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経営資源集約化税制~株式取得M&Aでの節税策

2022.04.06

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最近はテレビCMなどでも「M&A」というワードをよく耳にするようになりましたね。

M&Aの市場は後継者不足問題の深刻化などを理由に拡大しています。

株式会社レコフデータの調べでは、2021年のM&A件数は2020年に比べて14.7%増加し、過去最多を記録しました。

大きな要因は、コロナ禍によるM&Aの後倒しとリーマンショック以降の金融緩和が考えられます。

M&Aの買い手には事業成長のための時間短縮などの大きなメリットがある一方で、

一時的な多額のキャッシュアウトが気になるところかと思います。

そこで今回はM&Aの買い手が受けられる税制措置である、M&A促進税制(経営資源集約化税制)について解説いたします。

目次

経営資源集約化税制とは

ポイントは、この制度を活用することで相当の減税効果(正確には繰延)が得られ、M&Aによる資金繰りへの影響を軽減できる点です。


令和3年8月2日から令和6年3月31日の間に、経営力向上計画を主務大臣に申請し認定を受けた中小企業者がM&Aを実施する場合、

株式の取得価額のうち最大で70%をその事業年度において損金算入でき、その後5年間の据置期間を経て、6年目から10年目にかけ均等に取り崩しを行い益金算入を行う制度になります。

つまり、今までは株式の取得価額が全額資産計上されていたものが、この制度を活用し取得価額のうち最大で70%を損金算入することで、納税を繰り延べることができるというものです。

例えば、株式を1億円で取得した場合、最大で7,000万円を、取得した事業年度の損金にすることができます(ただし、取得価額が10億円以下に限ります)。

経営資源集約化税制の注意点

ぜひ、活用したいこの制度、申請自体は外部の専門家に依頼をすればよいのですが、そのスケジュールに最大の注意点があります。

それは
『経営力向上計画申請の「認定」を「M&A最終合意」までに終わらせること』
最終合意後に認定がおりた場合は、仮に申請をしていてもこの制度を活用することはできません。

したがって、基本合意から最終合意までにある程度の余裕を持たせる必要があります。
プロセスとしては以下の流れで進めましょう。

  1. M&A基本合意
  2. 経営力向上計画申請
  3. 経営力向上計画の認定
  4. M&A最終合意
  5. M&Aの報告
  6. 税務申告

経営資源集約化税制の要件

さて、最後にこのM&A促進税制を活用できる買い手側の要件です。

  • 青色申告をしている中小企業者であること。
  • ここでの中小企業者は中小企業等経営強化法の中小企業者等であり、租税特別措置法の中小企業者に該当するものをいいます。

NBCではM&A仲介だけではなく買収監査のみを行うこともあるのですが、仲介会社からこの制度に関する説明がないケースが何度かありました。

M&Aを検討されている企業様は、自社でM&A促進税制の活用が可能かぜひ確認してみてください。

そして、前述のプロセスを参考にスケジュールを組んで進めていきましょう。

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この記事の著者

NBC税理士法人

「縁のあったお客様は絶対に倒産させない。」という志のもと、税務面、経営の全般的なサポート業務を行っています。顧客訪問数1200社以上のノウハウをもとに、会計監査などの税務相談や、事業承継、新規開業、相続などさまざまなノウハウを配信しています。