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組織風土改革で、人が育つ社風をつくる

2022.04.14

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就職や転職、退職の要因として「社風が合う・合わない」ということも多く、企業の雰囲気を表す際に使われる社風という言葉。

社員個人のモチベーションやパフォーマンスに対して大きな影響力をもつことがわかります。社風が個人に与える影響や、その改革に必要な要素・プロセスについて解説していきます。


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目次

「社風」を改善する重要性

「社風」の悪化が業績不振を招く

普段の会話の中で使ったり耳にしたりすることも多い「社風」という言葉ですが、そもそもどのような意味をもつのでしょうか。まずは「社風」について整理をするとともに、「社風」がもたらす社員への効果・影響の大きさについても考えてみましょう。

「社風」は、企業の歴史の中で連綿と培われてきた文化や価値観、さらには社員一人ひとりの意識など、様々な要素が絡みあって作りあがる会社全体の雰囲気です。
その「社風」が社員それぞれのモチベーションに悪影響を及ぼしているとしたら、改善する必要があります。単に個々の価値観の問題と見過ごしにしていると、社員のモチベーションが低下し、さらには組織力が弱くなり、さらには業績不振につながります。

業績不振の本質的原因

企業が倒産にいたる本質的な原因を探ると、経営者の経営情熱の欠如が、幹部さらには社員のモラールの低下へと広がっていきます。つまり「社風の悪化」が「倒産」という結果につながるという因果関係がみられます。
この悪循環を止めるために、「社風」の改善は必須であるととらえてください。

業績悪化の本質原因

009社風_業績悪化の本質原因NBCコンサルタンツ「企業倒産因果律からの考察と改革」

「社風」を変えるために必要なこととは

「社風」と「組織風土」

「社風」を改善しようとしても何から手をつければいいのか迷う方が多いでしょう。そのカギとなるのが「組織風土」です。

1974年に発表されたLitwin & Stringerが発表した論文によると、「組織風土」について、「仕事環境で生活し、活動している人が、直接的にあるいは間接的に認知し、メンバーのモチベーションや行動に影響を及ぼすと考えられる一連の仕事環境の測定可能な特性」と定義づけられています。

それ以降、社員のモチベーションや行動に関する環境的な影響を明確化しようと研究や調査が進められてきました。その考え方は「組織風土」と訳され、近年、日本でも組織改革の重要な要素として広がってきています。

では実際に、「組織風土」は、社員一人ひとりのパフォーマンスにどの程度相関性があるのか見てみましょう。

「組織風土」は社員のパフォーマンスにつながる

個人パフォーマンスと各カテゴリの相関係数についての調査結果

009社風_個人パフォーマンスと各カテゴリの相関性出典:跡見学園女子大学マネジメント学部紀要』第28号 2019年7月佐藤敦「ビジネスパーソン・モチベーション2018の研究」

個人パフォーマンス、組織パフォーマンスそれぞれにどのような要因がかかわっているかを明らかにするために調査した「ビジネスパーソン・モチベーション」という報告書を見ると、個人パフォーマンスと相関する要因として、「仕事」の84.6%に次ぎ、「風土」は70.8%と相関関係が高いことがわかりました。

個人のパフォーマンスにこれだけ大きな影響を及ぼす「風土」をさらに細分化して検証すると、下記の5つの項目が挙げられています。

個人のパフォーマンスに影響をおよぼす5大要素

  • 相互チェック・指摘がしあえるか
  • 迅速・真摯な対応ができているか
  • ルール違反等の開示ができているか
  • 不必要なルールの見直しはされているか
  • 不安全行動への指摘がされているか

これらの要因を解釈すると個人パフォーマンスの向上を引き出す風土とは、 「職場で問題を見える化し、チャレンジ・改善する風土」に集約されます。そのような風土が土台となり、個々が成長を自覚し達成感が得られる社風へと変えていくことが目標となります。

社員の意識を高め、個々が成長する社風づくりを実現

社員一人ひとりの意識改革で「組織風土」を変える

社員一人ひとりがポテンシャルを発揮し、高いパフォーマンス性を実現できる組織をつくるためには、組織風土の改革は必要不可欠です。

しかしながら、組織風土を変えるということは可能なのでしょうか。

確かに、受け継がれてきた伝統や体質など、変えるためのハードルが高いとも考えられます。他方で、働きやすい環境づくりやルールづくりなどを通じて新たな組織風土を根付かせれば、社員一人ひとりのモチベーションが高まるような組織に変わることは可能なのです。

組織風土改革に必要不可欠な3つの要素

組織風土を改革するためには3つの要素が必要です。

組織活性化の3要素

共通目的・目標
  • 共通目的・目標の浸透
  • 全社目標利益の浸透
  • 部門目標への落とし込み
  • 個人目標への落とし込み
  • PDCAマネジメントの機能
意思疎通・コミュニケーション
  • 共通目標達成のための会議
  • 部門間の協力度・交流
  • 上下関係
  • 本音を言える関係性
意欲動機付け
  • 自分の将来の目標
  • 仕事のやりがい
  • 仲間・上司から認められる風土
  • 給与・人事評価制度

共通目的というのは経営理念などが該当し、社員に浸透させて同じ方向性を向いて取り組んでいかなければいけません。その共通の目的達成のために、全社目標利益、部門目標、個人目標へと各目標が結ばれていくという構造です。

そして①における目標達成のためには②の意思疎通・コミュニケーションや、目標達成できた暁には何が得られるかという③の意欲動機付けが必要になってきます。

しかしここで注意が必要な点は、利益を目的とした数字目標ばかりにフォーカスすると、「数字をあげていれば、何をしてもいい」という考えにつながる危険性があるということです。

会社の存在目的は何なのか、仕事を通じてどうなりたいのか、企業理念の実現につながるかどうか。目標達成に向かうこのようなプロセスを重要視することが組織を強くするのだという意識を、社員にも浸透させることが組織風土の改革にもつながります。

組織風土改革の「失敗と成功のプロセス」を知る

「目標」が「強制」になると「失敗のプロセス」に陥る

組織改革における成功のプロセスと失敗のプロセス

009社風_成功と失敗のプロセス出典:『学習する組織 現場に変化のタネをまく』
※別紙図版指示書

組織が変革を目指すためのプロセスとして、「ビジョン・ミッション」を落とし込んだ「ゴール・目標」、「仕組み・やり方」、「学習・知識・スキル獲得」、「現場での実践」、そして「ゴール・目標」というサイクルがあります。

このプロセスにおいて、「右回り」を選ぶか、「左回り」を選ぶかが、失敗と成功の分かれ道になります。

「ビジョン・ミッション」⇒「ゴール・目標」⇒「仕組み・やり方」⇒「学習・知識・スキル獲得」⇒「現場での実践」⇒「ゴール・目標」という右回りのプロセスで進めてしまう場合、失敗のプロセスに陥る可能性が高まります。

それは、戦略的なゴールや目標、さらにはそれを達成するための施策や仕組み・制度が、一部の人によって決められたものであると感じた瞬間、組織のメンバーにとっては「指示・命令」であり、「強制されたノルマ」になってしまうためです。

現場の実情を踏まえることなく、仕組み・やり方だけを突きつけられても、メンバーにとっては絵に描いた餅のように感じられてしまい、変革を起こそうという気運は高まりません。現状に合致しない試みに対しては、メンバーが意欲的に取り組むという状況が生まれず、施策は形骸化することでしょう。

同時に、現状に適応していない仕組み・やり方が先行した上での学習(トレーニング)は「教え込む」という形式になり、「マニュアル化」してしまうという危険性が高まります。

結果として、メンバーは「言われたこと」、「指示されたこと」しかやらなくなり、目標達成ばかりを重視するため、管理が強化されるという悪循環に。たとえ目標を達成したとしても、メンバーのやる気は喪失され、管理者も疲弊してしまうという負の状況に飲み込まれてしまうでしょう。

リーダーとメンバーがビジョンをシェアして「成功のプロセス」へ

「ビジョン・ミッション」⇒「ゴール・目標」⇒「現場での実践」⇒「学習・知識・スキル獲得」⇒「仕組み・やり方」⇒「ゴール・目標」という左回りの成功のプロセスを実践できた場合、目標や仕組みが組織に浸透していき、メンバーの一人ひとりが主体的に取り組める仕事環境が生まれます。

成功のプロセスで重要となるのが、まずは話し合いを通じてリーダーが思いを熱く語ることで、メンバーとビジョンをシェアすることです。

次のステップでは、ゴールや目標の設定段階からメンバーが参画することが肝要に。お互いの思いや役割について、話し合いのプロセスを通して共有化することで、目標にある背景や状況への理解が深まると同時に、「言いたいことは言えた」「上司はそれを聞いてくれた」と当事者意識が高まります。

さらに、設定されたゴールや目標の決定に際し、自分が主体的に関わっているという事実があることにより、強制されたものではないという気持ちや達成意欲、行動意欲が芽生えることにもつながります。

このように強制感がなく自由であり、主体的に関わっているという意識を持つことで、楽しみながら仕事に臨むことができるようになるでしょう。

メンバーが主体的に目標を設定し、現場での実情に合わせて仮説・検証を試み、楽しみながら学習をした上で仕組みや制度が構築されていく。このプロセスを実践できた時、チームや企業は学習する組織となり、未来につながる「社風」の改革が実現できるのです。

目的意識をもって組織風土の改革に取り組む

社風という言葉には社員一人ひとりの会社に対する思いや潜在的な意識、経営者の心のあり方など、様々な要素が反映されています。

まずはその正体をしっかりと理解し、組織風土改革のプロセスを取り入れてみましょう。結果、社員が働きやすさを感じながら、モチベーションを高く保ち、主体的に仕事に取り組むことができる社風を作れれば、強固な組織力構築へとつながるのです。

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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