本記事では、組織力の強化とその方法、組織力の強い企業事例などをご紹介します。
また、組織力向上に使える無料分析についてもご案内します。
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目次
1.組織力強化が必要な背景
昨今、組織力の見直しと強化が叫ばれるようになってきました。
その背景には、大きく2つの要素があります。
(1)事業環境の変化:不確実性時代(VUCA)への突入
VUCA(ブーカ)という言葉をご存知でしょうか。VUCAとは社会や企業において先行きが不透明で、将来の予測が困難になっている状態の要素を示す造語です。
将来の予測が困難な要因としては、4つの時代特性があげられます。
その4つの要素の頭文字を取って作られた用語がVUCAです。
【VUCAの意味】
- V・・・Volatility(ボラティリティー) :変動性
- U・・・Uncertainty(アンサートゥンティ):不確実性
- C・・・Complexity(コムプレクシティ) :複雑性
- A・・・Ambiguity(アムビギュイティ) :曖昧性
インターネットの普及やIT技術の発展により、今や情報があふれる社会となっています。消費者にとっても多くの情報にリーチできるようになりました。メディアやSNSなどの発展により、情報の拡散スピードも速くなっています。それにより市場のトレンドやニーズもめまぐるしく変動し、企業としては先を読んで市場予測を立て、商品やサービス、事業を展開することが以前よりも難しくなりました。
また事業環境においては、グローバル化や新型コロナウイルス感染症拡大による環境の変容、国家や地域間における紛争や政権交代など、これまでの常識では対応しきれないような様々な出来事や変化があります。
そうした先の見えない不透明な環境においても、最適な意思決定を積み重ねて企業を発展させていく上で、組織力はこれまで以上に注目されるようになりました
(2)働き方や人材の多様化
従業員の働き方も大きく変化しています。具体的には、働き方改革の推進による労働時間の見直しや削減、先に挙げた新型コロナウイルス感染症拡大によるリモートワーク(テレワーク)の増加などです。あわせてDX(デジタルトランスフォーメーション)も急激に発展しています。
また、グローバリゼーションや制度変更が進んだことによる外国人労働者の増加などで、社内や採用市場の人材も多様化しています。
組織を形づくる集団が多様な働き方と人材とで構成されていく中で、それぞれの事情に合わせてマネジメントしながら適材適所で人を配置することなどにより、個人の力を最大に引き出し、成長させ、組織力を高めることが求められています。
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2.組織を成立させる「バーナードの組織の3要素」
かのP.F.ドラッカーも影響を受けたというアメリカの経営学者に、チェスター・アーヴィング・バーナードがいます。バーナードは組織を「2人以上の人々の間で意識的に調整された活動ないし諸力の体系」と定義し、組織が成立するための3つの要素を提唱しました。それは別名「バーナードの組織の3要素」として広く知られています。バーナードは、1938年に出版した著書「経営者の役割」の中で、組織が成立するためには、
- コミュニケーション
- 貢献意欲
- 共通目的
の3要素が不可欠であり、どれかひとつでも欠けている場合には不完全な組織として、組織が健全に機能しなくなると定義づけました。
3要素の関連を文章化すると以下のようになります。
「組織は、(1)相互に意思を伝達できる人々がおり、(2)それらの人々は行為を貢献しようとする意欲をもって、(1)共通の目的の達成をめざすときに、成立する」
3要素それぞれの内容を、バーナードの著書に書かれた言葉を例にあげながら、現場で実際に活かせるよう具体的に説明します。
2-1.コミュニケーション
「伝達の技術は、いかなる組織にとっても重要な要素であり、多くの組織にとってはとくに重要な問題である。」
組織で仕事をする上で、情報の伝達をスムーズに行うにはコミュニケーションが欠かせません。経営者間、社員間、上司部下、同僚同士との間で活発なコミュニケーションがとりおこなわれると、業務の進捗や改善スピードも高まります。逆にコミュニケーションがとりにくい組織やチームでは情報の伝達がうまく進まず、生産効率が下がる現象があります。自分たちの職場はどうでしょうか。
コミュニケーションによって築かれる信頼関係は、仕事の進捗促進や、個人の育成・成長の助けにもなります。社員や部下に指示や指摘を行う際も、職場で日頃から関り、つながりを持つことで、伝わり方や腹落ちが異なります。
最近よく耳にする、心理的な安全性を高める上でもポイントとなります。役職者や上司は、ミスや失敗を指摘するだけでなく、部下の話や疑問を聴く姿勢を持つことが大切です。部下や周囲のメンバーが意見を言える環境や相談しやすい雰囲気を作る必要があります。これは部下の側も同様です。お互いに安心感の持てる人間関係が、業務の進行やチームワークを円滑にし、パフォーマンスを加速的に上げます。
また、コミュニケーションにより、互いの悩みやコンディションを知ることもできます。それにより、部下のモチベーションの低下を察知し、離職を未然に防ぐことも期待できます。風通しの良い社内風土は、職場を活性化させ、組織を強くするのです。チームビルディングに関する情報が増えていることや、採用市場でコミュニケーション能力の高い人材が必要とされる理由も、こうしたことと関係があると考えられます。
2-2.貢献意欲
「協働体系に対して努力を貢献しようとする人々の意欲が不可欠なものであることは明らかである。組織に関して通常使われている語句で、個人的意欲という要因をうまく言い当てているものは多い。『忠誠心』『団結心』『団体精神』『組織力』がその主なものである。」
「協働体系」とは組織を表します。企業が組織として機能し大きな成果を出していくためには、従業員一人ひとりの意欲は重要な要素です。人員構成の限られる中小企業などでは、特にその重要性のウェイトが高まります。
貢献意欲とは、会社やチーム、仲間に貢献したいというモチベーションであるとも言い換えられます。「人的資本経営」の導入が経営に必要とされる昨今ですが、その上でもこの意欲・モチベーションは重視されています。バーナードが提示する「忠誠心」「団結心」「団体精神」などは、人的資本経営で注目と重要度の高まるエンゲージメントとも関連します。
2-3.共通目的
「目的をもつことが必要なのは自明のことであり、『体系』『調整』『協働』という言葉のなかに含意されている。」
3つ目の要素が共通目的です。
会社という組織は、共通の目的や目標を共有し、目的意識を持ち、同じ方向に向かってその達成に取り組むことが必要です。組織は、何かのために存在します。目的のない組織はありません。
そのため会社が持つ明確な目的を提示し、浸透させることは重要です。共通した目的や目標がない場合、組織はまとまらず、価値観の異なる人々が集まるただの「集団」となってしまいます。同じ目的・目標を共有し、達成に向かって個々が動くことで企業としての力が発揮され、会社自体も成長することができます。
3.組織力を高める8つの方法
ここまでは経営学的視点も交えて組織力やその強化について説明しましたが、本章では組織力を高めるために何をすれば効果があるのか、活用できる具体的な施策や取り組みについてご説明します。
【8つの施策】
- (1) 企業理念やビジョンの浸透(共通目的)
- (2) 経営計画の共有(共通目標)
- (3) 業績の公開
- (4) 計数に強い人材の育成(計数教育)
- (5) 強いリーダーシップ
- (6) 機能する人事評価制度の構築と浸透
- (7) エンゲージメントの向上
- (8) やりきる風土―GPDCAの徹底―
(1)企業理念やビジョンの浸透(共通目的)
これは第4章で説明したバーナードの組織の成立の3要素でいう「共通目的」にあたります。
バーナードは、「目的」には、2つの側面があるとも言っています。1つは協働的側面、2つ目が主観的側面です。協働的側面とは、企業理念や従業員が持っている情報を共有し、達成に向けて協力して働くことを示します。
経済産業省は、人的資本経営の進め方を整理した『人材版伊藤レポート2.0』の中で、企業の存在意義や理念を再考する必要性を唱っています。理念をつくりなおすことがすべてではありませんが、今ある理念の「浸透」は必要です。
会社が何のために存在するのかという社会的な目的を、理念やビジョンを通じて従業員に説明する機会を都度設けることなどで、従業員のベクトルを会社と同じ方向に向けることができます。ひとつの目的に向かって動く集団≒組織は、大きな力を発揮するのです。
「理念浸透の方法」を詳しく知りたい方はこちらもお読みください
(2)経営計画の共有(共通目標)
前項で説明したビジョンの共有とも関わりますが、会社がこの先数年間で、何のために、何を目指すのか、またどれくらいの数値をどのように達成していくのかがわかるものを見える化し、それを従業員にも公開することで、目標や戦略を具体的に共有します。
中期経営計画は、従業員に対して会社が中期で進もうとしている方向性を示すにあたり、非常に良いツールとなります。中期経営計画で3-5年後の進む先と戦略を見せ、その計画を達成するための足元の計画として、単年度経営計画をつくります。経営計画の作成に幹部や管理者を巻き込み、自分事化させることも、組織力の強化には有効です。
計画の必要性は国も認めており、現在は、経営コンサルタントなどの専門家を使っての経営計画策定に国が補助金を出す制度(経営改善計画策定支援・通称405事業)もあります。
興味のある方は以下の記事をご参照ください。
(3)業績の公開
従業員に対し、会社の業績を公開します。もちろん役員報酬など、誤解をうみやすいと自社で考える数字は伏せてもよいですが、少なくとも、売上・限界利益(率)・売上総利益(率)・営業利益(率)までは公開することをおすすめします。
会社の業績を知らない状態で働いていると、薄利、あるいは赤字の場合でも、会社は儲(もう)かっていると社員は勘違いしがちです。業績の悪い会社でも「自分たちがこれだけ働いているのだから、会社はもっと従業員に還元すべき」という社員からの主張はよくあることです。これは、自社の業績や、自身の貢献利益を知らない場合に特に起こりやすくなります。
ビジネスの世界では、営業利益率5%、つまり、100円売って5円残れば優良企業とされますが、その損益構造を知らない従業員は思いのほか多く、利益は50円、30円は残るのが当たりまえだろう、と思っている人が意外と多いのです。
正しい損益構造を知り、自分たちが売上・利益にどれだけ貢献しているのかを把握することは大切です。業績を知らずに働いている従業員は、体重計に乗ることもせずダイエットに挑戦しているのと同じです。どの山を登るのか、目標を明確にすることが重要です。
(4)計数に強い人材の育成(計数教育)
業績の公開は、計数、つまり数字の教育とかならずセットで行う必要があります。多くの経営者が心配するように、計数知識のない中での業績の公開は、従業員の誤解や必要以上の不安を煽(あお)りかねません。
業績公開の章で述べたとおり、まずは正しい損益構造を理解することからはじめると良いでしょう。そこから全社の業績を理解し、各事業、各部門、各チームの業績を理解します。全社や所属する組織の業況を理解し、そのうえで各人の貢献数値を把握します。
計数教育をしっかり行うことで数字に強い人材を育て、全社と部門、チームなどの目標を達成するためのKPI(重要業績指標)を設定します。KPIを達成したら個人や全体の目標が達成される内容にまで明確に数字を落とし込みます。
「計数(数字)で語れる」会社、チーム、人材をつくることは、組織力の強化に大きく貢献します。少なくとも、目標達成まであといくら、と、目標の過不足を従業員が理解し、目標達成にむけて活動できる環境を整えるとよいでしょう。
(5)強いリーダーシップ
強い組織をつくるには、強いリーダーシップが必要です。経営者、幹部、管理者、それぞれが職責を果たし、組織を牽引するリーダーシップを持つ必要があります。
経営者は、会社を牽引し、従業員を守り成長させるリーダーとしての器を持つ必要があります。そして幹部、管理者もそれぞれに役割を果たす管理者能力を高めることが重要です。管理者とは何か、その責任やあるべき姿を可視化し、教え、評価し、管理者としてのスキルを高めていくことが大切です。
経営者だけに強いリーダーシップがある場合、ワンマン企業になりがちです。ワンマン経営は、意思決定力が早く、統率性が高いというメリットもありますが、経営者が交代となった場合に、組織の再現性がもてません。
強い組織の要素には、継続性も含まれます。誰が経営者になっても、あるいは現在のリーダーが交代したときにも会社が変わらず存続・繁栄するよう、サクセッションプランを用意し実行することも組織力強化の取り組みのひとつです。
(6)機能する人事評価制度の構築と浸透
従業員に意欲動機付けをおこなうために、会社に合った人事評価制度を整備し機能させることも組織力強化の重要な要素です。評価制度が機能していない、あるいは上手く運用がされていない会社は、従業員のモチベーションを下げかねません。バーナードの理論でいう「貢献意欲」とも関係します。
組織へのエンゲージメントを高め、組織に貢献したいという意欲やプロセス、成果を評価し、還元する仕組みを整えることで、組織に善循環をうむことができます。人事評価制度は、(1)評価制度 (2)報酬制度 (3)人事制度 の3つに大きくわかれます。
(1)評価制度にて、目標設定から目標管理、その評価とフィードバックを適正に行います。個人の価値をはかる評価制度から、金額を決める「査定」をするために、報酬制度を整えます。
(2)報酬制度は、給与制度と賞与制度にわかれます。社長が鉛筆をなめて決めるのではなく、従業員が理解・納得のできるルールで配分される必要があります。
また、それらの制度を支えるのが(3)人事制度です。人事制度は、将来組織や採用、人材の配置などをともなう「組織の施策」と、キャリアプランや職務の要件書など「育成の施策」、そして等級制度や役割基準書、昇・降格制度からなる「処遇の施策」にわかれます。
すべてを一気に整備する必要はありませんが、従業員の意欲動機付けができ、人の育成につながるような人事評価制度を導入していくと、組織力の強化につながっていきます。
制度導入後は、説明会や評価者研修、適切な頻度での評価・査定とフィードバック面談などを通じて社員らに対し、制度理解と浸透を高めていく必要があります。また、部下が意欲を持ってスキルアップや成果を出すことに挑戦し、達成し、適切な評価を得られるよう、上司のサポートが必要です。誰かが見ていてくれる、何をすればレベルや給与が高まるかわかる、そして適切に評価してもらえる、といった安心感は、社員の力を最大限に引き出します。彼らが自分で、自ら高く目標を目指し、可能性にチャレンジできるよう導く管理者を育てることも肝要です。
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(7)エンゲージメントの向上
前項でもすこし触れましたが、働く従業員のエンゲージメントを高めることも組織力の強化と関連します。人的資本経営においても、自社の従業員のエンゲージメントを「把握」し「向上」させる取り組みをすることの重要性がとなえられています。
エンゲージメントは、従業員が会社に対して持つ思いや働きがいなどをさします。厚生労働省が発行する労働経済白書『令和元年版 労働経済の分析―人手不足下での「働き方」をめぐる課題についてー』では、エンゲージメントと労働生産性には正の関連性があると公表されました。また、エンゲージメントの高さは定着率の高さとも関連しているとも報告しています。従業員のエンゲージメントを高めるための改善策や施策を考えるために、まずは現在の状況を把握することから始めるとよいでしょう。
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(8)やりきる風土―GPDCAの徹底―
決めたことを守る、やりきる風土があるかないかも、組織力と大きく関係します。
PDCAは大分以前から使われている概念であり、古いように思われがちですが、このPDCAがなかなか機能せず、回しきれていない会社はかなりの数存在します。「PDCAをやりきれる会社か否か」その違いが企業の勝ち負けをわけているといっても過言ではないようです。
最近ではこのPDCAに「G(ゴール)」を加え、「GPDCA」として用いられることもあります。G(ゴール)目的を明確にし、P(計画)を立て、D(行動)行動を起こし、C(検証)行動結果を検証し、A(改善)対策・改善を打つことをやりきる風土が絶対的に重要です。GPDCAを徹底してこそ、掲げた目標や目的に到達することができます。
このGPDCAを回しきるには、前出の強いリーダーシップと社員の意欲、そして社員の自立した意識が必要です。GPDCAをやりきる風土を持つ会社は、組織力の高い会社といえるでしょう。
4.組織力の高い企業事例
次に、組織力の高い、成長する企業の特徴や成功事例をご紹介します。
各社の強さの原因を探りましょう。
(1)株式会社キーエンス
自動制御機器、計測機器などの製造販売を行う日本企業のキーエンスは、高い平均年収を誇ることで有名です。営業利益率は55%、平均年収2,200万、時価総額は国内で5本の指に入るという国内屈指の高収益企業の根底を支えるのが、強い組織力です。
ベストセラーにもなった本『キーエンス解剖 最強企業のメカニズム』(西岡杏著/日経BP)の中で同社は、「会社を永続させる」に続くもうひとつの経営理念として「最小の資本と人で最大の付加価値を上げる」考え方があり、その理念を地でいく企業であることが紹介されています。また「目的意識」を大切にしていることが、ホームページにも記載されています。
キーエンスでは、新年度がはじまると全社の全員に対し「今年の時間チャージは○○です」と発表されるそうです。時間チャージとは、前年度に生み出した付加価値を全社員の総労働時間で割った数字であり、社員1人が1時間あたりいくらの粗利を生んだのかを示す数字です。各社員は、どんな仕事をするにもこの時間チャージを意識して働きます。そのため「計数から考える」ことが日頃からできているのです。その動きは、理念ともつながっています。
また、会社の利益を賞与で社員に還元しています。社員へのその還元割合も明確です。それにより「努力すれば報われる納得感を与えることで、社員の努力を引き出すことに成功している」と評されています。同社の評価制度はアクションと成果での評価軸があり、ベテランになるほど結果重視、若手社員はアクションを重視されます。結果だけでなく、よいプロセスを踏んで結果につながったか、を評価するそうです。
管理者の意識や改善をうながす管理者の360度評価も、かなり早い時期に導入されていました。バーナードの理論に当てはめても、強い組織力をつくる要素が網羅(もうら)されていることがわかります。
国内トップ3の時価総額、メーカーとして脅威の利益率、そして上場企業の中で屈指の高賃金、それらを実現できている理由を、キーエンスOBはこう答えたと言います。「キーエンスは仕組みと、それをやりきる風土がすごい」。「仕組みを整備し、社員はそれに合わせて正しい行動をやりきる、それがキーエンスの強さの根源であり、人材育成の要諦でもある」前出の本の著者は、キーエンスの強さをそう表現しています。
書籍:
『キーエンス解剖 最強企業のメカニズム』
著:西岡杏 著/日経BP
(2)NBCコンサルタンツ株式会社
国内系経営コンサルティングファームとしては最大級を誇るNBCコンサルタンツでは、計数管理と人材教育をベースに様々な経営支援を日本の中小・中堅企業に提供しています。
組織力を高めるサービスを顧客企業に展開するだけでなく、自社においても組織力強化の取り組みを創業時から実践していることが特徴的です。社員は経営理念やビジョンの書かれたクレドを携帯し、毎月の全体会議にて唱和します。それにより、NBCが目指すコンサルタントとしての使命を各自毎月振り返ります。また、毎年全社員を集めての計画発表会や、成功事例発表会など多種のイベントもあります。
入社した社員は、新人研修の一環として「実践人財塾®」という研修を受講します。顧客にも提供する、人材育成・意識変革(変容)のための研修です。その研修では、経営コンサルタントとしての前にひとりの人間としての在り方を考え、人間力を高めることに取り組みます。働き観の醸成や再醸成もその研修で行い、仕事に対する更なる向上心や主体性、やりきる力を高めるのです。自立した社員が育つNBC教育の根底ともいえます。
また「労働分配率経営」を社内で実践し、適正及び目標労働分配率をもとに、社員はチームと個人の目標達成を追及します。主体的に動き、目標達成に向けてやりきる組織風土が醸成されているのです。自身がいくら貢献したかも明確にされており、成果が給与に反映される評価制度があります。頑張ったら頑張った分だけ還元されることで、意欲動機付けが行えているのです。
また、全国主要都市に拠点を構えますが、拠点長は自拠点の「経営者」として、部下の給料に責任を負います。
部下の給料を高めることが上司の仕事であると考え、上司部下でコミュニケーションを取りながら育成し、早期に一人前の経営コンサルタントへと成長させる仕組みが教育体系とともに備わっています。
さらには、従業員のエンゲージメントをNBC独自の「社風調査」にて毎年調査し、定点観測をおこないながら改善と向上に取り組んでいます。その結果、定着率は年々向上し、現在は毎年20名の純増採用に3年間取り組むことを打ち出し、コンサルタント100名体制に向けて動いています。
5.自社の組織力の課題を把握する方法:『社風調査』
御社の組織力は、高いでしょうか、低いでしょうかー。
自社の組織力を高めるためには「現在の組織力がどれくらいのものなのか」を把握することが必要です。
先にあげたNBCコンサルタンツの『社風調査』では、各企業において、自社の組織力の把握が簡単に実施できます。組織力の把握だけでなく、その結果から改善・強化の糸口をみつけることも可能です。
「組織力」という目には見えないものをグラフやデータに「見える化」することは、経営の大きな助けとなります。生産性に関係すると経済産業省で報告されているエンゲージメントの状態を把握・可視化し、業績の向上を図ることも可能です。
(社風調査の実施フロー)
- 30問の設問内容が書かれたアンケート(用紙あるいはWEB)に従業員が「はい・いいえ」で回答します。※所要時間約3分
- 回収したアンケートをNBCのシステムで集計します。
- 集計結果が、経営に必要な6つの柱(「やりがい」「権限委譲」「人財育成」「人事評価制度」「戦略」「社内風土」)にわかれてグラフ化されます。
- 各設問結果に対する回答割合も、別で集計されます。
- コンサルタントにて集計結果を総合的に分析し、レポートと共に報告されます。
- 社風調査の分析結果を経営者だけでなく幹部・管理職にも報告し、彼らの管理者としての課題意識と改善をうながします。
「組織力が高いのか、低いのか」「どこに課題があり、何に取り組めば改善が早いのか」
現状を知らずに対策を講ずるとずれた取り組みになりがちで、解決に導けなくなります。
自社の組織力強化のために現状を正しく把握したい方は、「社風調査」をお気軽にお申し込みください。
人的資本経営を実践していく上での効果的な組織開発にもつながります。
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6.まとめ
いかがでしたでしょうか。このコラムでは、組織力を経営学の点から見直し、強化方法や事例について触れてきました。
組織力の強化は、会社を堅固なものとします。計画や目標の達成・永続的な繁栄を目指すうえでも、不可欠な要素です。商品やサービスでの差別化が難しくなっている今、組織力の強さが他社との一線を画するといっても過言ではありません。
現状の組織力の把握を正しくおこない、自社に合った取り組みにてその向上と強化をめざしましょう。
これから先、より不透明さを増していく事業環境の中で、全社一丸となって大きな動きを起こせる組織力の強さは、企業の規模に関わらず、どこにも真似できない、非代替的な自社独自の強みとなるでしょう。
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