昨夏よりテーマ「製造業における原価計算」についてお伝えしております。今回は【 STEP4:原価計算に必要なデータを収集する 】についてお話しします。
INDEX
製品加工業を例に説明します。原価計算を進めるためには、以下のようなデータが必要になります。
原価計算に必要なデータ
原価計算に必要なデータは以下の表のとおりです
必要なデータの種類 | 資料例 |
製品別の材料費・外注費等の直接費の集計資料 | 製造業の場合:原価表 |
食品加工業の場合:レシピ | |
マシンチャージ(※)の集計資料 | 固定資産台帳 |
機械ごとのランニングコスト | |
修繕費の集計表 | |
マンチャージ(※)の集計資料 | 賃金台帳・工程ごとの作業日報 |
コストセンター(コストが発生する地点・工程)の検討資料 | 製品別の工程図 |
製品別・顧客別販売単価の集計資料 | 売上台帳 |
製品別単価表 |
※マシンチャージ(機械の稼働コスト/時間)、マンチャージ(作業者の稼働コスト/時間)についての詳細は【 STEP2:自社の生産タイプを把握する(2018.2.27)】を
ご参照ください。
原価計算に必要なデータの検証方法
次に、これらのデータや資料について、以下の観点から検証を行います。
存在の有無
会社に上述のデータや資料が無い場合、まず下記を見積もる必要があります。
- 1)集計・作成にかかる手間・コスト
- 2)原価計算の必要性(改善の可能性・金額の多寡)【重要】
管理している部署・場所
どこにあるか?誰が持っているか?
各資料の制度
最新かつ正確な情報か?必要な情報がすべて揃っているか?
フォーマット
データや資料がどのような形式で存在するか確認する必要があります。
例)手書き、汎用ソフトからPDF出力・CSV出力、エクセルデータなど
これらの検証結果を一覧表にまとめると、どこから着手すべきかがわかってきます。原価計算制度の構築スケジュールを検討する際などに活用しましょう。
(スケジュールの検討方法もSTEP6で解説いたしますので、ご参考になさってください。)
製造業における原価計算連載一覧
はじめに :原価計算はなぜ必要なのか?
STEP1:自社の原価構成を把握する
STEP2:自社の生産タイプを把握する
STEP3:自社の原価計算の進め方を検討する
STEP4:原価計算に必要なデータを収集する
STEP5:用語を整理する
STEP6:原価計算制度の構築スケジュールを検討する