出て実施してもらい、参加者から意見を聞く方法もあります。
<[5]面談> 自社・自部門流の面談マニュアルの作成
上記「面談の台本」=面談マニュアル例をベースに、自社・自部門流の面談マニュアルを作成する研修です。「面談の基礎」を押さえつつ、自社・自部門に合った、実行性のあるマニュアルが完成します。
<[6]修正> 人事評価制度の修正(継続的改良)
一評価期間が終わるごとに、人事評価制度の改良点を管理者間で議論し、人事総務部等の管掌部門や役員会へ提案します。運用する中で必ず不具合は生じますし、改良が必要になったということはそれだけ組織が成長した証とも言えます。
毎年、社長が立てた「予算」を達成させるために、何も言わなくても各部門長が話し合って「部門目標」を設定し、それを部門に持ち帰って部下とじっくり話し合いながら「個人目標」を設定する。
そして、何も言わなくても毎月上司が進捗確認をし、結果、全員が個人目標を達成し、部門目標・予算が達成される。
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目標設定関連コラム
今回は、【管理者を対象とした勉強会】における目標設定や進捗確認をご紹介しましたが、そもそも目標設定はどのように行なえばよいのか、どのように進捗管理すればよいかなど、目標設定に関する記事をまとめています。気になる方は以下のURLからご覧いただければと思います。
第1回 目標設定のやり方と5W2H
第2回 間接部門の目標設定
第3回 目標の進捗管理の仕方
第4回 部下の目標達成に導くコーチング
第5回 人事評価のフィードバック方法
第6回 目標設定のステップアップ方法
第7回 目標設定に関する失敗事例
第8回 成功する定量・定性目標設定のポイント
第9回 組織の成熟度に応じた人事評価制度の運用モデル
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
NBCコンサルタンツ株式会社は1986年の創業以来、会計事務所を母体とする日本最大級のコンサルティングファームとして数多くの企業を支援しております。4,290社の豊富な指導実績を持つプロの経営コンサルタント集団が、事業承継、業績改善、人材育成、人事評価制度など各分野でのノウハウをお届けします。