昨夏よりテーマ「製造業における原価計算」についてお伝えしております。
今回は【 STEP3:自社の原価計算の進め方を検討する 】についてお話します。
目次
原価計算の進め方は主に2つある
原価計算の進め方には大きく分けて、2つの方向性があります。
[A]社員教育の一環として、原価計算制度の構築を行う。⇒緊急度が低い。
[B]窮境原因を究明するために、原価計算制度の構築を行う。⇒緊急度が高い。
原価計算を用いた業務改善を進めようとすると、作業日報の作成や集計作業、集計結果に基づく改善案の立案・実行など、社員に一定のストレスがかかります。
社員の皆さんを巻き込み、社員教育の一環として理解を深めながら原価計算の精度を高めていくという進め方が理想的です。
今回は、上記の[A]の進め方についてご紹介します。
原価計算プロジェクトチームを組成
組織の枠に囚われない形でプロジェクトチームを組成します。
プロジェクトの真の目的として「原価計算に向いている社員の発掘」があります。
原価計算は「向き」「不向き」がハッキリする作業ですので、数ヶ月間、プロジェクト活動を行うことにより、「原価計算に向いている社員」を見つけ出すことができるのです。
原価計算に向いている社員
「原価計算に向いている社員」とは以下のような方です。
几帳面な性格
原価計算のベースとなる集計作業は、日報のチェック、地道な入力作業などが必要不可欠です。几帳面な性格の方が適しています。
原価計算を「面白い」と思える好奇心
一般的な経理の仕事は、正確な集計・処理を行うことを目的としていますが、
原価計算の仕事は、集計・処理を行うことは第一ステップに過ぎずそれ以降の原価データを用いた「改善活動」が主な目的となります。
原価計算の「面白さ」を自身で感じて、他の社員にアピールするような、好奇心あふれる性格の方が適しています。
勉強会の実施
以前のコラムで紹介した、下記の内容に関する勉強会を実施し、全体像を掴みます。電卓を使って実際に計算をしてみることがポイントです。
◆2017.10.24)
◆2018. 2.27)
試験運用
まず【1】工程の複雑性(工程がシンプル)、【2】生産量の多寡(生産量が多い)などの観点から、原価計算を行う「製品」「工場」「工程」を限定して試験運用を行います。
工程が複雑だと、コストが発生する工程・作業などの把握が困難となってしまいます。また、生産量が少ないと、データを収集するのに時間を要し、異常値が出やすくなるので試験運用には適しません。
本運用
一定期間の試験運用を経て、本運用となります。
原価計算を用いた業務改善は、先に述べた通り、現場に一定のストレスがかかります。試験運用を通じて十分に検証し、現場のストレスを最小限に抑えることが成功への近道となります。
製造業における原価計算連載一覧
はじめに :製造業における原価計算~原価計算の必要性~
STEP1:自社の原価構成を把握する
STEP2:自社の生産タイプを把握する
STEP3:自社の原価計算の進め方を検討する
STEP4:原価計算に必要なデータを収集する
STEP5:用語を整理する
STEP6:原価計算制度の構築スケジュールを検討する
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
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