昨夏より「製造業における原価計算」についてお伝えしています。今回は【STEP2:自社の生産タイプを把握する】についてお伝えします。
目次
生産タイプ別 原価計算の方向性(パターンA~E)
下記は生産タイプ別の原価計算の方向性表は、製造業における
1)主要な生産タイプごとの、
2)主な費用と
3)原価計算の方向性を分類したものなります。
ここで特に重要なことは、2)主な費用を、前回お伝えした「原価構成」を踏まえてしっかりと把握した上で、3)原価計算の方向性を検討することです。
例えば、手作業(労務費)が原価構成の大半を占める下請け組立の場合、人の加工時間をチャージの配賦基準とした原価計算を検討する必要があります。
一方で、材料費が原価構成の大半を占める鋼構造物(橋梁など)製造の場合、材料費をチャージの配賦基準とした原価計算の検討で十分で、人の加工時間の検討を省略したとしても、結果に大きな差が生じる可能性は小さく、より低コスト(手間をかけず)で実効性のある原価計算を行うことができます。
【パターンA】
生産タイプ
<受注生産>下請け組み立て(OEM)
<見込生産>衣料品製造(SPA_ユニクロ)
主な費用
マンチャージ(※注1)
マンチャージ……作業者が一時間加工・作業をするために必要なコストで基本的には全社共通で対応します。
なおマンチャージの計算式は以下です。
─────────────────────────
直接作業者の勤務時間の合計(※2)×稼働率(※3)
(※1)給与台帳 (※2)出勤簿 (※3)製造日報
原価計算の方向性
<チャージの配賦基準>人の加工時間
[計算式] 材料費+(チャージ×加工時間)
【パターンB】
生産タイプ
<受注生産>機械加工部品製造/プレス部品製造/ゴム製品製造
<見込生産>半導体製造
主な費用
マシンチャージ(※注2)
マシンチャージ……機械を時間加工するのに必要なコストで、機械ごとに集計します。
なおマシンチャージの計算式は以下です。
─────────────────────────
機械Aの稼働時間(※2)
(※1)機械固有コスト(減価償却費・メンテナンス費用)とその他固定費全て
(※2)単位は年もしくは月
原価計算の方向性
<チャージの配賦基準>機械の稼働時間
[計算式] 材料費+(チャージ×稼働時間)
【パターンC】
生産タイプ
<受注生産>自動車部品製造/造船
<見込生産>自動車製造
主な費用
材料費
原価計算の方向性
<チャージの配賦基準>人の加工時間
[計算式] 材料費+(チャージ×加工時間)
【パターンD】
生産タイプ
<受注生産>鋼構造物(橋梁)製造
<見込生産>食品製造
主な費用
材料費
原価計算の方向性
<チャージの配賦基準>製品重量
[計算式] 材料費+(トンチャージ×製品重量)
【パターンE】
生産タイプ
<受注生産>設備開発/専用ソフト開発
<見込生産>家電開発/汎用ソフト開発
主な費用
開発費
原価計算の方向性
<チャージの配賦基準>製品原価
[計算式] 製品原価+(開発チャージ×製品製品原価)
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はじめに :製造業における原価計算~原価計算の必要性~
STEP1:自社の原価構成を把握する
STEP2:自社の生産タイプを把握する
STEP3:自社の原価計算の進め方を検討する
STEP4:原価計算に必要なデータを収集する
STEP5:用語を整理する
STEP6:原価計算制度の構築スケジュールを検討する
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
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