「喜怒哀楽」──人間の感情を表す四字熟語です。
感情は、私達の心が健全であるためにも大切な心の動きなのですが、社会生活の中では、この感情をコントロールしなければならない場面が多いです。
感情をうまくコントロールできなくて大きな後悔を招いてしまった……という経験をされている方も少なくないのではないでしょうか?
今回は、感情の中でも特にコントロールしたい「怒」について少し詳しく触れ、非常に私的なものであるこの「感情」に上司として、組織を預かる者としてどう向き合っていくか……を考えてみたいと思います。
目次
アンガーマネジメントが必要な理由
組織内では管理者含め、上位の役職者になればなるほど、 怒りを「抑える」こと、時として「我慢」することを強いられます。
しかし、怒りは決して負ばかりの感情ではありません。 怒りには、押し込めるばかりではもったいない側面もあるのです。
メリットは活かし、デメリットには留意する……この「使い分け」が 怒りのコントロールの一つのポイントなのです。では、怒りのメリット/デメリットについて考えてみましょう。
「怒り」のメリット/デメリットを知る
怒りの「メリット」
- 1.モチベーションがあがる
- 2.前進するエネルギーになる
- 3.真剣さが伝わる
怒りの「デメリット」
- 1.人間関係の悪化
- 2.場の空気が悪くなる
- 3.ハラスメントへ繋がる
発する側の背景や、受ける側の「受け取り方」にもよりますが、代表的なものは上記です。
上位の役職者はこの「デメリット」をきちんと認識しておくことが大切です。この認識無くして、心のままに怒りで接してしまうと、意図せぬところで組織や部下の成長を阻害してしまったり、社内のムードを冷えさせてしまったり、という望まぬ結果につながりかねません。
「怒りを『見える化』する」ことをオススメします。
「怒り」の『見える化』ログとスケール
「怒り」の見える化 をするためにアンガーログを付けることと、その怒ったことに対して、スケール化(点数化)してみましょう。 ログの付け方とスケール化の例は以下に記載します。
ログ(記録)
- 1.いつ:怒りを感じた日時
- 2.どこで
- 3.だれが:怒りを感じた相手
- 4.だれに
- 5.なにをした:怒りを感じたできごと
- 6.そのとき、自分が思ったこと
- 7.そのとき、自分がとった行動
- 8.相手に期待していたこと:とって欲しかった行動や言動
- 9.怒りの点数:10点満点の何点か
何かでカッとしてしまったとき、 この9つの視点で振り返り、記録します。(※無理なくできる範囲で)
スケール(怒りのログの9つ目の項目)
感情は「測れない」「単位も存在しない」ものですが、 自分の感覚で点数をつけてみると、 怒りを客観視して自覚できるようになってきます。
「平穏時、ふつうな状態」………0点
「苛立ち、ムカついている」……5点
「人生最大級レベルの怒り」……10点
心に湧いたその怒りが何点くらいだったか……をチェックしてみます。
この「ログ」と「スケール」を繰り返していくと、 自分の感情の幅や、怒りの沸点の傾向などが見えてきて、 改めて、人に対するときの心の準備ができるようになります。
アンガーマネジメントは「怒らない」事が目的ではない
アンガーマネジメントは、怒らないことを目的にしているのではありません。
「適切な」厳しさがなければ、組織風土は甘く、だらしなくもなってしまいます。成長は遅延し、結果、成果は中長期的に出にくくなります。 この「適切な」のために、怒りをコントロールすることが肝要です。
まとめ
組織の上位者が社風に与える影響は大きく、上司の一言、振る舞い一つに周囲が左右されることも多々あります。 私たちにとって、一個人として身近で自然な心の動き一つが、 良くも悪くも組織風土に影響してしまうのだ、ということを 心得ておきたいものです。
今の御社の社風はどうですか? 社風は、会社組織を構成する見えない要素の代表ですが、 NBCではこの、見えない社風を「見える形にする」独自の診断を いたしております。
- 方向性や将来は描けているか?
- 目標意識はどうか?
- 社内の仕組みは機能しているか?
- 人が育つ環境はあるか? ……etc.
社員一人ひとりの価値観などによって組織独自の醸成されるこの「社風」に、
「組織の上位者としてなにか与えているマイナスな影響はないだろうか」
「日々、組織や部下たちによかれと思ってしている言動が実っているか」
今後の組織の成長に向けた気づきのためにも、 皆さんの心穏やかな日々のためにも、 自社の現状把握の一つのツールとして「観測」されてみることをオススメします。
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
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