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資金繰りが苦しい場合の対処法|やってはいけない対処法も紹介

2022.09.30

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企業にとって収入と支出を管理する資金繰りは、非常に大切です。貸借対照表や損益計算書などの財務諸表上は、利益が出ているにもかかわらず、借入金などの返済に追われて資金ショートに陥り、黒字倒産に至るようなことも珍しくありません。

この記事では、資金繰りが苦しい場合に今すぐ実行できる対処法や、検討すべき資金調達の方法、行ってはならない事柄を解説します。資金繰りに悩み、経営状態を改善したいと考えている企業経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

1.資金繰りが苦しい時に今すぐ実行できる対処法5つ

資金繰りが厳しいのであれば、支出を減らしつつ、収入を増やす必要があります。まず思い付くのは、金融機関からの融資を受けることですが、審査に時間が掛かる場合もあり、緊急性が高い場合には使えないこともある対処法です。そのため、緊急性が高い場合であれば、今すぐにできる対処法を選択する必要があります。

資金繰りに課題はあるものの緊急性が高くないのであれば、この記事で解説する対処法の他にも、下記のリンク記事で解説している方法も選択できます。自社の状況に応じて適切な対処法を検討しましょう。

ここでは、緊急時に素早く実行できる対処法を解説します。早急に資金繰りを改善する必要がある場合は、ここで紹介する対処法の実施を検討してください。

1-1.経費を削減する

経費の削減は、企業の資金繰り改善に直結するため、最初に取り掛かる必要のある対処法です。経費の削減では、過去の帳簿をよく調べて、無駄な支出はないか確認してみることが大切になってきます。人件費であれば「役員報酬は過度に高額になっていないか」「ITツールやアウトソーシングの活用による効率化で、人件費の抑制ができないか」などの見直しを検討しましょう。

ただし、過度な人件費の抑制を行うと、業務の過密化や福利厚生の低下につながります。これらは、従業員の仕事へのモチベーションを奪うことになりかねないため、バランスを考えて行うことが重要です。

1-2.売掛金を早期に回収する

回収サイトを早め、支払サイトを遅くすることは、資金繰りの改善に効果的です。未回収の売掛金があれば、取引先と交渉を行って、回収サイトを早めてもらうことがリスクの少ない対処法になります。

ただし、回収サイトを早めると言っても、あまりにも業界の水準からかけ離れたサイト変更の依頼は、交渉相手も応じることが難しくなるため、注意が必要です。また無条件で入金サイトを早めてもらうのではなく、割引を提案するなど相手にインセンティブを与えることも条件交渉をうまく成立させることにつながります。

回収サイトと支払サイトについては、以下のリンク記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

1-3.手形を売却する

保有している手形は、手形割引業者や銀行などの金融機関に一定の手数料を支払い、手形を買い取ってもらうことで、本来の期日よりも早く手形の代金を受け取ることができます。このような手形の売却は「手形割引」と呼ばれることが多いです。

手形割引の手数料は、手形割引率によって決まります。手形割引率は、金融機関や業者によって異なるため、事前に複数の金融機関や業者を比較検討した上で利用することが必要です。銀行など金融機関の手形割引率は、1.5%〜4.0%程度となります。ただし、業者によっては手数料が非常に高い場合もあるため、できるだけ手形割引率の低いところを選ぶことが重要です。

1-4.債権を譲渡する

資金繰りが苦しい時には、債権を譲渡して代金を受け取ることも対処法の一つです。債権譲渡の中でも特に売掛債権の譲渡をファクタリングと呼び、手形割引を利用するよりも早く現金化できるため、より即効性のある対処法となっています。

しかし、利用するファクタリング業者によっては、多額の手数料が掛かることもあり、長期的に見た場合には、回収できる資金が少なくなります。回収できる資金が少なくなることで、より資金繰りが悪化する可能性もあるため注意が必要です。ファクタリングの利用は、資金繰りが苦しい場合であっても最終手段と考えるべきで、慎重に検討を行う必要があります。

1-5.在庫・遊休資産を売却する

企業が活動を続けていくと、事業に利用しなくなった土地や建物、機械設備など遊休資産が発生することがあります。遊休資産の維持には、固定資産税やメンテナンス費用などのコストが掛かってしまいます。利用しなくなったのであれば、売却して資金化することで、維持するために必要なコストの削減につながり、一時的に入金を生むことが可能です。遊休資産の売却は、支出の減少と入金の増加により、資金繰りの改善に効果があります。

また、売れていない在庫がある場合は、長期間持ち続けているよりも、なるべく早く売却したほうが資金繰りの改善につながります。

2.資金繰りが苦しい時に検討するべき資金調達の方法

資金繰りが苦しい場合には、経費削減や売掛金の早期回収、手形の売却などの方法によって、緊急的に対処ができます。しかし、早急に支払うべき債務がなく、時間的な余裕がある場合には、金融機関からの融資や株式の発行、補助金・助成金の活用なども検討してみてください。

審査に時間が掛かる場合もありますが、金融機関から融資を受けることができれば、大幅な資金繰りの改善につながります。また、株式を発行し投資家に購入してもらうことも資金調達には有効な方法です。条件が厳しい場合もありますが、国や自治体の補助金や助成金は、上手に活用すれば経営改善に大きく役立ちます。

3.資金繰りが苦しくても実施してはならないこと3つ

資金繰りが苦しくなると、どうしてもその場しのぎの対策に頼ってしまうことがあるかもしれません。しかし、その場しのぎの対策では、一時的に資金繰りが改善したように見えても、結果として企業の経営状況をより危うくし、破綻に追い込まれる可能性があります。

ここでは、資金繰りが苦しくても実施してはならない3つの例を解説するため、ぜひ参考にしてください。

3-1.税金・社会保険料を滞納する

いくら資金繰りが苦しくなっても税金や、健康保険料・厚生年金保険料といった社会保険料を滞納することは避けなくてはなりません。確かに税金や社会保険料は、企業にとって大きな負担ですが、支払いを後回しにしてしまうと、延滞税が掛かるだけでなく、財産の差し押さえまで進む危険性があります。

税金の中でも特に源泉所得税と消費税は、預かり金としての性格があり、財産差し押さえまで進む可能性が非常に高く注意が必要です。また税金や社会保険料の滞納は、企業の信用を下げ、金融機関からの融資にも悪影響を及ぼすため、滞納することがないよう十分に注意する必要があります。

3-2.融通手形により借り入れる

通常の手形と異なり、商取引を介さないで振り出される手形を融通手形と呼びます。融通手形を利用するのは、信用力が低くなり、金融機関から借り入れができなくなった企業です。実際には商取引がないにもかかわらず、融通者に手形を振り出してもらい、振り出された手形を割り引いて事業資金を調達するのが融通手形の典型例です。

期日までに返済資金を用意できればよいのですが、金融機関の融資審査に通らない状態の企業では、期日までに資金を用意できない恐れがあります。期日までに返済できなければ、融通してくれた企業が金融機関に支払う必要があり、大変な裏切り行為となります。返済資金を用意するために、また別の企業に融通手形を振り出してもらうという悪循環に陥ることも少なくありません。

3-3.街金融・商工ローンから借り入れる

資金繰りが苦しい状態では「融資をしてくれるのであれば、どこでもいい」と街金融や商工ローンからの借り入れを望む経営者の方もいます。しかし、街金融や商工ローンの金利は、銀行に比べてはるかに高く、事態の悪化を招きかねません。

また街金融や商工ローンの利用は、銀行の融資条件を満たさない信頼力のない企業であるとの印象を取引先などに与えてしまう可能性もあります。今後の事業継続を考える上では、非常にリスクの大きい選択肢であるため、街金融・商工ローンからの借り入れは避けましょう。

まとめ

緊急性が高く、早急に資金繰りを改善する必要がある場合、売掛債権の売却や経費の削減などを実行する必要があります。
また、資金繰りが非常に苦しくとも、税金や社会保険料の滞納は、事態を悪化させるため、避けなければなりません。融通手形や街金融・商工ローンの利用も、継続的な経営において、大きなリスク要因となります。

資金繰りで悩んでいる企業経営者の方は、まず自社の経営状況を十分に把握し、適切な対処法を選択できるようになりましょう。

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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