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有限会社の事業承継のメリット・デメリットや注意点を解説

2023.07.25

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有限会社の事業承継は、経営者が後継者に経営権を譲渡するプロセスです。この過程には、さまざまなメリットやデメリット、注意点が存在します。

メリットとしては、経営の継続性が確保され、顧客や従業員の安心感が得られます。また、経営者のノウハウやネットワークを引き継ぐことで、スムーズな運営が期待できます。

一方、デメリットとしては、後継者の能力や意思決定の違いによるリスクや、承継プロセスの費用や時間がかかる点が挙げられます。

注意点としては、十分な準備と計画が必要であり、法的手続きや税金の面でも専門家の助言を仰ぐことが重要です。

この記事では、事業承継のメリット、デメリット、注意点について詳しく解説していきます。

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目次

有限会社とは

有限会社は、経営者の責任が限定される会社形態であり、設立時の資本金が300万円以上とされます。役員数や取締役の任期に制限はなく、株式の非公開性も特徴です。この記事では、有限会社の定義と特性について詳しく解説していきます。

有限会社の定義

「有限会社」とは、設立時の資本金が300万円以上とされる会社形態で、株式会社や合同会社と同様の法人格を持ちます。以前は社員数に制限がありましたが、現在は人数の制限はありません。必要な役員は取締役1名であり、任期や決算公告の義務もありません。

2006年の会社法施行以前は、有限会社と株式会社の設立要件や特徴に大きな違いがありました。しかし、会社法の改正により、株式会社の設立要件が緩和されたため、有限会社の新規設立はできなくなりました。既存の有限会社は株式会社に変更するか、特例有限会社として存続する選択をしました。

現在の法律上では「特例有限会社」として扱われますが、株式会社の一種として扱われるため、社名には「有限会社」を用いなければなりません。ただし、株式会社と比較して決算公告の義務がないなど、一部有限会社の特性を残しています。有限会社は中小規模の事業展開や家族経営、個人事業に適しています。

事業承継とは

事業承継とは、経営者が後継者に経営権を譲渡するプロセスです。この記事では、事業承継の概要や重要性について解説します。事業承継は、企業の継続性やスムーズな運営を確保するために重要です。後継者には経営者のノウハウやネットワークの引継ぎが期待されますが、能力や意思決定の違いによるリスクも存在します。本章では、事業承継の意義と成功のためのポイントを詳しく説明します。

事業承継の概要

事業承継の概要について説明します。事業承継は、経営者が後継者に経営権を引き継ぐプロセスです。主な要点は以下の通りです。

経営権の譲渡

経営者は事業を後継者に引き継ぎ、経営権を譲渡します。これにより、事業の継続性と安定性が確保されます。

ノウハウとネットワークの引継ぎ

経営者は経験やノウハウ、業界内の人脈やネットワークを後継者に伝えます。これにより、後継者はスムーズな運営と成長を図ることができます。

親子や家族間の承継

事業承継は親子や家族間で行われることが多いです。長い時間をかけて事業を育んできた経営者は、次世代にその責任を託すことが重要です。

法的手続きと専門家の助言

事業承継には法的手続きが必要です。会社の株式譲渡や遺言書の作成など、専門家の助言を受けながら進めることが重要です。

事業承継は経営の継続性や家族の将来を考える上で重要なプロセスです。計画的な準備と専門家の支援を受けながら、スムーズな承継を実現することが望まれます。

事業承継の重要性

事業承継の重要性について説明します。事業承継は企業の継続性と発展のために重要な要素です。以下にその重要性を紹介します。

経営の継続

事業承継により、経営者の後継者が引き継ぐことで企業の継続性が確保されます。これにより、顧客や従業員の信頼と安心感を維持し、事業の継続を図ることができます。

ノウハウと経験の継承

経営者は長年にわたって培ってきたノウハウや経験を後継者に引き継ぎます。これにより、後継者は成功のための貴重な知識や洞察を受け継ぐことができます。

顧客やパートナーとの関係維持

経営者の交流や関係は企業の成長に重要です。事業承継により、後継者は既存の顧客やパートナーとの関係を維持し、信頼を築いて事業を継続することができます。

企業の成長と発展

事業承継は新たなリーダーシップとアイデアを導入する機会でもあります。後継者は自身のビジョンや戦略を実現するために事業を発展させることができます。

地域経済への貢献

中小企業の多くは地域経済の重要な一翼を担っています。事業承継により、地域の雇用や経済に対する貢献を継続し、持続可能な地域社会の発展に寄与します。

事業承継は長期的な視点と計画が必要です。経営者は事前の準備や後継者の育成に取り組むことで、企業の継続と成長を確保することができます。

有限会社の事業承継のメリット

有限会社の事業承継のメリットについて説明します。

経営の継続性

事業承継により、経営者の後継者が引き継ぐことで企業の継続性が確保されます。顧客や取引先は経営の安定性を感じ、信頼関係が維持されます。

ノウハウとネットワークの引継ぎ

経営者は長年にわたって培ってきたノウハウや業界内のネットワークを後継者に引き継ぎます。これにより、後継者はスムーズな運営や業績向上に役立つ貴重な知識を受け継ぐことができます。

安心感の提供

有限会社の事業承継は、従業員や取引先に安心感を与えます。経営の変動や不確実性が少なくなり、継続的な雇用やビジネス関係が保たれることで、企業の安定性が確保されます。

税制面の優遇措置

事業承継には税制上の優遇措置が存在します。例えば、相続税や贈与税の特例措置や、特別減税の適用などがあります。これにより、事業の継承に伴う税金負担を軽減することができます。

イノベーションと発展の可能性

新たな経営者が事業を引き継ぐことで、新しいアイデアや戦略を導入し、イノベーションや事業の成長を促進することができます。承継者の新たな視点や能力によって、事業の活性化が期待されます。

有限会社の事業承継には安定性の確保や知識の引継ぎ、税制上の優遇など、様々なメリットが存在します。しかし、後継者の選定や計画的な準備が重要であり、専門家の助言や十分な情報収集が必要です。

有限会社の事業承継のデメリット

有限会社の事業承継のデメリットについて説明します。

後継者の能力や意思決定の違い

承継者の能力やビジョンが経営者と異なる場合、企業の経営方針や方向性に関して意見の相違が生じる可能性があります。これにより、経営の安定性や成長に影響を及ぼすことがあります。

承継プロセスの費用や時間

事業承継には手続きや法的手続きが必要であり、それに伴う費用や時間がかかります。特に、税務手続きや契約書の作成などは専門家の助言を必要とし、経済的な負担や手間が発生する可能性があります。

経営の不確実性とリスク

事業承継は経営の不確実性を伴います。経営者の交代による経営の変化や市場の変動により、企業の成長や安定性に影響を及ぼすリスクが存在します。

人材の流出と組織の変化

経営者の承継により、従業員や組織にも変化が生じる可能性があります。経営者の個人的な関係や経営哲学との一致性が変わることで、人材の流出や組織の安定性への影響が起こることがあります。

家族間の関係への影響

事業の承継は家族間の関係にも影響を及ぼすことがあります。後継者の選定や経営権の譲渡に関する意見の相違や対立が生じることがあり、家族間の不和や摩擦の原因となる場合もあります。

事業承継にはメリットとともにデメリットも存在します。事前の準備や計画、専門家の支援といった対策が必要です。また、後継者の選定や経営者との円滑なコミュニケーションが重要です。

有限会社の事業承継における注意点

有限会社の事業承継における注意点を解説します。承継のタイミング、法務上の手続き、経営戦略の見直しなどが重要です。承継のタイミングは慎重に選び、法的手続きは専門家の助言を受けながら進める必要があります。また、後継者の能力やビジョンに基づいて経営戦略を見直すことも重要です。これらの注意点を適切に対応することで、有限会社の事業承継はスムーズに進み、企業の継続性や成長につながるでしょう。

承継のタイミング

承継のタイミングは、事業承継において重要な要素です。以下にその概要を説明します。

経営者の能力と準備状況

承継のタイミングは、経営者の能力や後継者の準備状況を考慮する必要があります。経営者の経験やノウハウを適切に引き継ぐためには、後継者が十分な準備をしていることが重要です。

経済状況と業界の動向

承継のタイミングは、経済状況や業界の動向を注視する必要があります。景気や市場の変動が事業の安定性や成長に影響を与えるため、適切なタイミングで承継を行うことが求められます。

経営者の意思と退任計画

経営者の意思や退任計画もタイミングを決定する重要な要素です。経営者自身が準備を整え、後継者に適切な引き継ぎを行うことで、スムーズな承継が実現します。

家族や関係者の合意

承継のタイミングは家族や関係者の合意を得ることも重要です。事業の継続や家族の将来に関わる重要な決定であるため、関係者の意見や意向を考慮しながら進めることが望まれます。

適切なタイミングでの事業承継は、経営の継続性や成長に大きな影響を与えます。経営者と後継者が共に準備を整え、経済や業界の状況を考慮しながらタイミングを選ぶことが重要です。専門家の助言や経営計画の策定を通じて、適切なタイミングでの承継を実現しましょう。

法務上の手続き

有限会社の事業承継における注意点の一つとして、「法務上の手続き」があります。以下にその概要を説明します。

株式譲渡や契約書の作成

事業承継には、株式の譲渡や売買契約書の作成など、法的な手続きが必要です。これには専門家の助言や法律事務所のサポートを受けることが重要です。

登記簿の更新

承継後は、企業の登記簿の更新も行う必要があります。後継者の情報や経営権の移転を正確に反映させるために、登記手続きを行うことが求められます。

遺言書や遺産分割協議書の作成

承継には、経営者の遺言書や遺産分割協議書の作成も関連する場合があります。これにより、後継者への財産移転や相続手続きを円滑に進めることができます。

会社法や税法の遵守

承継に関わる手続きは、会社法や税法の遵守が求められます。例えば、株式譲渡に伴う所得税や贈与税の対応、特例措置の利用などがあります。

専門家の助言と支援

法務上の手続きは専門的な知識と経験が必要です。専門家の助言や法律事務所との協力を通じて、手続きの適切な実施や法的なリスクの回避に取り組むことが重要です。

法務上の手続きは、事業承継の成功に欠かせない要素です。正確かつ適切な手続きを行うことで、承継の合法性と安定性を確保し、後継者による経営の継続を円滑に実現することができます。

経営戦略の見直し

有限会社の事業承継における注意点の一つとして、「経営戦略の見直し」があります。以下にその概要を説明します。

承継者の能力やビジョンに基づく見直し

承継時には、後継者の能力やビジョンに基づいて経営戦略を見直すことが重要です。後継者が持つ新たな視点やアイデアを活かし、事業の成長や発展を促進するために、現行の戦略を再評価する必要があります。

経営環境の変化への適応

承継時には、経営環境の変化にも対応する必要があります。市場動向や競争状況の変化、技術革新などに適切に対応し、経営戦略を調整することが求められます。

成長戦略と事業ポートフォリオの再評価

承継時には、成長戦略と事業ポートフォリオも見直す必要があります。事業の強みと競争力を再評価し、収益性や成長ポテンシャルの高い分野にリソースを集中する戦略を構築することが重要です。

組織文化や人材マネジメントの再構築

承継に伴い、組織文化や人材マネジメントも見直す必要があります。後継者のリーダーシップや価値観を反映し、組織の共通の目標や文化を確立することで、組織の一体性とパフォーマンスを向上させることができます。

監視と評価の仕組みの構築

承継後は、経営の監視と評価の仕組みを構築することが重要です。経営の透明性と責任の明確化を図り、定期的な評価や改善策の導入を通じて、事業の成果を最大化することが求められます。

経営戦略の見直しは、事業承継において成功を収めるために欠かせない要素です。後継者の能力やビジョンに基づき、環境変化への対応や成長戦略の再評価を行い、組織の文化や評価の仕組みを整えることで、持続的な成長と競争力の向上を実現することが目指されます。

まとめ

有限会社の事業承継にはメリットとデメリットが存在し、注意点もあります。メリットとしては、経営の継続性やノウハウの引継ぎ、安心感の提供、税制上の優遇措置、イノベーションの促進が挙げられます。

一方、デメリットとしては、後継者の能力や意思決定の違い、手続きの費用や時間、経営の不確実性やリスク、人材の流出や組織の変化、家族間の関係への影響があります。

注意点としては、承継のタイミングや法務上の手続き、経営戦略の見直しが重要です。事前の準備や計画、専門家の助言が必要であり、後継者の選定や円滑なコミュニケーションが重要です。事業承継によって企業の継続と発展を実現するためには、これらの要素をバランス良く考慮することが求められます。

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中小企業庁によると、2025年、70歳以上の経営者が245万人まで増加し、その半分の127万人後継者不在の問題から倒産・廃業の危機に直面するといわれる。
仮に127万社の中小企業が廃業したとすると、日本全体で650万人の雇用と22兆円のGDPが失われると予測されているー。親族内承継・社員承継・M&A……いずれを選ぶにせよ、まずは【継げる会社】【売れる会社】にしておかなければならない。

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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