社風は、社内で感じられる独特の雰囲気や空気感を指します。社風はあらゆる要素によって作りあげられるものですが、なかでも「良い社風」の要素となる代表的な特徴が「風通しの良さ」です。社風の良さと風通しの良さは、イコール関係にあるといっても過言ではないでしょう。
しかし、「風通しの良い」社風とは、具体的にどのような社風なのか分からない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、風通しの良い社風の特徴やデメリットから、風通しの良い社風を作る方法まで詳しく解説します。社員が長く働き続けられる企業にするためにも、風通しの良い社風を作りたいと考える経営者の方や人事担当者の方は、ぜひご覧ください。
目次
1. 「風通しの良い」社風とは?
求人情報や職場情報では、社風の良さをアピールするための文言として、「風通しの良い職場」という表記がよく用いられます。社風の良さと風通しの良さはイコール関係にあると言えるほど、社風を向上させるためには風通しが重要です。
しかし、風通しの良い社風とは具体的にどのような社風なのかを質問されて、適切に答えられる方は少ないのではないでしょうか。
そこでまずは、風通しの良い社風の特徴を4つ説明します。
1-1. 社員同士のコミュニケーションが多い
風通しの良い社風は、「社員同士のコミュニケーションが多い」ことが特徴です。そもそもコミュニケーションとは、自分の気持ちや考えを文字や言葉にして相手に伝えたり、お互いの感情や意見を交換・共有したりするというものです。職場においては各々の関係性を深めるためにも重要な要素であると言えます。
社員たちのコミュニケーションが活発であることで、風通しが良いという雰囲気が出るだけでなく、意思疎通の不足によって起こり得る業務ミスを最大限まで防止できたり、アイデアやイノベーションが創出しやすくなったりするでしょう。
1-2. 上下関係がない
風通しの良い職場は、厳しい上下関係がないことも特徴です。職場には上司やリーダー、部下や新人といったさまざまな立場の社員が存在します。立場によって厳しい上下関係が存在することで、多くの社員がストレスを感じやすく、風通しも悪くなってしまいます。
しかし、厳しい上下関係がなくフラットに働けるような職場であれば、部下であってもリーダーや上司に意見や相談をしやすく、先輩と後輩といった関係のように親しみをもって接することが可能です。結果として、コミュニケーションの活発化にもつながるでしょう。
1-3. 自分の意見を言いやすい
自分の意見を言いやすいという点は、風通しの良い社風の代表的な特徴です。上司や先輩社員に対して自分の意見を言いやすい環境や、どのような意見を述べても非難することなく受け入れてくれるという環境は、風通しの良さに大きくつながるでしょう。
意見交換のしやすい環境で働くことによって、コミュニケーションの活発化につながるだけでなく、社員一人ひとりの個性や強み・弱みを理解しやすい環境づくりやチームワークの構築にも貢献できます。
1-4. 「ローカルルール」「暗黙の了解」がない
ある程度その企業で働いた経験がある社員にしか分からない「ローカルルール」や「暗黙の了解」は、会社の風通しを妨げる要因です。特に、「○○さんよりも早く昼休憩をとってはいけない」など意図の分からないルールや規則があった場合は、社員のモチベーション低下や早期離職にもつながるでしょう。
風通しの良い職場は、このような意図の分からないローカルルールや、マニュアル・規則にも記載されていない暗黙の了解がないことが特徴です。勤続年数の短い社員や新人も職場の人間関係に溶け込みやすくなり、ハラスメント問題への発展も最大限防げるでしょう。
2. 風通しの良い社風のデメリット
「風通しの良い社風」と聞いて、ポジティブなイメージをもつ方は非常に多いでしょう。しかし、風通しが良いからこそのデメリットも少なからず存在します。
風通しの良い社風のデメリット
社員の性格によっては居心地の悪さを感じる
人は誰もが「人との関わり」を好むわけではありません。中には幅広い人とのコミュニケーションが苦手な社員も多く、風通しの良さがかえって苦痛となる可能性があることも覚えておきましょう。
仕事のメリハリがなくなる
風通しの良い社風は、「コミュニケーションが活発である」という点が最大の特徴です。社員同士の距離感が近いことからかえって緊張感に欠け、仕事のメリハリがなくなる可能性があります。仕事のメリハリがなくなると、業務効率が低下したり、業務ミスが発生しやすくなったりする点に注意しましょう。
風通しが良いことには上記のようなデメリットもありますが、だからと言って風通しをあえて悪くする必要はありません。それぞれのデメリットに対して、適切な対策や工夫を取り入れることが最も大切です。
3. 風通しの良い社風を作る方法
風通しの良い社風を作ることで、社員一人ひとりがルールや節度を守りながら、向上心をもって働き続けられるようになります。新たなアイデアのイノベーションの創出にもつながるため、風通しの良い社風作りは企業としての最優先課題と言えるでしょう。
では、風通しの良い社風を作るためにはどのような取り組みを実施するとよいのでしょうか。ここからは、経営者の方や人事担当者の方ができる「風通しの良い社風の作り方」を5つ紹介します。
3-1. 社員へアンケートを行う
風通しの良い社風作りに努める際は、まず社内の風通しについて社員がどのように考えているかを明確にするためにも社員アンケートを行いましょう。社員アンケートは結果的に従業員満足度の向上を目的に実施することから、「従業員エンゲージメント調査」とも呼ばれています。
社内アンケートは、企業が思い描く風通しの良い社風と、社員が思い描く風通しの良い社風のギャップを埋めるための情報収集としても重要です。社員一人ひとりがどのような職場環境を求めているかが回答結果から分かるよう、適切な質問事項を出しましょう。
3-2. 社内イベントを行う
風通しの良い社風を作るためには、社内イベントの実施もおすすめです。社内イベントは目的によっても期待できる効果は異なるものの、基本的にコミュニケーションの促進・社員のモチベーション向上につながる大切なイベントとなっています。
社内イベントを実施することで、上司や部下との関係性はもちろん、普段の業務では関わることのないような他部署の社員との関係性の構築にもつながるでしょう。しかし、中には社内イベントが苦手な社員もいるため、なるべくすべての社員が楽しめるような工夫を取り入れることもポイントです。
3-3. メンター制度を導入する
職場の風通しを良くするためには、メンター制度の導入もおすすめです。メンター制度とは、豊富な知識と経験を有した社員をメンター、新人や後輩をメンティーとして、「メンターがメンティーに対して業務やキャリア形成などの支援活動を行う制度」のことです。
メンター制度の導入は、若手社員の離職率低下・社内の人間関係の構築に大きくつながります。また、一人ひとりがキャリアアップしやすい環境作りにも貢献するため、結果として風通しも良好なものとなるでしょう。
メンター制度を導入する際は、誰をメンター・メンティーにするか、それぞれの人間性や個性も踏まえて適切に選ぶ必要があります。
3-4. フリーアドレス制度を導入する
職場の風通しをより良くするためには、フリーアドレス制度を導入するのもよいでしょう。フリーアドレスとは、社員一人ひとりがオフィス内で固定席をもたず、席を自由に選んで働くワークスタイルのことです。IT発展により世界中で広まったスタイルであり、働き方の柔軟性を向上させられます。
オフィス環境において固定席というルールに縛られず、好きな席に座って異なる光景で仕事に励めるという点は、風通しの良さに大きくつながるでしょう。加えて、新たなアイデアやイノベーションの創出・生産性の向上効果も期待できます。
3-5. 1on1を行う
職場の風通しを良くするためには、社員一人ひとりの悩みをなるべくサポートしてあげられる環境を作ることが大切です。そして、社員の悩みや課題をサポートするために必要となるのが、1on1となります。
1on1とは、上司と部下が1対1で行うミーティングのことです。評価のための人事面談とは違い、部下の成長や悩みのサポートが主な目的となっています。親しみをもって1on1を行うことで、部下との信頼関係が構築され、部下はより意見を言いやすい環境で働けるようになるでしょう。
しかし、1on1は上司と部下が1対1で行う対話であることから、部下が緊張して本音を伝えられなくなるといったケースも珍しくありません。1on1を実施する際は、あらかじめ目的やアジェンダを伝えておき、本音を言いやすい環境を構築しておくことが理想です。また、面談担当者は普段から多くの部下と親しみをもって関わることも意識しましょう。
まとめ
社風の良さと風通しの良さは、イコール関係にあるといっても過言ではありません。そのため、「職場の風通しを良くしよう」と考える経営者の方や人事担当者の方も多くいるでしょう。
風通しの良い社風の特徴は、「コミュニケーションが活発」「厳しい上下関係がない」「自分の意見を言いやすい」「暗黙のルールがない」などが挙げられます。これらの特徴があるだけで働きやすさは格段に向上するものの、風通しが良いことがかえって苦痛となる社員がいることも念頭に置き、適切な対応をとるようにしましょう。
風通しの良い社風を作るためには、さまざまな方法があります。ここまでの内容を参考に、ぜひ職場の風通しを良くするための社内環境作りに努めてみてはいかがでしょうか。
- 従業員のエンゲージメント調査を無料でやってみたい
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(令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成)
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