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資金繰りがショートする原因|ショートを防ぐ対策も

2022.11.30

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企業を経営する上で、資金繰りを計画的に行うことは非常に重要です。しかし、日々業務に追われ、気づいたときには手持ちの預金・現金が不足して資金ショート寸前となってしまう中堅・中小企業は少なくありません。資金繰りがショートすると、取引先への支払いや事業運営にも悪影響が出ることに注意しましょう。

そこで当記事では、資金繰りがショートする原因や、資金繰りがショートしたときの対処法について解説します。資金繰りのショートを防ぐための対策も併せて確認し、資金繰りと企業経営の安定化を図りましょう。

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目次

1.資金繰りがショートする原因とは?

資金ショート(資金繰りのショート)とは、手元の現金や預金が不足して企業経営に支障が出る状況を指します。特に、近年は新型コロナウイルス感染症や物価上昇などの影響により、資金難に陥った企業も多いでしょう。このような状況下で対応が遅れると、資金繰りのショートが発生する恐れがあるため注意が必要です。

ここでは、資金繰りのショートが発生する主な原因について解説します。企業の運営に悪影響を及ぼさないようにするためにも、原因をふまえた上で適切な対応をとりましょう。

1-1.管理不足による資金ショート

資金繰りのショートが発生する主な原因の1つとして「資金繰りの管理不足」が挙げられます。規模が比較的小さい企業では「そもそも資金繰りの管理をしていない」という場合も少なくありません。しかし、入金額よりも出金額のほうが多ければ資金不足が起こるため、運転資金の動きは最低限把握しておくことが大切です。

予定されている出費を管理することは特に重要となります。税金や経費の支払い、借入金の返済など、経営上必要な出費に関しては、支払期日や金額をきちんと把握した上で適切に資金を管理するようにしましょう。

1-2.認識不足による資金ショート

入金や出金といった資金の流れに関する認識が不足している場合にも、資金繰りのショートが起こる可能性があることに注意が必要です。「税金の種類を誤認していた」「納税金額・期日を勘違いしていた」「借入金の返済計画にミスがあった」などの理由で資金繰りが苦しくなる場合があることに注意しましょう。

また「発生主義」と「現金主義」という会計基準の認識違いによっても、資金繰りのショートが発生する恐れがあります。

◆発生主義と現金主義の違い

・発生主義

実際の入出金の有無にとらわれず、収益や費用を「一定期間内に発生した事実」で認識する考え方

・現金主義

現金や預金の入出金に基づいて、収益や費用を認識する考え方

発生主義に基づいて資金の流れを考えていると、自身が認識する入金日と実際の入金日にズレが生じる場合があります。入金を待っている間に資金繰りが苦しくなるケースもあることに注意しましょう。

1-3.予期せぬ事態による資金ショート

資金繰りを適切に行っている企業や、資金の流れに関して正しい認識を持っている企業でも、予期せぬ出来事によって資金ショートが発生する可能性があります。

◆予期せぬ事態の例

  • 得意先からの入金が遅延した
  • 得意先が倒産した・不渡りを出した
  • 訴訟に敗訴し、多額の損害賠償債務などを負ってしまった
  • 自然災害などにより、経営状態が急激に悪化した
  • 災害や感染症(新型コロナウイルス感染症など)、風評被害、行政処分などにより、売上が急激に減少してしまった

2.資金繰りがショートしたときの対処法

資金繰りが実際にショートしてしまった場合には、企業として緊急的な措置を講じる必要があります。実施できる解決策としては以下のようなものがあるため、事前に確認しておきましょう。

◆資金繰りがショートしたときの主な対処法

  • 経費を削減する
  • 売掛金を早期回収する
  • 債権・手形を売却する(手形割引・ファクタリングの利用)
  • 在庫・遊休資産を売却する
  • 金融機関から借り入れる
  • 新株を発行する
  • 支払先にリスケを依頼する
  • 親族などから借り入れる・出資を受ける など

上記のうち「支払いのリスケを依頼する」「親族などに借り入れや出資を依頼する」以外の方法は、資金繰りの改善策として緊急事態が起こった場合以外でも実施できます。資金繰りの改善について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考ください。

資金繰りが苦しい場合の対処法|やってはいけない対処法も紹介

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資金繰りを改善する7つの施策

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一方で「支払いのリスケ依頼」「親族などからの借り入れ・出資依頼」は、依頼した相手からの信用を失う恐れがあるため、容易に実行できない方法であることに注意が必要です。

ここでは、緊急時以外の実行が難しく、実施する場合には注意を要する「リスケ依頼」「親族への借り入れ・出資依頼」における具体的な行動や注意点について確認しましょう。

2-1.支払先にリスケを依頼する

資金繰りがショートし、支払いや借入金の返済に影響が出そうな場合には、支払先・借入先に期日をリスケしてもらえるよう交渉してみましょう。「リスケ」とはリスケジュールのことであり、資金繰りにおいては支払期日の繰り延べ(返済スケジュールの変更)のことを指します。

延期してもらった期日までに資金調達し、支払いや返済を行うことができれば、当面は資金ショートを回避することができるでしょう。特に借入金の返済資金が不足している場合、延滞すると信用情報に傷がついて今後の融資を受けることが難しくなるため、借入先とよく相談して返済期日を設定することが大切です。

2-2.親族などから借り入れる・出資を受ける

金融機関からの融資を待てないような緊急時であれば、経営者個人や家族・親族・友人などから借り入れることも1つの方法です。周囲の人に借り入れを依頼する場合は、きちんと礼儀を尽くした上で、返済の予定・計画などもしっかり提示することを心がけましょう。

また、株式会社の場合は株主(出資者)を説得し、増資を依頼することも検討してみましょう。金融機関よりも出資が必要な経緯を説明しやすく、経営者の感情も汲み取ってくれる場合が多いため、緊急性の高い危機に対して早い対応ができる可能性があります。

ただし、いずれの方法でも融資・出資してくれる人との人間関係に悪影響を与える可能性があります。また、経営者個人が融資・出資すると、経営破綻の際には自らの生活基盤を失うことにもつながるため、慎重な判断が必要です。

3.資金繰りのショートを防ぐ対策

資金繰りがショートするとさまざまな問題が起こる可能性があるため、日頃から資金の管理を適切に行い、資金の流れに対して適切な認識を持っておくことが大切です。

それでは、資金繰りのショートを事前に防ぐためには、具体的にどのようなことを実施すればよいのでしょうか。ここでは、資金ショートを未然に防ぐための対応策を3つ紹介します。

3-1.資金繰り表を活用して入出金を把握・管理する

資金繰りのショートを防ぐためには「資金繰り表」を作成して入出金の状況を適切に管理することが大切です。資金繰り表を活用して資金の流れを見直し、常に把握・管理しておけば、資金ショートの兆候を早めに発見し、適切に対応するなどの計画的な行動もできるでしょう。

資金繰り表の詳細な意味や具体的な作成方法は、以下の記事で詳しく解説しています。資金繰り表について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事をご参考ください。

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3-2.自社の財務状況を正確に把握・分析する

資金繰り悪化のリスクを低減するためには、自社の財務状況を正確に把握し、的確な分析を行うことが大切です。財務状況の分析手法はいくつかありますが、特に企業の倒産リスクの程度を表す「安全性」の指標は必ずチェックしておきましょう。

以下の記事では、財務状況を正確に把握して分析するために不可欠な「財務分析」「安全性分析」について詳しく解説しています。自社の財務状況について不安がある方は、一度目を通しておきましょう。

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3-3.入金は早く・出金は遅くを意識する

資金繰りの状況を改善し、資金ショートの回避を図るためには、入金サイト(回収サイト)と出金サイト(支払サイト)の管理・調整も重要なポイントとなります。入金サイトとは売上債権の回収期間、出金サイトとは仕入債務の支払期間のことです。「入金は早く・出金は遅く」を意識すると、資金繰りが楽になるでしょう。

ただし、入金サイト・出金サイトは自社だけではなく取引先や借入先も関わってくることです。双方の事情を考慮した上で、サイトの変更が可能と判断した場合には、取引方法について交渉してみてもよいでしょう。

まとめ

手持ちの現金や預金が不足して支払いや返済などに支障が出る「資金繰りのショート」は、資金の管理不足や支払いの認識不足などが原因で発生します。災害や感染症の流行など予期せぬ事態で資金繰りが苦しくなる場合もあるため、資金繰りがショートしたときの主な対処法は事前に押さえておきましょう。

資金繰りがショートするとさまざまな問題が併発する恐れがあるため、資金ショートを未然に防ぐことが大切です。「資金繰り表の活用」「財務状況の分析」「入金サイト・出金サイトの調整」などの対策を行い、経営改善と経営の安定化を図りましょう。

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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