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事業承継民事信託の事例:続・社長/山田太郎の場合

2018.09.26

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==========★現役司法書士が特別レクチャー!★==========

後継者確保難時代の経営者へ「相続・事業承継“必須知識”シリーズ」
 【VOL.1】決めていますか?事業承継の「継がせる形」
 【VOL.2】事業承継法定相続の事例:社長/山田太郎の場合
 【VOL.3】事業承継民事信託の事例:続・社長/山田太郎の場合


VOL.1では司法書士の観点から

  • 「継がせる形」をあらかじめ決めること
  • その形に見合った準備・経営を進めていくこと

この重要性を説き、自社株や相続・贈与税問題を取り上げました。

そして、VOL.2では【社長/山田太郎】の事例を用いて、
「長男に継ぎたい」という想いを告げられないまま太郎氏が急逝した場合、
法定相続と遺産分割、それぞれの場合に起こりうるさまざまなトラブルと、
それを回避する【遺言】についてお伝えしました。


相続・事業承継におけるトラブルを回避するには、
遺言作成のような事前準備が必須になりますが、
今号では、同じく【社長/山田太郎】の事例を用いながら、
「もし、後継者が決まらなかったら?」のケースで有益な
【民事信託】という選択肢についてお伝えします。

目次

(おさらい) 社長「山田太郎」の現状・背景

山田社長の家系図は以下の通りです。

yamada-kakeizu-1

また、親族は以下のような想いをそれぞれ抱えていました。

 花子……太郎の経営(やり方)を後継者にも継いでほしい

 浩一……太郎の会社を手伝っている
 桃子……姑(花子)との仲がよくない

 浩二……太郎の会社とは全く関係ない企業に勤務

また、山田太郎の財産の財産状況は以下です。

 【山田太郎の財産】総額2億2,000万円
   
  ・自社株式  100株(5,000万円相当)
  ・自宅    (5,000万円相当)
  ・収益不動産 (8,000万円相当)
  ・預貯金   (4,000万円相当)
      
  ※相続税のことは考慮せず

前号で述べた、長男の浩一が社長を継いだ際のトラブルを回避すべく、仮に次男の浩二を社長として株を譲ったとしても、浩二には現在子供がいないため、将来的に会社の株が第三者に渡ってしまうリスクが発生します。

また「浩一か、浩二か……。」と後継者を絞りきれないまま、太郎が認知症など、正常な判断ができない状態になって経営に携われなくなるというリスクも考えられます。

そんな時に検討したいのが【民事信託】という選択肢です。

(例)一般社団法人の設立

本事例では、太郎に合計2億2,000万円と多額の個人資産があるため、一般社団法人を設立します。そして、太郎と一般社団法人で信託契約を結びます。

会社の事業承継がメインのため事例では自社株式100株(5,000万円相当)のみを社団法人に信託しますが、民事信託であればもちろん自社株式以外の財産も信託財産に付すことができます。

受託者 受託者 受益者
太郎 社団 太郎

設立当初の一般社団法人の構成員(社員)は、太郎・花子・浩一・浩二が最も信頼する会社の部下が良いでしょう。

そうすると万が一、太郎が認知症になって業務を行えなくなったとしても、議決権は一般社団法人にあるため、一般社団法人が取締役・監査役などを決め、取締役達が代表取締役を決められるため業務は遅滞しません。

また、認知症にならず太郎が死亡した場合でも、信託が終わらないようにしておけば自社株式は相続財産にならず、株主である一般社団法人は、株主総会で役員を補充・選定することができるため、業務はそのまま継続できます。

(あまり考えたくないことかとは思いますが)
このように、自分に万が一のことがあった場合も、民事信託を活用しておけば会社の歩みを止めることを防ぐことができます。

(例)受益者連続型信託

民事信託は、将来にわたる株式分散を防ぐ手段としても有効です。

仮に、浩一ではなく浩二が後継者に相応しいと考え直した場合も、自社株式は株主である一般社団法人のものなので、妻の千代に株が渡り分散するようなこともありません。

そしてその場合、

1)最初の受益者が太郎

2)太郎が死亡したら浩二を受益者に

3)浩二が死亡し、その時に浩二に子供がいて後継者に相応しいのであれば、浩二の子に。
浩二に子供がいない、または相応しくない場合は浩太に。

……というように、設定時には現存していない子や孫を含めて、予め数代先まで受益者を決めることができます。

いかがでしょうか?
民事信託は、他にも様々な使い方があります。また今回は取り上げていませんが、実際には相続税との絡みなどもあるかと思います。

ご関心があればぜひ一度ご相談ください。

◆NBC司法書士事務所◆
http://www.shiho-yoshida.com/

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この記事の著者

NBC司法書士事務所

西東京市で相続と会社設立で実績のある司法書士です。相続と会社設立以外でも、ワンルームマンションを使った資産運用の提案、遺言・葬儀生前予約信託、保険を活用した相続トラブルの予防など、お金と法律に関することなら、何でも対応可能です。