2017年より「製造業における原価計算」についてお伝えしております。
締め括りとなる今回は【 STEP6:原価計算制度の構築スケジュールを検討する 】についてお話しします。
目次
原価計算制度の構築スケジュールを検討する際の代表的な項目は以下になります。
それぞれのポイントを押さえながら、制度構築に臨んでください。
制度設計
- 方向性の検討:おおむねの方向性をすり合わせる。
- 必要なデータの収集:必要なデータの蓄積状況を把握する。
- 各種チャージの計算:マンチャージ(工種別)/マシンチャージ(機械別)
- コストセンターの設定:製造に際してのコストセンター(コストが発生する地点・工程)を検討する。
- 制度設計:
レベル1_原材料費・外注費まで考慮
レベル2_加工費(直接労務費)まで考慮
レベル3_加工費(間接労務費)まで考慮
ポイント【1】:まずは簡易なレべル(今回だとレベル1_原材料費・外注費まで考慮)で制度設計から制度運用までの一連の流れを通すことが重要です。
制度運用
<1>プロジェクトの組成:各部署から数名を選出します。
ポイント【2】:若手中心にプロジェクトメンバーを選出することをおすすめします。
なお、ほとんどのケースで「脱落者」が出てきますが、原価計算のプロジェクトは“ある程度核となる数名”が中心となって進めたほうが、結果的に成果が上がりやすいようです。脱落を気にせず、どんどん進めましょう。
<2>試験運用:エクセルで試験運用を行う。
ポイント【3】:原価計算制度の設計・運用を社員教育の一環として考えるなら、
まずはエクセルでの運用を行い「社員が自分で手を動かす⇒計算式を考える・帳票を作る」ことが重要です。
<3>本運用
集計・活用方法が固まり次第、帳票の作成に必要な時間・コストを削減するためシステムへの移行を目指す。
<4>PDCAサイクル
原価計算制度の改善。計算結果を用いた営業戦略の検討・原価改善。
ポイント【4】:ある程度、成果が見えてくるようになったら、社員の理解度を把握・高めるために社内テストの実施をおすすめします。
若手がベテランに教える姿を見ると、コンサルタントとしては「しめしめ」といった気持ちになります(笑)
「製造業における原価計算」に関するシリーズは今回で終了となります。
ありがとうございました。
製造業における原価計算連載一覧
はじめに :製造業における原価計算~原価計算の必要性~
STEP1:自社の原価構成を把握する
STEP2:自社の生産タイプを把握する
STEP3:自社の原価計算の進め方を検討する
STEP4:原価計算に必要なデータを収集する
STEP5:用語を整理する
STEP6:原価計算制度の構築スケジュールを検討する
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
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