経営の承継を成功させた企業の共通点
私は毎月15社程の中小企業を訪問し、経営者のご相談に応じています。その中で、事業承継に関する案件が、3年程前から増加しています。
事業承継は、「財産の承継」と「経営の承継」に大別され、どちらも重要となります。
しかし、「財産の承継」は一度スキームを決定してしまえば、概ね予定通りに進むのに対して、「経営の承継」は、計画を立てたとしてもなかなか予定通りに進まないものです。
それは、承継するものが、「財産」なのか「経営」なのかの違いによるためです。
「経営」を引き継ぐことは一筋縄ではいきませんし、お決まりのスキームも存在しないことは、経営者の皆様が一番ご存知のはずです。
それにも関わらず、「経営の承継」の準備をしている会社は非常に少なく、事業承継がスムーズにいかないケースが散見されます。
数多くの中小企業の事業承継案件に携わる中で、「経営の承継」が成功した事例には、共通する要点があることに気が付きました。
それは、以下の3点です
- （1）承継させる側の考え方
- （2）社員を巻き込んだ手法
- （3）承継する側（後継者）の考え方
これら3点を会社として整理し、当事者が共有し、できれば中長期の計画に基づき実践している会社は事業承継が上手くいっているようです。
今回は、上記３点の中でも（3）「承継する側（後継者）の考え方」についてお伝えしていきます。
後継者の考え方「6つの段階」
私の経験上「後継者の考え方」には6つの段階があり、6段階を順番通りにステップアップしていくことが理想です。
仮に順番通りに進んでいなかったとしても、この6つの段階を見直すことで、今どの段階に漏れがあるのかを知り、改善につなげることができます。
◇後継者の考え方の6段階
- 思想の継承＝創業からの理念・目的・経営観を正しく引き継いでいるか
- 思想の発展＝引き継いだ理念・目的・経営観を自らの思想として発展させているか
- 思想の共有＝自ら発展させた思想を社内に浸透し共有することができているか
- 思想の具現化＝自ら発展させた思想（経営観・人生観・労働観）から自らの事業観を構築し形にできているか
- 思想の波及＝自ら構築した事業を社内・社外に波及することができているか
- 思想の安定・変化＝波及させた事業が安定して社会から認めてもらえているか、安定に留まらず変化させ続けているか
特に[１][２]が欠けている場合、経営の承継が上手くいかないと感じています。
また、既に経営の承継が済んでいたとしても、この考え方に沿って承継ができていない場合、なかなか会社経営がスムーズにいかないことが多いようです。
直近の経営テーマが事業承継でない会社様であっても、参考にしていただけるのではないでしょうか。
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