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『因果律』
“会社は赤字だから倒産するのではない。お金が無くなるから倒産する”
ある経営セミナーでこのようなお話をさせていただきました。
企業はある日突然に倒産の事実を突き付けられるのではなく、『因果律』に則って最悪の事態に陥るのだと。
『因果律』とは、原因と結果には必ずルールがある、ということですが、倒産・・・企業にとっての最悪の結末のその直接の原因は、「資金」が足りずに回らなくなる、ということで間違いありません。
驚き!の金銭観
数年前に、あるご支援先でこのような事がありました。
会社は19年連続赤字、しかし社員の給料は緩やかながらも右肩上がりで増えており、賞与も年2回支給、収入に対する不満は社員は一切ありませんでした。一方で会社は資金が枯渇し苦しい状況に追い込まれ、どうすればいいだろうかと相談に来られました。
ここまで長年にわたり赤字でも倒産しなかった理由はたった一つ、お金があったからでしたが、その資金の源であった融資を、担保余力がなくなり金融機関から断られて困り果てた・・・という経緯でした。
お金は会社の決算書(業績)に対して貸し付けられたのではなく、会社と経営者個人の資産(不動産)に対して貸し付けられたものでした。
当然、資金を増やすことでしかこの危機を乗り越えられないわけですが、何より驚いたのはこの経営者の「金銭観」でした。
そもそも、借りたお金を返済して借入金を減らそう、という気が全くないのです。
例えば、200万ほど返済すると「これで200万の枠ができた!」と考えてしまう。
資金を残したり増やしたりといったことを一切せずに、足りなくなれば借入を起こす、という繰り返し。当たり前ですが高い金利・・・にもかかわらず、高いことを意にも介していません。
プライベートのお金の使い方も杜撰そのもので、欲しいものがあればすぐに買うという行動の繰り返しでした。
その他「倒産する会社の共通点」は以下の記事で解説しています。

倒産する会社の社長の共通点
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善因善果
このように、『因果律』を紐解いていくと、経営者の「お金」に対する価値観と、会社の「資金」に対する考え方が一致することがよくわかります。
そのような会社には総じて“監視機能”“ルール”がなく、「当たり前の基準」が低いということが挙げられます。
そのことを嘆く経営者はたくさんいらっしゃいますが、多くは、気づいているけど直さないのか、直し方を知らないのかのどちらかだと感じます。
長年の習慣が勝手に治ることはなく、ある意味「強制」しなければ、また同じ苦しい1年を過ごさなければならないにも関わらず・・・。
運動の上達に「コツ」があるように、資金を残したり増やしたりすることにも「コツ」があります。コツを覚えれば簡単です、とはなりませんが『正しい資金の考え方や残し方』を知らなければ始まりません。
「善因善果悪因悪果」という言葉があります。良い結果には良い原因が、悪い結果には悪くなった原因があるということです。「資金」を通じて学び合い、気づき合い『善因善果』となる場をこれからも提供し続ける存在でありたいと考えます。
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この記事の著者

NBCコンサルタンツ株式会社
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