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決めていますか?事業承継の「継がせる形」

2018.02.06

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==========★現役司法書士が特別レクチャー!★==========

後継者確保難時代の経営者へ「相続・事業承継“必須知識”シリーズ」
 【VOL.1】決めていますか?事業承継の「継がせる形」
 【VOL.2】事業承継法定相続の事例:社長/山田太郎の場合
 【VOL.3】事業承継民事信託の事例:続・社長/山田太郎の場合

 

2025年には、70歳(経営者の平均引退年齢)を超える中小企業の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万が後継者未定という状況です。

このように事業承継は大きな問題となっていますが、これから3回にわたって相続・事業承継“必須知識”をご紹介します。

目次

事業承継の主な方法

中小企業の事業承継問題、
このままでは2025年までに廃業などで約22兆円のGDP損失となる可能性……。
経済産業省のこの推計は昨秋のニュースでした。

また、2016年の東京商工リサーチによる調査では「休廃業企業の5割は黒字」という結果も出ており、企業存続の難しさは決して対岸の火事ではない時代に突入しています。

皆様は事業をどのような形で引き継ぐか考えていらっしゃいますか?事業承継の方法としては主に次の3つです。

  • [1] 子供に継がせる
  • [2] 信頼できる社員に継がせる
  • [3] 会社を第三者に売却する(M&A)

そして、経営者ならば知っておかねばならないことは、

[1][2]の『後継者に継がせる』場合と、[3]の『第三者売却』では、
「自社株の取り扱いをどうするか?」が正反対になるということです。

自社株の取り扱いの違い

[1][2] 後継者に継がせる場合

自社株を後継者に贈与する場合、株の評価が高ければ継ぐ側には多額の贈与税が発生します。
また、売却するにしても高くて買えないということもあります。

よって、後継者に継がせる場合は「株価を低く」がセオリーです。

[3] 第三者売却の場合

売却の場合は当然ながら、株価が高くないと会社は高値で売れません。

株価が低い会社は買い叩かれ、売り手の手元に入るお金は希望額に遠くおよばないことはよくある話です。

誰しもが願う「売ったお金でゆとりある老後を過ごしたい!」という夢とは真逆の先行きを迎えることも少なくありません。

よって、第三者売却の場合は「株価を高く」がセオリーです。

大事なのは「ブレない決断」と「綿密な準備」

すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、後になって大問題となるケースは、『後継者に継がせる』ことと『第三者売却』とが
途中で方向転換した場合です。

後継者に承継するつもりが第三者に売却することになった場合の問題点……。

さて、後継者に継がせるべく株価評価を下げたものの、
「何らかの事情で後継者候補が辞退した」
「思っていたようには成長してくれなかった」
など、やむを得ない理由で第三者売却へと変更する場合、低い株価では買い叩かれてしまいます。

第三者に売却するつもりが後継者に承継することにの問題点……。

「いやぁ、ついこの間まで会社は売ろうと考えていたけど、息子が『継ぎたい』と言ってきてくれてね……」

一見喜ばしい話に思えますが、第三者売却のために、すでに株価を高められるだけ高めていたらどうなるでしょうか?

後継者へ無償で譲れば贈与税、死後であれば相続税、売却する場合、後継者は買取資金を用意できるのか?
このような問題が発生することになるわけです。

経営も後継者の育成も、
決してシナリオ通りに進むものではありません。

だからこそ強い意志で「将来はこうする」と方向性を固め、綿密に抜かりなく準備を進めることが大事です。

まとめ

読者の皆様には、ぜひ後のトラブル回避に今から備えていただきたいと思っていますが、
「すでにトラブルの兆しがある……」
という方もいらっしゃるかもしれません。

次号以降では、そのトラブルの沼にはまってしまったある社長の事例を用いて、
[1][2]の『後継者に継がせる』場合の留意点や、新たな選択肢である「民事信託」についてお伝えしていきます。

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この記事の著者

NBC司法書士事務所

西東京市で相続と会社設立で実績のある司法書士です。相続と会社設立以外でも、ワンルームマンションを使った資産運用の提案、遺言・葬儀生前予約信託、保険を活用した相続トラブルの予防など、お金と法律に関することなら、何でも対応可能です。