皆さんは、企業を訪問した際、どこを見ますか?
弊社が経営指導する立場として必ず確認するのは、『壁に何が貼られているか』です。
壁に何が貼りだされ、それがどのように使われているかでその企業の経営者の視点がわかります。
本日は、資金改善指導を行っている企業様の壁に貼り出されている「会社再生15か条」を紹介します。
役員会議時に、全員で唱和し、役員自らに言い聞かせ、戒めとしている内容です。
どれも本質的な内容ばかりを15か条にまとめています。資金の厳しい企業様は、参考にしていただきたいと思います。
目次
第1条 変えるのは「人」の意識である
会社の再生にあたって重要となるのは、業績悪化の原因を他人に求めないことである。「社長が悪い」「会社が悪い」と他人のせいにするのではなく、業績を良くするために自分が何をしてきたかを反省することが大切である。
第2条 変わらなければならないのは経営者自身である
「業績悪化の原因・問題点は、全て自分自身にある」という覚悟が経営者にあることが大切である。
「過去と他人は変えられない。変えられるのは自分と未来だけ。」
まず、経営者自身がどう変われるか、そしてどう責任をとるのか、覚悟を持つことが重要である。
第3条 職場環境を変える
社員一人ひとりはしっかり仕事しているのに組織全体としては機能しない。あるいは、10の力を持っている社員が1か2の能力しか発揮できない。
このような場合は、力を発揮できない阻害要因を取り除くことで職場環境を良好なものに変えていくことができる。
第4条 会社の改革はまず自分から
社員を集めて、「コスト削減だ!」「意識改革だ!」といっても納得しているのは本人だけで、現場は何も変わらない。相手に伝えるスピードも大切であるが、社員に実践してもらうことが重要である。
何十名の社員の内、一人でも真剣に改革に取り組めば方向性を示すことができる。
第5条 新しいことを浸透させるには、リーダーがまず実践して納得してもらうこと
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」言っただけで、終わらせてしまうと、言ったとおりにはならないものである。
少なくとも一定の期間は、繰り返し、繰り返し、手を変え品を変え、しつこいくらいに「お願い」することが重要である。
第6条「思い」を成功させるには「人の力」を借りること
自分自身が行動する場合でも、一人でくよくよせず、できるだけ多くの人を仲間だと思ってその力を借りることができれば、考えもしなかった大きな力を得ることができる。
第7条 トップは、徹底した「現場主義」と「合理主義」を貫くこと
現場主義を貫くためには、「現場を見て歩くこと」「お客様に頭を下げること」「部下を信頼すること」を徹底すること。
第8条 再生のための3つのマインド
【1】会社の赤字が恥なのではなく、赤字を直そうとしないのが恥である
【2】自社名を堂々と名乗って生活できる
【3】自分の子供を我が社に入社させたいと思うような会社にする
第9条 目標をはっきりさせること、全体で同じ目標を持つこと
目標は、会社全体を考えて「やらなければいけない数字」を設定すること。
自分たちは、今何をしなければならないのか、なぜ、その目標が必要なのかがわかれば社員の意識も仕事の進め方も変わってくる。
目標設定については、以下の記事で解説しています。
▼目標設定関連コラム
第1回 目標設定のやり方と5W2H
第2回 間接部門の目標設定
第3回 目標の進捗管理の仕方
第4回 部下の目標達成に導くコーチング
第5回 人事評価のフィードバック方法
第6回 目標設定のステップアップ方法
第7回 目標設定に関する失敗事例
第8回 成功する定量・定性目標設定のポイント
第9回 組織の成熟度に応じた人事評価制度の運用モデル
第10条 「やっていない」と指摘すればするほど業績は下がる
「やっていない」のではなく、これだけの人財がいて「やらないのは、もったいない」という考えを持つこと。「もっと意欲をもて」「もっと働け」と号令をかけるのではなく、「喜んで働ける環境」をつくることが大切である。
第11条 オモイコミュニケーション(思いこみ)ではなく、真のコミュニケーションを
コミュニケーションを取らずに、自分の思いこみだけで相手を判断しているケースが非常に多い。
縦割り社会の壁を取り払うことによって、部署は違っても組織の一員として共に働いているという「共同体意識」が生まれれば組織は変わる。
第12条 大切なことは「伝えること」ではなく「やってもらうこと」
人から言われても、自分なりに納得しなければ人は行動しない。したがって納得してくれるまで繰り返し説明することが重要である。
第13条 コミュニケーションの基本は「謙虚な気持ち」を忘れずに
相手と同じ気持ちになるには、常に謙虚な心を持ち続け、相手の話にも謙虚に耳を傾ける姿勢を保っていくことが大切である。
第14条 部下の意見には即答を
人から頼まれたり、質問されたときに、即座に「イエス」か「ノー」かをはっきりと答えることが信頼されるポイントである。
即答できない場合は、なぜ答えられないのか理由を説明し、いつになったら答えられるのか明確にすること。
即座に返事ができるということは、普段から自分と周囲のことをしっかり認識し、考えをめぐらせている証拠で、これが信頼につながる。
第15条 できないのでない、やろうとしていないだけ解決の糸口はここにある
できない理由を言おうと思えば、100でも200でも言い訳はできる。できない言い訳をするのではなく、どうすればできるのか考えることが重要である。
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NBCコンサルタンツ株式会社
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