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2023年10月1日からインボイス制度がスタートし、早くも半年が経過しようとしています。日々の取り引きの中でも、
「この対応は制度上問題ないか?」
「取引先から請求書を直してほしいと要望があった。」
「社内の経費精算のルールを変更しないと!」
など多岐にわたって、「インボイス」が付きまとっていることでしょう。
今回は改めてインボイスの導入経緯をおさらいしつつ、直近で改正・取り扱いが変わった点について紹介いたします。
諸外国でもインボイス制度が導入されていますが、多くの国が国家レベルでデジタル化を推進し、請求・支払・入金消込・会計処理が速やかに処理できる仕組みを実現しています。
日本でも積年の課題である「労働生産性の低下」を打開すべくデジタル庁を設置し、『インボイス制度』や『電子帳簿保存法』の施行と合わせ、デジタル化を推進しているわけですが、昨年10月の導入以降、目立った混乱もない代わりに、デジタル化にともなう業務効率化の恩恵も感じられないのが現状です。
日本は国家レベルで制度を推進しているとは言い難く、【デジタル化】【正確さ】といった制度本来のメリットよりも、まずは【確実な税収増】を目指しているのではないか――?そんな印象すら抱いてしまいます。
そのような現状に振り回されないためにも、さまざまな情報に気を配りながら制度の理解を深め、自社にあったシステム化や効率化を進めていく必要があると感じています。
その情報のひとつとして、国税庁が公表しているインボイス制度『お問合せの多いご質問』へ2024年2月29日に追加された内容をご紹介します。
入出金手数料や振込手数料について仕入税額控除の適用を受けるには、原則として適格簡易請求書及び一定の事項が記載された帳簿の保存が必要となります。
金融機関における入出金や振込みが多頻度にわたるなどの事情により、全ての入出金手数料及び振込手数料に係る適格簡易請求書の保存が困難なときは、金融機関ごとに発行を受けた通帳や入出金明細等と、その金融機関における任意の一取引に係る適格簡易請求書を併せて保存することで、仕入税額控除を行って差し支えありません。
また、基準期間における課税売上高が1億円以下であるなど一定規模以下の事業者については、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置(少額特例)も設けられていますので、上記のような対応は必要ありません。
詳細は国税庁『インボイス制度特設サイト ~通達・Q&A~』からご確認いただけます。
国税庁『インボイス制度特設サイト』
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
国税庁『インボイス制度特設サイト~通達・Q&A「お問合せの多いご質問」~』
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0521-1334-faq.pdf
国税庁『インボイス制度特設サイト~通達・Q&A「Q&Aの目次一覧」~』 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/qa_invoice_mokuji.htm
※少額特例の詳細は問 111に掲載されています。
インボイス制度に関しては、国も進めながら、微調整(改正)をしている感が否めません。公開しているQ&Aも問1~130まで設けられており、これからも増えていくことでしょう。改正事項に注意しながら、引き続き臨機応変な対応が必要です。
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この記事の著者
NBC税理士法人
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