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【いまさら聞けない】キャッシュフローを改善する15の方法!中小企業における資金の増やし方・ポイントと効果的な方法を具体的に解説します。

2023.09.15

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 この記事で解決する5つのこと! 

①キャッシュフローの基礎知識がわかる!

②キャッシュフローを改善する15の方法が知れる!

③キャッシュフローを改善した企業の成功例から改善の道をイメージできる!

④キャッシュフロー計算書以外での簡単かつ効果的な資金管理方法がわかる!

⑤キャッシュフローを改善する無料分析が試せる!

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目次

キャッシュフローは、あらゆるビジネスにおいて重要な要素です。企業の財務の健全性に直結しているため、キャッシュフローの基本を理解し、適切に管理していくことは経営者や財務担当者にとって、とても大切なスキルであり、経営の急所(きゅうしょ)といえます。

この記事では、「キャッシュフローとは何か」についての基本的な知識から始め、中小企業や経営者が実際キャッシュフローを改善するための実用的な15の方法+α(アルファ)についても詳しく掘り下げていきます。

正しい知識と戦略を持つことは、財務的なリスクを軽減し、成長の機会を最大限に活用する手助けとなります。
では、さっそくキャッシュフローの世界に足を踏み入れてみましょう。

第1章 キャッシュフローの基礎知識

1.キャッシュフローとは

キャッシュフローとは、企業が一定期間内に実際に受け入れた現金と支払った現金の流れのことです。簡単に言えば、企業にとって「実際のお金の出入り」を表しています。

キャッシュフローは、収益計算書や貸借対照表などの財務諸表とは異なり、会社がどれだけ現金を生み出し、どれだけ現金を使っているかを示すものです。
なぜキャッシュフローが重要なのかを理解することは、経営者にとって極めて重要です。

第2章 キャッシュフロー計算書について

1.キャッシュフロー計算書とは?

キャッシュフロー計算書は、貸借対照表、損益計算書と並んで「財務三表」と呼ばれ、企業の財務状況を把握するための重要な財務報告書の一つです。この文書は、特定の期間内における現金の動きを記録し、企業の現金の収入源と支出先を明示します。

なぜこれが重要かというと、企業は利益を上げていても現金が不足している場合には困難な状況に陥る可能性があるからです。キャッシュフロー計算書は、企業が資金調達、投資、財務戦略を計画する際にも有効なツールです。キャッシュフロー計算書を通じて、企業の現金の流れや動向を一覧にでき、適切に管理することができます。

2.キャッシュフロー計算書の構造

キャッシュフロー計算書は、主に以下の3つのセクションから成り立っています。

  1. 営業キャッシュフロー
  2. 投資キャッシュフロー
  3. 財務キャッシュフロー

第一に、「営業キャッシュフロー」セクションでは、企業の日常業務、つまり本業に関連する現金の収入と支出が記録されます。次に、「投資キャッシュフロー」セクションでは、資本支出や資産の売却に関連する現金の動きが示されます。最後に、「財務キャッシュフロー」セクションでは、資金調達と債務返済に関連する現金の流れが記載されます。

これらは相互に影響し合い、企業の全体的な現金の状況を理解するのに役立ちます。
つぎに、それぞれの内容について説明します。

(1)営業キャッシュフローとは

営業キャッシュフローは、企業が本業から得る現金の流れを表します。基本的にはプラスの値が大きいほど本業が順調に運営出来ていることを示します。

このセクションには、売上収入、原材料の購入、労働コスト(人件費)、税金、減価償却費、営業活動に関連するすべての現金収支が含まれます。販売やサービス提供などで得た収入から、仕入れや営業活動に必要な諸費用を差し引き、本来の営業活動から得られたお金を明らかにしたものといえます。

営業キャッシュフローは企業の運営能力を評価するために重要であり、企業が自身の運用資本をどれだけ効果的に運用しているかを示す指標として利用されます。営業キャッシュフローが健全であれば、企業は本業を持続し、成長戦略を実行するための現金を確保できるといえます。逆にマイナスであれば、売上不振、売掛金をはじめとする債権の回収が出来ていない、経費が大きすぎる、などが考えられます。

(2)投資キャッシュフローとは

投資キャッシュフローは、投資活動によるお金の流れを指します。これには、新しい設備や施設・建物や土地の購入、既存の資産の売却、他の企業への投資などが含まれます。

キャッシュフローがマイナスだと資金繰りが厳しいように考えがちですが、投資キャッシュフローにおいては、マイナスが一概に悪い状況とは言い切れません。なぜなら、固定資産の新たな取得による支出が大きい際は、積極的に将来投資を行っているともいえるからです。一時的に手元のお金が少なくなっても、将来的に利益の回収が見込まれる設備投資であれば、キャッシュフローが大きく改善される可能性があります。

投資キャッシュフローは、企業の成長戦略における資本の使い道や収益性を評価するのに役立ちます。また、企業が将来的なプロジェクトや拡大計画を実現するためにどれだけの資金を確保できるかを示す重要な要素でもあります。

(3)財務キャッシュフローとは

財務キャッシュフローは、企業の財務活動に関連する現金の流れを示します。これには、資金調達や借入など債務の返済、株式の発行、株主への配当支払いが含まれます。財務キャッシュフローは企業の財務健全性を評価するために重要であり、企業が適切に資金を調達し、債務を適切に管理しているかを示す指標として利用されます。

財務活動によるキャッシュフローでは、先に挙げた2つのキャッシュフローとマイナスとプラスの考え方が異なります。たとえば、金融機関から受けた借入の返済をきちんと行っている場合は、財務キャッシュフローにはマイナスで表示されます。一方で、プラスになっている際は、融資や借入、出資などにより資金調達を行ったことが考えられます。

(4)フリーキャッシュフローとは

フリーキャッシュフローは、企業が自由に使える現金の量を示す指標です。これは、企業が成長、返済、株主への配当支払いなど、さまざまな活動にどれだけの余裕を持っているかを示します。

フリーキャッシュフローを計算する際には、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引き、財務キャッシュフローを加える方法が一般的に使用されます。フリーキャッシュフローは、企業の持続可能な成長と将来の計画を実現するために重要であり、経営戦略の評価に役立ちます。

第3章 キャッシュフローの役割と改善メリット+悪化デメリット

1.キャッシュフロー改善の重要性

キャッシュフロー改善の重要性を理解するために、中小企業経営者にとってのキャッシュフローの役割とメリットについて詳しく見ていきましょう。

(1)中小企業経営者にとってのキャッシュフローとは?

限られたリソースの中で経営を求められる中小企業経営者にとって、キャッシュフローは会社の生命線です。それは、経営者が日々の運営に必要な現金を持っているかどうかを示します。損益計算書に載っている利益がある一方で、実際には現金が不足して資金繰りに困窮している状況は意外とよく見られます。黒字なのに資金がショートし、そのまま倒産してしまうのがいわゆる黒字倒産の状態です。

キャッシュフローの改善は、資金繰りの安定化につながり、経営に余裕を持たせます。

(2)キャッシュフロー改善のメリットとは?

キャッシュフローの改善は、会社の経営に多くのメリットを与えます。その中で最も重要ないくつかを挙げてみましょう。

  • 借入金の削減 :キャッシュフロー改善に成功すれば借入金を減らすことができ金利負担が軽減します。
  • 新規投資の機会:改善されたキャッシュフローは、新たな投資や成長戦略の実行に資金を供給します。
  • 信頼性の向上 :キャッシュフロー改善は信用力の向上につながります。それにより、資金調達や取引先の確保が行いやすくなります。
  • 事業の安定化 :キャッシュフローが改善されることにより、VUCA時代によって今後も多く見込まれる
    想定外の出来事や出費に耐えやすくなります。

2.キャッシュフローの悪化が会社にもたらす影響

キャッシュフロー悪化時における経営上の主な懸念と、悪化したキャッシュフローが会社に及ぼす影響について見ていきましょう。

(1) キャッシュフロー悪化時の主な懸念

キャッシュフローが悪化している際には、以下のような懸念が発生します。

  • 支払いの遅延:供給業者や従業員に対する支払いの遅延が発生し、信頼性が低下する可能性があります。
  • 借入金の増加:キャッシュフローが悪化すると、借入金を増やす必要が生じ、金利負担が増加します。借入が増えることにより、財務の安全性が低下します。
  • 機会損失  :資金不足のために新たなビジネスチャンスを逃す可能性があります。

(2) 悪化したキャッシュフローが会社に及ぼす影響

キャッシュフローの悪化は会社にさまざまな影響を及ぼします。
その中で最も顕著なものをいくつか挙げてみましょう。

  • 業績の低下:キャッシュフローが悪化すれば、業績が低下する可能性が高まります。なぜなら原材料の購入や新規プロジェクトの実行が制約されるためです。
  • 信頼性の喪失:支払いの遅延や債務の不履行は、取引先や顧客からの信頼を失わせる可能性があります。
  • 経営の不安定化:長期的な資金繰りの悪化は、経営の不安定化につながり、経営者や株主に不安を引き起こします。
資金繰りが悪化する原因と改善方法を解説!資金不足を防ぐ手法や安定経営にむけた資金管理方法も紹介!

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第4章 キャッシュフローの改善方法

キャッシュフローを改善する具体的な方法をご紹介しつつ、解説します。

1.キャッシュフローを改善する15の方法

(1)利益率の向上

労働生産性を高めることや付加価値を上げることによって利益率を高めます。利益の増加は資金の増加と直結します。

(2)健全な売上の増加

開発や、販売戦略の見直し・強化などにより新規顧客や客単価向上に努め、売上を増やすことで収入を増やします。

ただし、「健全な」と加えたように、急激な売上増や無理な取り組みは、逆に利益率を下げたり、過剰な在庫を発生させる要因ともなり得ます。

(3)資金繰り表の作成

資金繰り表をしっかりと作成します。その目的は、日々の管理だけでなく、半年、あるいは1年先までなど、販売や引合い予測の出来る限り先の将来の入出金を管理することが効果的です。

(4)厳格な売掛金の管理

未収先を厳格に管理し、回収の動きをかけます。売掛金の焦げつきなどは早々に解消することが必要です。

(5)在庫の最適化

ルールの下で適切な在庫レベルを維持し、不要な在庫を減少させます。

(6)固定費の見直し ※支出の見直し

不必要な経費を削減し、キャッシュを節約します。

(7)不要な資産の売却

不良在庫の処分もそうですが、遊休資産など、不要な資産を売却することでもキャッシュフローが改善されることがあります。

(8)減価償却費内で投資する

投資をする際は、減価償却費を超えない範囲で実行することをおすすめします。減価償却費は、損益計算書上には計上されますが、実際はキャッシュアウトしない科目です。

(9)クレジットカードの活用

クレジットカードを使うことで支払いをスケジュール化し、資金の管理を容易にします。またキャッシュバックカードを使って支出から一定のキャッシュバックを受け取り、経費を軽減します。

(10)資本支出の戦略的計画

新規プロジェクトへの支出を慎重に計画・実行し、収益性を最大化します。

(11)支払い条件の交渉

供給業者との支払い条件を交渉し、支払いスケジュールを改善します。

(12)資金の効果的な運用

銀行口座の資金を最適に管理し、余剰資金を有益な方法で運用します。

(13)戦略的な資金調達

短期と長期とで資金調達戦略を策定し、足元の運転資金はもちろんのこと、将来に向けた成長に必要な資金を確保します。

(14)リスク管理

リスクを評価し、予防策を講じ、不測の事態に備えます。

(15)実質資金増減の管理

キャッシュフロー計算書よりも簡単にできるのが「実質資金増減」の管理です。実質資金とは、現預金から借入金を引いた額のことをいいます。この増減に影響する3つのカテゴリーを毎月把握しておくことで、お金を増やす対策が可能となります。
詳細は後半でご説明します。

2.キャッシュフロー改善の3分野と4原則

先に挙げた15の方法は、大きく下の3つの分野にわけられます。

  • 売上・利益率の向上
  • 支出の見直し
  • 資金回収の効率化

それぞれについての考え方をより詳細に説明しますので、理解を深めていただければと思います。

(1)売上の増加・利益率の向上とキャッシュフロー改善の関係

売上の増加は、キャッシュフロー改善に直結する事項の一つです。より多くの収入があれば、現金収入が増加し、キャッシュフローが改善します。売上を増やす方法として、新規顧客の獲得、既存顧客との関係強化、マーケティング戦略の見直し、製品の開発などが考えられます。

利益率向上の施策としては、現場をはじめとした労働生産性の改善、原材料高騰を加味した価格の値上げ、業種によっては、実行予算管理などが挙げられます。
また、「労働分配率」という指標を管理することで、人件費と利益のバランスをコントロールすることも非常に効果的でしょう。

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尚、売上増加については、仕入れや在庫管理を上手く行わないと、資金を圧迫することもありますので注意が必要です。管理と計画に基づいた、健全な売上の増加が好ましいです。

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(2)支出の見直しと節約策

15の改善方法の中で、固定費の見直し等を掲げましたが、支出の見直しと節約策を実行することは、キャッシュフロー改善のための効果的な方法です。
これには以下のようなアプローチが含まれます。

  • コスト分析:各支出項目を詳細に分析し、無駄な支出を特定します。
    これには、総勘定元帳から費用科目を把握・整理する方法などがあります。
  • リーン経営:生産プロセスや業務プロセスの最適化により、無駄を削減します。
  • 債務再構築:高金利の借入金を低金利のものに置き換えるなど、債務の見直しを行います。

(3)資金回収の効率化

資金回収の効率化は、未収金を最小限に抑え、現金収入を増やすための重要な取り組みです。これには以下の方法があります。

  • サイトの見直し:取引先からの売掛金回収や、仕入れなど取引先に対する支払サイトを見直し、立替期間を短期化させます。
  • 債権管理の強化:未収金の管理を効率化し、滞納を減少させます。
  • 割賦支払いの提供:顧客に分割払いオプションを提供し、収益を早期に確保します。
    金額の大きな案件の場合、着手金・中間金・最終金のような仕組み・契約形態を取ることも一つです。

上記(1)(2)(3)は、キャッシュフロー4原則に当てはまります。
キャッシュフロー4原則を下にまとめておきますので、ここまで学んだことの体系整理にお役立てください。

キャッシュフロー4原則

原則1:キャッシュ・インは多く

原則2 :キャッシュ・インは早く

原則3 :キャッシュ・アウトは少なく

原則4 :キャッシュ・アウトは遅く

3.キャッシュフロー改善のための資金調達

資金調達により、キャッシュフローを改善する方法ももちろんあります。

資金調達は、キャッシュフロー改善のための大きな要素です。適切なタイミングで資金を調達することは、経営の安定性を保つことに使えます。
資金調達の戦略的な活用には、以下のポイントがあります。

  • 資金使途の明確化:資金を調達する目的とその使い道を事前に明確にしておきます。
  • 適切な資金調達方法の選択: 自社や条件に合った金融機関、株式発行からの資金調達など、適切な方法を選択します。
  • 金利交渉: 信用スコア(格付評価)の向上を目指し、低金利の借入金を獲得します。
  • 適切な金額の調達:過剰な資金を調達せず、計画に沿った必要な金額を調達します。
  • 借入返済計画の策定と管理:返済計画をしっかり立て、一覧にして把握しておきます。

4.ITソフトウェア活用によるキャッシュフロー改善

小規模の会社であれば手書きで帳簿を管理するのもよいですが、企業の規模や体制に応じて、システムやソフトの力を借りることもよいでしょう。

ITソフトウェアは、上手く使いこなせればキャッシュフロー改善を助けるツールともなり得ます。たとえば以下のような活用方法があります。

  • キャッシュフロー予測ソフトウェア:キャッシュフローの予測を行い、将来の現金収支を把握します。
  • 請求書作成ソフトウェア:請求書の作成と送付を効率化し、未収金の回収を促進します。
  • 経費管理ソフトウェア:支出を追跡し、無駄な経費を削減します。


第5章 キャッシュフロー改善の成功事例

キャッシュフロー改善の簡単な成功事例を見てみましょう。

簡素な4つの中小企業のケーススタディを通じて、第4章で学んだ各種の改善方法を自社における実際の改善プロジェクトに置き換え、類推出来るようにすることが狙いです。

1.中小企業Aのキャッシュフロー改善プロジェクト

中小企業Aは、キャッシュフローの悪化に直面していました。支払いの遅延への懸念と高い金利の借入金が問題でした。改善プロジェクトでは以下の手法を採用しました。

  • 支出の見直し:無駄な支出を削減し、経費を極限まで最適化しました。
  • 債務再構築:高金利の借入金を低金利のものに置き換え、金利負担を軽減しました。

結果として、中小企業Aはキャッシュフローの改善に成功し、業績が落ち着きました。

2.中小企業Bのキャッシュフロー改善の取り組み

中小企業Bは、売上の増加を図り、キャッシュフローを改善しました。具体的な戦略として以下の点が挙げられます。

  • 新規顧客の獲得: 強みの技術を活かして新たな市場を開拓し、新規顧客を獲得しました。

  • マーケティング戦略の実行:これまでは流動的な販促しか行ってきませんでしたが、マーケティング戦略を策定し、計画的に販促をしかけることで収益を増加させました。

中小企業Bはこれらの取り組みにより、キャッシュフローの改善と、規模を成長させる将来の基盤づくりを実現しました。

3.中小企業Cのキャッシュフロー改善の取り組み

中小企業Cは、慢性的な運転資金不足に陥っていました。これまでは運転資金使途を目的とした借入を幾度も起こしていましたが、資金不足になる原因を突き止め、抜本的な改善を行うこととしました。

  • 資金不足の原因突き止め:決算書分析により、資金繰りを圧迫している要因が立替期間の長さにあることをつかみました。
  • 立替期間の圧縮①:翌月末締め、翌々末だった売掛の回収サイトを変更し、月末締め、翌末払いに変えることで、立替期間を1ヶ月短縮し、売上の回収を早めました。
  • 立替期間の圧縮②:仕入など買掛金の支払いを伝票の来たものから処理していた状態から、支払いサイトを定め、全体の支払いを1ヶ月遅らせることに成功しました。

これにより、中小企業Cはキャッシュフローの改善を実現し、資金繰りを大幅に良化させました。

4.中小企業Dのキャッシュフロー改善の取り組み

中小企業Dは、売上と原価管理、粗利益の把握まではしていましたが、キャッシュがなかなか増えない悩みを抱えていました。月々の経営状況の把握や予測をしておらず、決算まで黒字か赤字かわからない状態でもありました。

  • ITソフトウェアの活用:資金改善のクラウドソフト(瞬間くん®)を活用し、「月次決算」が行えるようにしました。その結果、試算表を待たずに毎月の利益・資金・運転資金の把握と管理が出来るようになりました。
  • 実質資金増減の管理:実質資金が減っている月は、その理由を突き止め、すぐに対策が打てるようにしました。

その結果、資金が年々増えるようになり、黒字着地で毎期を迎えられるようになりました。

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ー中小企業Dの事例が掲載されていますー
 資金繰り改善『お客様の声』一覧

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中小企業CとDの資金改善に関係した、立替期間を改善する手法を下のボックスにまとめておきます。よろしければ参考にしてください。

【立替期間の改善方法】

◆売上債権(売掛金など)の現金化を短くする方法

顧客に対して、サービスの独自性などで強い交渉力を持てるようにする。

値引きなどの条件をつけて支払期日を早めてもらう。

商品の売れ行きにあわせて在庫を補充するなどし、余分な在庫を持たない。

余分な在庫が滞留しないように生産工程を改善する。

発注量を一定単位に固定する。

◆買入債務(買掛金など)の支払を延ばす(現金を自社に滞留させる)方法

仕入先に対して、規模や購買条件などで強い交渉力を持てるようにする。

高く買うなどの条件をつけて支払期日を遅くしてもらう。

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第6章 キャッシュフローを改善する「実質資金」の増減管理

「15の改善方法」の最後に挙げた、実質資金の増減管理について説明します。
実質資金は、自己資金とも呼びます。実質資金の計算式は、以下の公式の通りです。

計算式)実質資金 = 現預金 ― 借入金

「実質資金=自己資金」とは、通帳に残っている預金残高ではなく、そこからさらに借入金の残高を差し引いたものになります。

借入金は、いずれ、いつか返さなければいけないお金です。

借入金で現預金が増えても、経営の成果とはいえません。銀行から資金調達ができればお金自体は回りますが、融資が受けられなかった場合、資金ショートに陥る可能性があります。これでは安定した経営ができません。

逆に、実質資金が大きく増えていれば、会社が自由に使えるお金が増えたといえます。
運転資金が重く資金繰りの厳しい会社の実質資金の額は、大きくマイナスになりがちです。

自己資金の考え方

実質資金(=自己資金)が増えたかどうかは、次の手順で判断します。

例)前期1年間で自己資金が増えたかどうかを確認する計算式
①前期首時点の現預金残高-借入金残高……[A]
②前期末時点の現預金残高-借入金残高……[B]
③[B]-[A]

毎月の実質資金増減をチェックする際は、上の計算式の「前期」の部分が「前月」となります。ここで資金が増えていればOKです。もし減っていた場合は、なぜキャッシュが減ったのか、その要因を探り、すぐさま対策を打ちます。資金対策を打つためには、スピーディーな動きが必要です。

実質資金増減は、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)から主要な数字を抜粋するだけで管理できます。キャッシュフロー計算書を作り込むよりも簡単です。

実質資金が増減する理由は、下記の3つのみです。

  • 収益からの増減
  • 固定性資金の増減
  • 運転資金の増減

それぞれの増減を紐解いていくと、お金を減らしている要因を急追(きゅうつい)し、早期に対策を講じることが可能になります。把握と対策実行のスピードが大事です。

①収益からの増減

当期純利益から前期の利益処分額や配当を引いたものです。利益処分額等が特にない場合は、当期純利益がこれにあたります。

②固定性資金の増減

土地や建物、機械や設備の購入など、「固定資産」が増えるとその分資金は減少します。有利子負債以外の「固定負債」が増えると資金は増加します。

③運転資金の増減

売掛金や受取手形、在庫などの「資産」が増えると資金は減少します。買掛金や未払金などの「負債」が増えると資金は増加します。

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第7章 日常におけるキャッシュフロー管理の方法

キャッシュフロー改善のための日常的な対策として、日常の資金管理のコツや、キャッシュフロー計算書と資金繰り表の違いなどについて説明します。

1.日常の資金管理のコツ

日常の資金管理は、キャッシュフローの改善や維持に不可欠です。以下にそのコツを4つ挙げます。

  • 予算の策定:毎月の予算を立て、収入と支出をトラッキングします。
  • 資金繰り表の作成:実際のお金の入出金を予測と実績とで入力し、管理を行います。
  • 支払いのスケジュール化:支出を計画的にスケジュール化し、必要なときに現金を確保します。
  • 未収金の積極的な回収:未収金の管理を体系化し、早期回収を促進する体制を社内に築きます。
  • 実質資金の管理:現預金から借入金を引いた額の増減を毎月管理します。

2. キャッシュフロー計算書作成と活用

既述の通り、キャッシュフロー計算書を作成することも有効です。
キャッシュフロー計算書は、キャッシュフローの状況を把握し、改善策を策定するための一般的なツールです。
以下は、キャッシュフロー計算書の作成と活用に関するポイントとなります。

  • 正確なデータの収集:収入と支出のデータを正確に収集し、計算書を作成します。
  • 定期的な更新:キャッシュフロー計算書を定期的に更新し、最新の情報を反映させます。
  • 予測と比較:過去のデータと将来の予測を比較し、キャッシュフローのトレンドを把握します。

3.資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違い

「キャッシュフロー計算書と資金繰り表って何が違うの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違いがよくわからない人のために、その違いを整理します。

資金繰り表とキャッシュフロー計算書の大きな違いは「現在の視点から過去・未来のどちらにおける資金の流れを見ているか」という観点で捉え、整理するとよいでしょう。

◆未来を予測するもの=資金繰り表

資金繰り表は、数か月先に予定している資金の流れを視覚化できるものであり「現在の視点から未来における資金の流れを見る」表です。未来における資金の流れは、将来的な企業の資金状況に直結する情報であり、設備投資や資金調達といった経営判断を下す際の材料に活用できます。

未来における自社の資金状況を適切に把握したいときや、資金不足の防止・対策をしたいときは、資金繰り表を作成しましょう。


◆過去の実績を分析するもの=キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は、過去に発生した資金の流れを視覚化したものであり「現在の視点から過去における資金の流れを見る」会計書類です。過去に発生した資金の流れは、実際に行われた企業活動の成果そのものであり、経営改善や株主への説明に役立てられます。

過去の経営実績や現在の財務状態を詳細に把握するためには、キャッシュフロー計算書の作成が必要です。

資金繰り表とキャッシュフロー計算書について、詳しい作り方が知りたい方は、関連記事も参考にしてください。

第8章 まとめ

この記事では、キャッシュフロー改善に関する重要なポイントと効果的な方法を詳しく解説しました。ポイントは以下の通りです。

POINT

キャッシュフローの重要性を理解し、改善のメリットを捉えましょう。

キャッシュフローの悪化が会社に与える影響を理解しておきましょう。

キャッシュフローを改善させる基本的な手法を理解し、実行しましょう。

資金調達は計画的かつ戦略的に行い、返済管理を適切に行いましょう。

成功事例を参考に、キャッシュフロー改善の実践方法を学びましょう。

日常的な資金管理のためには、資金繰り表やキャッシュフロー計算書が有効です。

実質資金の増減管理を毎月行うことで、簡単に資金管理が行え、スピーディーな資金対策が実行できます。

いかがでしたでしょうか。これらのポイントを実践することで、中小企業のキャッシュフローを改善し、経営の安定と成長とを手に入れていただければ幸いです。一度管理帳票を作ってしまえば、日々の管理は楽になります。お金の管理体制の整備→資金増減の把握→改善の施策実行、の順で進めてください。中小企業においてはこの整備と実行のPDCAが特に肝要です。
資金の管理を間違えば、倒産を引き起こしかねません。キャッシュフローの改善は、企業の持続的で安定的な存続と、確実な成長とに欠かせない要素です。

適切な資金管理を行い、会社のキャッシュを増やしましょう。

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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