間違った節税とは
多くの社長が、納税額を抑え資金の流出を防ぐために
「節税」を行っています。
しかし、その節税は本当に正しいでしょうか?
「資金」という観点が抜けた節税は間違った節税であるケースが多く、逆に企業を苦しめている可能性があります。
節税という言葉を妄信すると、自分の首を絞めかねないのです。例えば、節税目的で10,000千円使った場合を見てみましょう。
損益計算書 |
【 節税なし 】 |
【 節税あり 】 |
売上高 |
100,000千円 |
100,000千円 |
売上原価 |
40,000千円 |
40,000千円 |
売上総利益 |
60,000千円 |
60,000千円 |
人件費 |
10,000千円 |
10,000千円 |
その他経費 |
20,000千円 |
20,000千円 |
節税費用 |
— |
10,000千円 |
当期利益 |
30,000千円 |
20,000千円 |
納税額 |
9,000千円 (税率30%) |
6,000千円 (税率30%) |
【節税あり】の方が【節税なし】の場合に比べ、納税額を3,000千円削減することができています。
しかし「資金」という観点で見てみると……。
|
【 節税なし 】 |
【 節税あり 】 |
預金残高 |
80,000千円 |
80,000千円 |
節税費用 |
— |
10,000千円 |
納税金額 |
▲9,000千円 |
▲6,000千円 |
納税後預金残高 |
71,000千円 |
64,000千円 |
【節税なし】の方が【節税あり】の場合に比べ、翌期に資金を7,000千円も多く繰り越せるのです。
この7,000千円の差とその積み重ねが、新型コロナウイルス感染症のような予期せぬ事態に、大きな差となって表れてきます。
損益計算書(P/L)だけでなく貸借対照表(B/S)も見る必要がある
損益計算書(P/L)だけを見て、納税を避けるために費用を使うことは、資金面では逆効果なのです。
資金の流出を減らすために行った節税が、逆に資金を減らす要因になってしまっている……。このような企業が多くあります。
社長は貸借対照表(B/S)を見て、資金という観点から経営を行う必要があるのです。
さらに、節税は利益を圧縮するため内部留保も少なくなり、金融機関の評価が上がりにくくなります。
まさに「節税が会社をつぶす」のです。
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