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事業承継したい企業を探す方法|第三者承継とは?

2022.12.08

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団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年、後継者が未定のまま経営者が70歳を超える企業が多くなると見込まれています。後継者不在のまま経営者が倒れたり死亡してしまったりすると、最悪の場合大切に育ててきた会社が廃業になるおそれもあるでしょう。

廃業リスクを防ぐためにも、「そろそろ後継者を見つけて事業承継をしたい・現役を引退したい」と考える経営者も少なくありません。そして、このように考える企業を引き継ぎ、経営を存続させたいと考える方もいるでしょう。

そこで今回は、事業承継したい企業を探す方法について詳しく紹介します。事業承継をするにあたって知っておきたい「引き継がれるもの」「成功させるためのポイント」もあわせて解説するため、独立・創業・起業志望者の方はぜひ参考にしてください。

目次

1.【創業・起業志望者向け】事業承継で企業の経営者になれる

起業・創業を目指す方の中にとって、「小さな事業を始め、コツコツと大きく成長させる」という方法は最も一般的な起業方法です。しかし、ゼロから事業を始める方法だけでなく、すでに存在する事業を引き継ぐことによって自らが経営者となる方法もあります。

すでに存在する事業を引き継ぐことを、総称して「事業承継」と言います。事業承継は、会社の経営権から資産・負債にいたるまで、事業にかかわるすべてのものを引き継ぐ方法であり、具体的には下記3つの種類があります。

  • 親族内承継:親族の経営する会社を引き継ぐ方法
  • 従業員承継:勤務する会社を引き継ぐ方法
  • 第三者承継(M&A):売り手企業の株主を買い取って会社を引き継ぐ方法

1-1.第三者承継とは?

親族の会社や勤務する会社を引き継ぐわけではない場合に、一般的となる事業承継の方法が「第三者承継」です。第三者承継は、売り手企業の株式を買い取って経営権を移転・継承させる方法であり、M&Aとも呼ばれています。

第三者承継(M&A)によって事業承継をすることには、ゼロからの起業・創業に比べて下記のようなメリット・デメリットがあります。

メリット
  • 起業リスクを大幅に抑えられる
  • 事業用資産や経営ノウハウといった知的資産を作る必要がなくなる
デメリット
  • 前経営者の考え方に沿わなければならず経営の自由度が低まる
  • 関係者とともに今後の経営方針をすり合わせる必要がある
  • 個人保証債務の引継ぎが必要となる可能性がある

第三者承継の最大のメリットは、起業リスクの低さです。特に、安定した事業を引き継ぐ場合は経営リスクまでも抑えられ、知的資産の引き継ぎによって多くのことを学べる機会にもなるでしょう。

しかし、ゼロからの起業・創業と比較して経営の経営の自由度が低まるうえ、前経営者の考え方に従って柔軟に対応しなければならない点も留意しておく必要があります。

2.事業承継で引き継がれる3つのもの

事業承継は、簡単に言うと「企業を引き継ぎ、自身が社長・経営者になる」ということになります。しかし、具体的には「人(経営権)」「知的財産」「資産」の3つの要素を引き継ぐこととなります。これら3つの要素を引き継ぐことになるという旨は、中小企業庁が公表した事業承継ガイドライン・事業承継マニュアルに記載されています。

(1)人(経営権)の承継

事業承継によって、まず人(経営権)が承継されます。前経営者が成長・維持してきた事業を誰に委ねるかといった「後継者の選定」は、事業承継において極めて重要な問題と言えます。後継者は前経営者のみならず、従業員や取引先からも認めてもらえるよう、経営者としての素質を高めることが大切です。

(2)知的財産の承継

事業承継によって、知的財産も承継されます。知的財産とは、経営理念や経営ノウハウ、さらに人材、技術、取引先とのネットワークなどといった「目に見えない経営資源」の総称です。従業員や取引先との関係性は、目に見えない分引き継ぎも難しいため、前経営者がどのような取り組みを行ってきたかをしっかり理解する必要があります。

(3)資産の承継

事業承継によって、資産も承継されます。資産には、不動産や設備などの事業用資産や運転資金・借入資金のほか、債権・債務も含まれます。加えて、資産の状況や事業承継のタイミングによっては、後継者側に多額の税金が発生する可能性があることも覚えておきましょう。

出所:中小企業庁「事業承継ガイドライン」
出所:中小企業庁「経営者のための事業承継マニュアル」

3.「事業承継したい」企業・経営者を探せる「後継者人材バンク」

第三者承継により事業を引き継ぐ場合、自分に事業を引き継がせてくれる経営者(企業)を探す必要があります。第三者承継によって事業を引き継ぐためには、中小企業基盤整備機構が設立した「事業承継・引継ぎ支援センター」を活用することがおすすめです。

事業承継・引継ぎ支援センターとは、後継者が不在または未定の小規模事業者・中小企業と、創業や事業の引き継ぎを希望する事業者とのマッチングを支援する機関です。全国の都道府県に設置されており、事業承継に関する相談や事業承継計画の策定支援も行っています。

また、後継者が不在または未定の小規模事業者・中小企業と、創業や事業の引き継ぎを希望する事業者とのマッチング事業は、「後継者人材バンク」として提供されています。後継者人材バンクに相談・登録すれば、同じく後継者人材バンクに相談・登録した事業承継を検討している企業・経営者を探すことが可能です。

出所:事業承継・引継ぎ支援センター「事業承継・引継ぎポータルサイト」
出所:事業承継・引継ぎ支援センター「後継者人材バンク」

3-1.後継者人材バンクの利用方法

事業を承継したいと考えている創業・起業志望者における後継者人材バンクの利用方法は、下記の手順通りとなっています。

STEP(1)

【創業支援機関へ相談】

創業・起業志望者が後継者人材バンクに登録するためには、事業承継・引継ぎ支援センターに直接申し込みするのではなく、事業承継・引継ぎ支援センターと連携している各創業支援機関(商工会議所など)に相談しなければなりません。

連携創業支援機関が実施する創業セミナーに受講したうえで、後継者人材バンクへの登録申し込み手続きを行います。
STEP(2)

【専門相談員との面談・後継者人材バンクへの登録】

連携創業支援機関を通して後継者人材バンクへ登録申し込みを行ったあとは、事業承継・引継ぎ支援センターの専門相談員と面談を行います。面談では、起業意欲や希望条件に関してヒアリングされることが基本です。履歴書や職務経歴書といった書類も必要となります。

面談後、後継者人材バンクの登録者として認められたら、後継者人材バンクへの登録が完了します。登録に際して、費用が発生することはありません。
STEP(3)

【相手企業とのマッチング・条件交渉】

双方の条件が合致する相手企業が見つかったら、いよいよマッチング段階に入ります。打診段階ではノンネームシートでのやり取りとなりますが、両者が面会を希望した場合は、秘密保持契約を締結したうえで対面での具体的な交渉・話し合いが行われます。
STEP(4)

【成約】

条件交渉が進み、双方が事業承継に合意した場合は成約となり、手続きに移行します。各種手続きには複雑なものもありますが、適宜事業承継・引継ぎ支援センターによるサポートも受けられるため安心です。

4.第三者承継を成功させるためのポイント

第三者承継を成功させるため、そして事業を円滑・円満に引き継ぐためには、下記3つのポイントをおさえておきましょう。

●相手企業との相性もチェックしておく

第三者承継を含む事業承継では、双方がいかによい関係性を築き上げられるかが重要です。特に後継者は、前経営者の考え方に沿って経営を進めなければならないこともあるため、条件交渉時の話し合いだけでなく、経営者としての指導や教育を受ける時間を設けるのもよいでしょう。

期間をかけてでも相性をチェックしたり、よい関係性を築き上げたりすることで、よりよい条件で事業承継ができるようになります。

●お金に関する支援制度を活用する

買い手側となる後継者は、事業承継において多額の資金が必要となります。資金面が問題でなかなか話が進まないというケースを防ぐためにも、政府による「事業承継税制」や「事業承継・引継ぎ補助金」といったさまざまな優遇制度・特例措置を活用しましょう。

支援措置を有効活用すれば、事業承継にかかる相続税・贈与税といった税金を抑えられるだけでなく、補助金を得られる可能性もあります。

●信頼できる専門家を見つけておく

事業承継を進めるにあたっては、あらゆる面で課題が生じます。加えて、売り手側である企業と、買い手側である創業・起業希望者は、いずれも第三者承継を経験したことのない場合がほとんどです。生じた問題や課題に対してスムーズに対応できなければ、事業承継が決定するまでにさらに期間がかかってしまうでしょう。

そのため、あらかじめファイナンシャルアドバイザーや弁護士・税理士などの信頼できる相談先を見つけておくことが大切です。事業承継に関する専門知識を有した専門家であれば、よりスムーズに問題解決へと進められるでしょう。

まとめ

事業承継は、すでに存在する事業を引き継ぐというやり方です。ゼロから事業を始めるのではなく、既存企業・事業の経営権を引き継ぐことによって自らが経営者となれます。

親族の会社や勤務する会社を引き継ぐわけではない場合に一般的となる事業承継の方法が「第三者承継」であり、起業リスクを軽減させられる・知的資産を作る必要性がなくなるといったメリットがあります。

第三者承継によって事業を引き継ぐためには、中小企業基盤整備機構が設立した事業承継・引継ぎ支援センターの「後継者人材バンク」を活用することがおすすめです。創業・起業志望者の方は、ここまでの内容を参考にぜひ条件に適した企業を探してみてください。

(令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成)

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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