企業の継続的な成長の実現には、経営に携わる経営幹部の存在が不可欠です。未来に向けて優秀な経営人材を獲得するためにも、経営幹部研修の実施を検討しましょう。
経営幹部研修は、幹部社員の意識向上や次世代のリーダー育成を考えている経営者の方におすすめです。経営幹部研修の必要性を感じていて、研修の具体的な内容や効果を知りたい方も多いのではないでしょうか。
当記事では経営幹部研修とは何かから、経営幹部研修の主なテーマ例やスケジュール例・費用相場まで徹底解説します。
〔エッセンシャル版〕
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目次
1.経営幹部研修とは?
経営幹部研修とは、企業の経営幹部に経営層としての自覚や知識を持たせ、経営戦略などを学ばせる研修です。研修の対象者は、経営者自身や現役の経営幹部、次世代の経営幹部として養成中の幹部候補社員が挙げられます。
そもそも経営幹部とは、企業の各部門・分野におけるトップ層として重要な意思決定や執行をする幹部社員のことです。現代の企業は経営者1人が舵取りを行うワンマン経営では成長に限界があり、継続的な成長を図るためには経営幹部の育成が欠かせません。
経営幹部の育成では、1人ひとりの能力を伸ばすことはもちろん、幹部間での経営に対する意識をある程度統一することが重要です。
企業の経営幹部・幹部候補が一堂に会して企業経営についての研修を受けるため、経営幹部研修を実施すると参加者内で経営観の統一を図りやすくなります。若手の幹部候補が経営層と意見を交わす教育の機会を作れる点も、経営幹部研修が重要である理由です。
2.経営幹部研修の主なテーマ例
経営幹部・幹部候補が幹部研修に参加することで、主に下記のメリットが期待できます。
- 経営幹部としての意識向上
- 企業経営に必要な経営知識やスキルの習得
- 全社的な視点での思考法の習得
- 企業を支える一体感の醸成
- 若手リーダーの育成
また、経営幹部研修にはいくつかのテーマがあり、研修のテーマごとに学べる内容が異なります。経営幹部研修の実施を検討する場合は、自社の経営幹部・幹部候補に学んでほしい内容に合わせて研修のテーマを設定しましょう。
ここでは、経営幹部研修の主なテーマ例5つと、それぞれで学べる内容を解説します。
2-1.経営戦略
経営戦略をテーマにした研修で学ぶ内容は、企業を経営する上で取るべき戦略の種類と策定方法です。実際の戦略を策定することを目的としており、下記のようなカリキュラムを学びます。
- 経営戦略を策定する意義
- 企業の形態に合わせた経営戦略の策定方法
- リスクマネジメントの考え方
- 経営戦略の分析と評価
- 経営戦略に役立つフレームワーク
日本経済全体の状況把握や、大企業や競合他社の経営戦略分析を取り入れるケースもあります。さまざまな経営戦略について学習することで、1つの経営戦略に固執せず柔軟な選択・行動ができるようになる点がメリットです。
経営戦略は企業全体の経営だけではなく、各部門の経営にも役立つため、ぜひとも取り入れたい研修テーマと言えます。
2-2.法務・企業統治
法務・企業統治は、企業に関わる法律や企業統治の仕組みを学ぶテーマです。法務・企業統治の研修では、経営者や経営幹部が法律や企業統治を実際の経営に活用できることを目的としており、下記のような内容を学びます。
- 会社法や関係省令について基礎知識の習得
- 役員の権限や取締役会・株主総会の役割
- 企業に求められる社会的責任
- コーポレートガバナンスを構築・強化する方法
- コンプライアンスの重要性
近年は企業の起こした不祥事や事件が社会問題化するケースが多く、経営幹部が法律上の義務や社会的責任を理解することは急務と言えます。
法務・企業統治について企業事例や仮定を交えて学び、経営者と経営幹部が透明性のある企業経営に向けて意識を統一できる研修テーマです。
2-3.財務・会計
財務・会計は、企業価値の分析方法や資金に代表される経営資源の管理・運用方法を学ぶテーマです。財務・会計の研修では、企業価値を理解した上で財務戦略を策定できることを目的としており、下記のような内容を学びます。
- B/S、P/L、C/Fの数値や指標についての学習
- 財務健全性の考え方
- 企業価値の分析方法
- 企業価値向上につながる財務戦略の策定
- 事業投資の判断基準と投資方法
企業が新たな経営戦略を実施するためには、出資者である債権者や投資家の理解を得ることが欠かせません。財務・会計の研修に参加すると、債権者視点・投資家視点での企業価値の評価が分かるようになり、解決すべき課題を認識しやすくなります。
事業投資を行うときのタイミングや投資金額、撤退の判断を学べる点も、財務・会計をテーマとした研修のメリットです。
2-4.組織・人材戦略
組織・人材戦略は、変化する環境に合わせた組織経営や人材確保・開発について学ぶテーマです。組織・人材戦略の研修では、経営幹部が組織の在り方と人材の重要性に目を向け、人材を活用できるようになることを目的としており、下記のような内容を学びます。
- 現代社会において企業が目指すべき組織の在り方
- 組織活性化のメソッド
- 採用戦略や人材登用における評価基準
- ダイバーシティや女性活躍推進への取り組み方
- キャリア開発、能力開発の方法
企業が継続的な成長を続ける上で重要な「人事」を総合的に学べる点が、組織・人材戦略の研修を実施するメリットです。近年取り組みが進んでいる働き方改革のように、人事制度は激しい変革の中にあります。経営幹部は人事について最新の考え方を取り入れることが大切です。
2-5.リーダーシップ
リーダーシップは、企業や組織のリーダーに求められる指導力や統率力について学ぶテーマです。リーダーシップの研修では、経営幹部が部下に信頼されながら組織の意思決定ができることを目的としており、下記のような内容を学びます。
- 経営層に求められる指導力の在り方
- 意思決定の質が成果に与える影響
- リーダーシップの具体的なパターン
- リーダーとフォロワーとのコミュニケーションの重要性
- 企業経営におけるリーダーシップ活用の手法
リーダーシップにはいくつかの種類があり、場合によっては企業経営にそぐわないリーダーシップを発揮している可能性があります。経営幹部に自社の企業風土に合ったリーダーシップを認識・習得させるためにも、リーダーシップの研修実施を検討しましょう。
3.経営幹部研修のスケジュール例・費用相場
経営幹部研修は紹介した5つのテーマ以外にもさまざまな内容があり、スケジュールにも違いがあります。経営幹部研修のスケジュール例2つを見てみましょう。
・7時間(経営幹部の意識醸成と経営戦略の策定)
スケジュールが数時間で終了する研修は1つや2つのテーマに絞った内容で行われます。細かく区切られた研修プログラムに沿って研修が進められ、最後に質疑応答や意見交換が行われる流れです。
・半年(経営のビジョン確立から企業風土の醸成まで)
半年や1年以上に及ぶスケジュールの研修では、企業経営に関わる多くのテーマについて研修プログラムが組まれる点が特徴です。企業の経営課題をヒアリングした上で、必要なテーマを組み合わせた研修を実施できるケースもあります。
経営幹部研修の費用相場についても、研修ごとに違いがあります。録画された動画を視聴する無料の研修から、1人あたり数万円や企業全体で100万円規模のもの、研修内容・受講者数によって要見積もりのものまでさまざまです。企業ごとに研修プログラムを変えられるケースでは、費用相場が高くなりやすい傾向があります。
まとめ
経営幹部研修とは、企業の経営幹部に必要な知識や考え方を学べる研修のことです。経営幹部研修を実施すると経営幹部の意識統一ができる上、企業の継続的な成長にもつながります。
経営幹部研修の主なテーマは「経営戦略」「法務・企業統治」「財務・会計」「組織・人材戦略」「リーダーシップ」の5つです。テーマの違いによって学べる内容や期待できる効果が異なり、スケジュールや費用相場の違いにも影響します。
経営者の方は、研修のテーマとスケジュール・費用相場を調べた上で、自社に合った経営幹部研修を選択しましょう。
「リーダーの力量以上に組織は伸びない。」
このような言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
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必要なリーダーシップ(あり方・実践力)についてまとめたものです。
(令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成)
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