ご縁をいただいた企業の支援をスタートする際、我々は最初に「現況調査」を行います。
ここで行うことの一つに「経費の見直し」があります。
当たり前になっている経費を見直すことで、経営の見直しにもつながるかもしれませんので、ぜひ経営者ご自身で経費の見直しを行ってみてください。
目次
経費を見直す手順
まず「総勘定元帳」をご用意いただき、支払総額の多い経費から順に、見直し(削減)ができるかどうかを検討していきます。
私は常々、経費は経営者ご自身に見直していただくことを推奨しています。5年前・10年前のデータと比較しながら行っていただくと尚良いです。
もし、経営者になってから一度も経費を見直していない方や、「総勘定元帳って何?」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ、すべての項目に目を通してみてください。
(総勘定元帳の入手は経理担当者もしくは会計事務所の方に依頼しましょう。)
膨大な資料となり、ひょっとすると目を通すだけで1時間以上かかるかもしれません。しかし、その時間でさまざまなことを振り返ることができます。
下記のようなケースではとくに効果的です。
<ケース1>売上は好調!しかし利益は……。
売上は前年比120%を超過しているものの、営業利益がまったく増えていない。
売上を追い求める過程で、支出が想定以上にかさみ利益率が低下。営業利益がでない体質になっているケースです。
経営者の経費に対する意識が低い場合に多く見られる傾向があり、
このような場合は『手書きもしくは手入力での月次業績資料の作成』をおすすめします。
私も入社間もない頃から、毎月ご支援先のB/S・P/L項目をすべて手入力して業績を把握しています。
これを継続することで「自分自身で数字を触ることの大切さ」が実感できます。
<ケース2>受注獲得・利益創出の苦労を知らない……。
受注獲得・利益創出の経験が少なく、苦労・大変さを理解していない故、経費に対する意識が低い……というケースもあります。
仮に営業利益率1%の会社であれば、経費100万円は売上1億円に相当します。
自社の利益率をもとに経費がいくらの売上に相当するか計算し、
それを意識しながら自社の経費を一つひとつ見直すと、見えてくるもの・感じるものがあるはずです。
経費見直しで経営を見直すきっかけになるかも
今や経常利益率10%を超え、盤石な財務基盤・企業をつくり上げた経営者であっても、苦しい創業期を経て今があります。
当たり前に数万円の領収書を経理に提出する。そうなってしまっていませんか?
タクシーに乗ることすらためらっていたあの頃―。
会社を創業し、資金繰りで奔走しながらも成長・発展させてくれた先代経営者や経営幹部。
目標利益を達成させるために日々一生懸命頑張ってくれている社員・スタッフたち。
応援してくれるお客様のこと。
苦しい時も支えてくれた協力企業のこと。
創業時や入社時の気持ちを思い出しながら、ぜひ「経費の見直し」を行ってみてください。
初心に立ち返り、経営を見直す良いきっかけとなるかもしれません。
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
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