皆様は会社の業績を何で確認していますか?
多くの方は「損益計算書」や「試算表」、
またはそれらに手を加えた独自の業績管理資料などを利用されていると思います。
しかし、こうした資料では「利益」が出ているか否かはわかるものの、それをどうやって経営に活かせばよいのかわからないというのが本音ではないでしょうか?
そこでおすすめしたいのが“因数分解”です。
目次
因数分解の対象
因数分解の対象は、ずばり業績の核となる「売上」とそれにともなう「利益」です。
まず、損益計算書に表示されている「売上」はどのように構成されているのでしょうか?
- どの商品・サービスが
- どのくらいの数量・頻度で?
- どのくらいの金額で?
- どのような手段で?
- どの得意先でどのような相手に?
- それを売り上げた営業担当者・窓口は誰?店舗はどこ?
- その売上から出た利益はどれくらい?
実際には、こうした要素が重なり合って売上を構成するわけですが、この要素が明確にならなければ、何が問題なのかを発見することはできません。
問題を発見できないということは、次に打つ手を決定できず、同じことを繰り返し続けてしまう可能性が非常に高くなります。
因数分解の例
例えば……
[A社の取引量]総売上の約50%※大口の得意先
[B社の取引量]総売上の約5%
⇒この情報(取引量)だけならA社を大事にし、A社に力を入れますよね?
[A社の利益率]約10%
[B社の利益率]約25%
⇒取引量だけを見ればA社ですが、利益率を見ればB社にたくさん売りたいですよね?
[A社の営業担当者]:大口の得意先であるため優秀な担当者をつけている
[B社の営業担当者]:小口の得意先であるためいつも新人をつけている
⇒B社の取引量の少なさはB社に原因があるのでしょうか?
[A社からの受注商品]:種類が非常に多く、発注から納品まで毎月非常に手間がかかり営業担当者はA社の仕事でいっぱい
[B社からの受注商品]:いつも同じ種類のものばかりで特に手間はかからない
⇒優秀な営業担当者をB社につければ、ほかの商品も売れるかもしれません
⇒優秀な営業担当者の手が空けば、新規顧客や新人営業マンの育成など、もっと会社の利益に貢献できるかもしれません
確かにA社は大口の得意先ですが、この先どちらに力を入れる方が、より利益を上げることができるでしょうか?
まとめ
このように、因数分解をすることで、社内の常識や固定観念にとらわれずに新たな発見や気づきを得ることができます。
本来、経理の仕事とは、会社の重要な数値を因数分解し、自社の強みや弱みを数値として見える化・情報化し、これを経営者に伝えることで経営者に最良の判断材料を提供することにあります。
これは会社の資金を増やすことに直結しているのですが、そのお話はまた別の機会に……。
皆様の会社の経理はいかがでしょうか?経理のあり方を変えることで、ぜひ心強い参謀を手に入れてください。
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この記事の著者
NBC税理士法人
「縁のあったお客様は絶対に倒産させない。」という志のもと、税務面、経営の全般的なサポート業務を行っています。顧客訪問数1200社以上のノウハウをもとに、会計監査などの税務相談や、事業承継、新規開業、相続などさまざまなノウハウを配信しています。