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財務分析に用いる指標とは|5つの重要指標を紹介

2022.09.30

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財務指標は、企業の財務状況や経営成績などを数字で把握・評価するための指標で、財務分析を行う際に用いるものです。財務指標には非常に多くの種類があるため「それぞれの指標が分析できる内容や指標の活用方法がよく分からない」という人もいるのではないでしょうか。

しかし、財務指標の中でも日常的に活用しやすいものとそうでないものがあるため、特に重要とされる指標を把握できていれば問題ありません。

この記事では、財務分析の手法や、特に重要な5つの指標などについて詳しく解説します。

目次

1.数多くの指標を用いる財務分析

財務指標は、企業の財務状態や業績の良し悪しを客観的に分析し、把握・評価するためのツールです。そして、財務指標を用いて企業経営の問題点や将来性を確認することを、財務分析と言います。

例えるなら、財務分析は企業の健康診断のようなものであり、 財務指標は健康診断の検査項目というイメージです。健康診断の血液検査では、血糖値の数値から糖尿病のリスクが分かるように、財務指標もそれぞれの項目ごとに分析できる内容が異なります。

また、財務指標には数多くの種類がありますが、初めからすべての指標を活用することは難しい上、日常的に使いやすい財務指標は限られています。そのため、すべてを暗記する必要はなく、必要に応じて計算式を調べ、活用できれば問題ありません。自社の目的に合った財務指標を選び、うまく活用していくことがポイントです。

財務分析については、下記のページでより詳しく解説しています。

1-1.財務指標を用いる意義

財務分析の実施により、企業が持続的な成長を目的とした経営戦略を立てるための必要な情報を分析することができます。財務分析で数多くの財務指標を用いることで、より多くの情報取得が可能です。

自社の強みや弱み、経営課題を客観的に把握できるだけでなく、収益性や財務の安定性、社員の生産性も浮き彫りとなるため、内部監査などにも役立ちます。

財務指標が重要な理由をより詳しく検討すると、以下の2つの意義を見いだせます。

簡単かつ適切に分析できる

財務指標を用いることで、より多面的な財務データが得られます。また、自社の取引収益性や労働生産性などを簡単かつ適切に分析することが可能です。

客観的に分析できる

事業が拡大するにつれて自社の状況把握が困難となりますが、財務指標を用いることで、自社の状態や同業他社との比較を客観的に分析できます。

2.財務分析の4つの手法

財務分析では、目的に合わせて「収益性分析」「安全性分析」「生産性分析」「成長性分析」の4つの手法が用いられます。

収益性分析

企業がどれだけ利益を上げられているかを分析するための指標で、主な指標は「売上高総利益率」や「売上高営業利益率」などです。

安全性分析

企業の支払能力や財務の安定性がどれだけあるかを分析する指標で、主な指標は「流動比率」や「自己資本比率」などです。

生産性分析

「ヒト・モノ・カネ」などの経営資源を効率的に利用できているかを判断する指標で、主に「労働生産性」や「売上高付加価値率」などの指標があります。

成長性分析

売上や利益がどのように変化しているかなど、企業の今後の成長性を判断する指標で、主な指標は「売上高増加率」や「利益増加率」です。

分析手法の中で企業の支払能力を分析する安全性分析については、下記のページでより詳しく解説しています。

3.財務分析に用いる指標5選

財務分析では、数多くの指標を用います。各指標は相互に作用する関係性から、1つの指標だけでは企業の財務状況の正確な把握は困難です。しかし、中には特に重要性の高い指標も存在することは確かです。

ここでは、特に財務分析で使われることが多い重要な指標を5つ紹介します。

3-1.売上高総利益率

売上高総利益率は、売上高から原価を引いた後の利益額の売上高に対する比率のことです。収益性分析に関する指標の中でもっともよく使われるもので、販売している商品の利益率を意味し、売上高と原価を比較して計算します。

売上高総利益率が前年よりも下がっている場合は、仕入原価や製造原価が向上しているか、販売単価が下落しているなどの可能性があります。比率が高いほど良好とされますが、業種によって平均は大きく異なるため、他社比較をする際は自社に近い条件の企業と比較することが重要です。

計算方法:売上高総利益率(%) = 売上総利益 / 売上高 × 100

3-2.総資本回転率

総資本回転率は、資本が期中に売上として何度回収され再投資されるかを計測する指標です。収益性分析に関する指標で、回転数が多いほど少ない資本金で売上を多く出していることになります。反対に、数値が低い場合は事業に投入した金額に対し売上額が小さいということであり、資金繰りが悪くなる恐れがあるため注意が必要です。

総資本回転率は業種によって異なり、小売業や卸売業は、短期間で商品を仕入れて販売するビジネスサイクルのため、回転率は高くなります。反対に、不動産業や物品賃貸業などでは、高い資産額に対して売上の金額が小さい傾向があるため、総資本回転率は低くなる傾向があります。

計算方法:総資本回転率 = 売上高 / 総資本(自己資本+他人資本)

3-3.自己資本比率

自己資本比率は、企業に返済不要の自己資本がどれだけあるかを見る指標です。安全性分析に関する指標で、自己資本比率が高い場合は経営活動が安定していると評価され、数値が高いほど良好です。他人資本よりも自己資本の割合が高ければ高いほど、返済不要の資本を元手に事業を行っているため、安定している企業と判断されます。

なお、自己資本比率の平均値は40%程度であるとされ、50%以上ならより安定している優良企業と評価されます。しかし、安全性の面では自己資本比率が高いほうが良好ですが、収益性の面では自己資本比率が高ければ良いというわけではないため、バランスが重要です。

計算方法:自己資本比率 = 自己資本 / 総資本 × 100

安全性分析については、下記のページでより詳しく解説しています。

3-4.営業利益成長率

営業利益成長率は、本業で利益を得る力がどのくらい成長しているかを見る指標です。成長性分析に関する指標で、本業での儲けを示す営業利益の伸び率が高いほど良好とされており、効率良く儲けを得る力が高まっているということになります。

しかし、事業拡大のタイミングによる影響を受けやすいため、背景や状況を考慮した上で評価することが重要です。また、企業によって差が大きい指標であるため、他社との比較というよりも自社の推移を確認する目的で活用するとよいでしょう。

計算方法:営業利益成長率(%) =(当期営業利益 - 前期営業利益)/ 前期営業利益 × 100

3-5.労働生産性

労働生産性は、従業員1人当たりが生み出す売上総利益を計測する指標です。生産性分析に関する指標であり、数値が高いほど生産性が高いとされています。一方で、数値が低いと人材の活用がうまくできておらず、労働環境や業務工程に問題があると考えられます。

労働生産性を上げるためには、労働者1人当たりの売上高を上げるか、ITツールなどを導入し効率性を上げることが効果的です。労働生産性が低い場合、業務効率が悪い可能性があるため改善策を考える必要があります。

計算方法:労働生産性(円)= 付加価値額 / 従業者数

労働生産性については、下記のページでより詳しく解説しています。

まとめ

財務分析は、企業の経営状態をチェックする健康診断であり、財務指標は健康診断の検査項目のようなものです。財務指標は、経営戦略を立てるための重要な材料であり、活用することで企業の財務状況を的確に分析・把握できます。

財務指標は数多くあるため、自社の目的を達成するにはどの指標を活用するべきかを考え、活用していくことが重要です。財務指標が正確であれば取引先や金融機関などからの信頼性が高まるため、他社の情報を参考にしながら自社に合った経営戦略を立てましょう。

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NBCPlusオンライン編集部

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