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資金繰り表とは?活用するメリットから作成方法まで

2022.11.30

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資金繰り表は業績が安定しているときから作成し、経営判断に生かすことが理想です。しかし、実際には資金繰りが苦しくなった段階で状況改善を図るため、資金繰り表の作成に取りかかる企業も多くあります。「現在は作成していない」という経営者には極力早めに資金繰り表の重要性を理解して、作成・活用できる環境を整備することがおすすめです。

そこで当記事では、資金繰り表の役割・作成手順と注意点・効果的な活用方法を解説します。資金繰り表に関する知識を深めて、企業の明るい未来につなげたい経営者は、ぜひご参考ください。

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目次

1.資金繰り表とは?

「資金繰り表」とは事前に設定した項目に基づき、一定期間の現金や預貯金の動きを記録するツールです。資金繰り表には実績数値と予測数値の両方を含めるため、将来のキャッシュフロー管理を行う目的で活用されます。

企業が資金繰り表を活用するキャッシュフロー管理以外の目的は、資金繰りの悪化防止と健全化です。資金繰りとは、現金や預貯金などの枯渇を防止し、健全な事業経営に役立てることを指します。

不動産や売掛金などの「資産」はすぐに現金化できないため、当面の運転資金や借入金の返済資金に当てることが困難です。そのため、資金繰り表を有効に活用して常に一定の資金を確保し、事業に支障が出ない状態を維持する必要があります。

なお、財務諸表のキャッシュフロー計算書も資金繰り表と同様に現金収入・現金支出を可視化するツールではあるものの、まったくの別物です。キャッシュフロー計算書には今後の予定を含めず、過去の事実のみを記載します。資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違いをより詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。

資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違い・作り方

資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違い・作り方

続きを読む >

2.資金繰り表を活用するメリット4つ

資金繰り表の作成・分析には一定の時間と手間を要するものの、中小企業が安定的に事業を展開していくためには欠かせない作業であるため、継続的に取り組みましょう。資金繰り表を適切に作成・分析することで期待されるメリットは、大きく分けて4つあります。

(1)お金の流れを可視化できる

資金繰り表を作成すると「どのタイミングで、現金や預貯金が増加・減少するか」を可視化できます。結果として現金や預貯金が不足するタイミングを早い段階で予測し、トラブルの発生を防止するための対策を取ることが可能です。

(2)黒字倒産を防止できる

黒字倒産とは帳簿上の赤字や債務超過は見られないものの、現金や預貯金不足が原因で、倒産に陥ることです。資金繰り表を活用してお金の流れを適時把握していれば入金・出金予定を調整して、黒字倒産を防止できます。

なお、黒字倒産を防止するためには、在庫の適正管理に努めることも必要です。黒字倒産と在庫の関係については、以下の記事を参考にしてください。

黒字倒産と在庫の関係 ~在庫が『罪庫』になる前に~

黒字倒産と在庫の関係 ~在庫が『罪庫』になる前に~

続きを読む >

(3)金融機関からの融資がスムーズになる

金融機関の融資審査を受ける際には、資金調達が必要な理由や自社の財務状況を論理的に説明する必要があります。説明を行う際に資金繰り表を見せると担当者の理解を得やすく、スムーズに融資を受けられる可能性が高まるでしょう。

一部の金融機関では融資を相談する際に、資金繰り表の提出を要求されるケースもあります。金融機関の要求にスムーズに対応するためには日頃から、資金繰り表を適切に作成・管理しておくことが大切です。

(4)適切な経営判断につながる

多くの経営者は頭の中で、翌月の売上や利益の見込みを立てます。資金繰り表は、経営者の頭の中を見える化し、他の役員・経理担当者と考えを共有するための重要なツールです。

また、資金繰り表を活用して資金の使い方に関する問題点を明確化すれば、適切な経営判断を行える可能性が高まります。結果として経営状況の大幅な悪化を事前に回避でき、理想的な状態でビジネスを進めることが可能です。

3.資金繰り表の基本項目と作成に必要な資料

資金繰り表の作成方法には統一的なルールはないものの、Excelなどの表計算ソフトを利用する方法が一般的です。具体的には、表計算ソフトを利用してフォーマットを作成し、月ごとに各項目の予測数値・実績数値を記載します。

ただし、資金繰り表に含める項目や表の作成頻度は、企業ごとに異なることが通常です。資金繰り表を作成する際には適切な経営判断を行うために必要な項目・望ましい作成頻度を検討し、フォーマットに反映しましょう。

◆資金繰り表の基本的なフォーマット

フォーマット内の各項目の意味と計算方法は、以下の通りです。

前月繰越
  • 前月から繰越した現金や預貯金の残高
  • 前月の「翌月繰越」を転記した値
営業収支
  • 営業活動の結果、残る現金や預貯金の残高
  • 営業収入(営業活動で得る収入)から営業支出(営業活動を行うために発生する費用)を引いた値
財務収支
  • 営業活動とは関係なく発生する現金の出入り、預貯金残高増減の合計値
  • 財務収入(営業活動とは関係なく得る収入)から財務支出(営業活動とは関係なく出ていくお金)を引いた値
経常収支
  • 資金繰りの実態を示す指標
  • 営業収支と財務収支を合計した値
翌月繰越
  • 翌月に繰り越す現金や預貯金の残高
  • 前月繰越から経常収支を引いた値

資金繰り表の信頼度を確認するためには、翌月繰越と実際に残った現金や預貯金の残高を比較し、一致していることをチェックします。より確実な運用を目指すためには照合欄を作成して、一致をチェックする方法もおすすめです。

3-1.予測数値・実績数値の入力に必要な資料

資金繰り表をスムーズに入力するためには、作成に必要な補助資料をあらかじめ手元に準備しておくことがポイントです。予測数値の入力には販売計画設備投資予算計画人員計画(事業計画を達成するための人員配置、採用活動の計画)など、将来の支出見込みを確認できる書類を準備します。また、決算書(貸借対照表・損益計算書など)の内容を参照しつつ、予測数値を入力しましょう。

いずれの資料を活用する場合も資金繰り表には、余裕を持った見積もりを入力すると安心です。また、予測数値を入力する際には「販売計画に無理はないか」や「設備投資の予算は適切か」などを今一度見直して「資金の使い方は正しいか」を検討しましょう。

資金繰り表の実績数値を正確に入力するためには、現金出納帳預金出納帳を用意します。現金出納帳とは、日常的な現金の出入りを管理する会計帳簿です。現金出納帳を見ると現金の出入り状況や用途が詳細に分かることから、実績数値の入力に役立ちます。預金出納帳からは、企業が所有している預金口座すべてに関する入出金記録の把握が可能です。

まとめ

資金繰り表とは、企業ごとに設定した項目に基づき、現金や預貯金の動きを可視化するツールです。資金繰り表は、黒字倒産を防止したり、経営状況を可視化したりすることができるツールとしても機能します。

資金繰り表はExcelなどの表計算ソフトを使用してフォーマットを準備し、項目ごとの数値を入力して作成することが一般的です。企業によって記載する項目が異なりますが、基本は当記事で紹介したフォーマットとなります。当記事のフォーマットを参考にしつつ、自社にとって使いやすい資金繰り表を作成しましょう。

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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