この記事では、会社が倒産する原因と会社を潰す社長の特徴を解説します。また倒産寸前だったある製造業の企業が改革に踏み切り、1年目から黒字化に成功した事例をご紹介します。
御社の決算書から、実数値をもとに、
会社を倒産させないための改善の方向性をレポートにまとめ、わかりやすくご報告します。
明日からの資金繰り改善に、今すぐ役立ちます。
目次
会社が倒産する原因と会社を潰す社長の共通点
なぜ会社が潰れてしまうのでしょうか?
倒産を経験した経営者の会『八起会』を設立した野口誠一氏は、会社が倒産する原因ベスト10と会社を潰す社長の共通点について次のように語っています。
倒産の原因ベス卜10
- 経営者の高慢、経営能力の過信
- 社員教育の不備、欠如
- 事業目的・目標・計画性の欠如
- 業界情報の不足と環境変化への対応
- 新商品の欠如、技術開発の遅延
- 家庭不和、同族経営の弊害
- 公私混同、経営哲学の欠如
- 決断力・実行力の欠如
- 計数管理不足と勉強不足
- ワンマン、反省心の不足
倒産する社長の共通10項目
- 自己中心
- 悪いことはすべて他人のせい
- 嫌いなこと、苦手なことを避ける
- 真の勇気がない(縮小、謝罪、相談)
- 頭でわかっても実行しない
- お人好し(頼まれたらノーと言えない)
- 還元の心なし
- 反省心の欠如
- 時間貧乏(働きすぎ、遊びすぎ)
- 公私混同(金銭感覚の欠如)
とある企業の改善事例(製造業)
コンサルティングの現場で、倒産寸前の状態にあった中小企業を支援し、1年で黒字化したケースをご紹介します。
改善前の会社の現状
対象:創業70年、製材業を営むA社
弊社の書籍をご覧いただいたという社長の奥様からお問い合わせがありました。後日訪問し、会社の現状を詳細にお聞きしました。
- 10年程前までは順調だったものの、需要の変化もあり業績が徐々に厳しくなってきたこと。
- 債務超過であること。
- 設備投資のための借入金が多く返済も重い上、本業も赤字が続き資金繰りが厳しいこと。
- 仕入先にも未払金があること。
1時間半ほどの滞在時間中、社長の発言はほぼなく、9割は奥様が話していました。その理由は徐々にわかってきました。
まず、社長は決算書の内容をあまり把握しておらず、会計事務所から月次の試算表が届いていなくてもあまり気にしていないようでした。銀行対応にもほとんど関与していない様子で、経理をしている奥様が一人で資金繰りに奔走している状況。
つまり、社長は決算書や社内の計数については極端に弱く、奥様に任せっきりで逃げてきたわけです(嫌いなこと、苦手なことを避ける)。
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しかし社長も「とにかく売上を上げなければ」と、得意先からの注文に一生懸命対応し、朝早くから夜遅くまで働き続けていました(時間貧乏)。ところが、社長の努力とは裏腹に、売上は伸びているものの営業利益は毎年減少していたのです。
売上を上げるために多少利益が少なくても受注したり、自社の生産キャパシティ以上の受注を取ったため、残業や生産ロスが増え売上増加と反比例して粗利は毎年減少。さらに管理には全く目が向いておらず経費は増加。結果、営業利益が減少の一途を辿るという最悪のサイクルに陥っていたのです。
一番の問題は、社長含め社内で製品原価を把握している人がいないことでした。そのため、「とにかく一生懸命モノを作れば、売上が上がって利益も上がるはずだ」と間違った幻想を抱いていたのです(計数管理不足と勉強不足)。
また、社内には社長がいろいろな人から「雇ってやってくれないか?」と頼まれて雇った社員の方が複数人いました(お人好し)。やる気や意識、能力が低くても頼まれて雇用したため、遠慮して注意も指導もできない状況でした(社員教育の不備、欠如)。
改革スタート
まずは、改革のための社内調査と社員研修会を実施しました。
社内調査からは、全く業績・原価を管理していない状況や、社長が注意・指導をしないため好き勝手にふるまっている社員が複数いること。また、社長の技術が一番高いため、難しい特注品はすべて社長が対応し、社員はやろうとしないことが判明しました。
メインバンクへの聞き取り調査でも、「破綻懸念のあるA社にもう貸付はできない」「会社に訪問しても社員は挨拶もしないし、社長がフォークリフトで走り回っていても、社員は煙草を吸って休憩している」「あんな会社は見たことがない」と厳しい指摘をされ、待ったなしの改革をスタートする必要がありました。
改革方針
業績を社内公開。
全ての製品(製材品)の原価計算を行い、赤字の製品や赤字の取引先を見直す。
正式な組織図を作成し、役職や給与に見合った働きをしてもらう
社員研修会では社長および全社員が、改革方針に基づき今後どのように改善していくかを考え、決意表明をしていただきました。
厳しい改革を進めると、これまでいい加減にやってきた数名の社員達は「会社を辞める。」と言い残し退職していきました。社長には「血の流れない改革は無い」と理解いただき、残った社員で改革を進めていきました。
その結果、1年目から黒字化することができました。
赤字の製品や取引先を見直したため売上は下がりましたが、粗利は増え、残業や経費も減らせたことで、営業利益を出すことができました。2年目以降も順調に黒字を計上しています。
倒産しない会社を目指すために
今回紹介した社長も改革前は「嫌いなこと、苦手なことを避ける」「時間貧乏」「計数管理不足と勉強不足」「お人好し」「社員教育の不備、欠如」と、倒産する原因や会社の社長の特徴に当てはまっていました。
このまま引きずっていたら、この改革は失敗に終わっていた可能性があります。土壇場で腹をくくって、厳しい改革を行ったからこそ成功したと今でも感じています。
会社が潰れる前兆は、数字、職場の雰囲気、取引先などを見渡せば必ず見つかります。
もし今回の事例や「倒産の原因」「倒産する社長の共通項目」を読み「自分にも当てはまる点がある」と思った経営者の方は、厳しい改革への第一歩を踏み出すことをおすすめいたします。
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
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