2019年に施行された働き方改革関連法。
残業時間の上限規制や有給休暇の取得義務化など、対応すべきことを上げればキリがありませんが、特に中小企業経営者の方はこの対応に追われていることと思います。
働き方改革は、経営者・管理者が今までの考え方・価値観を主体的に変えていかなければ実現できません。
しかし、現状では対応完了までに時間がかかりそうです。
目次
生産性の向上
特に、生産性の向上については、どの企業も取り組まれていると思います。
そもそも生産性の向上とは
「組織が保有するリソースを最大限に有効活用し、最小限の投資で最大限の成果を生み出すこと」です。
つまり
「1人あたりの稼ぎをいかに増やすのか」
「1時間あたりの稼ぎをいかに増やすのか」の2点に尽きます。
その実現に向けて業務効率化・人財育成に取り組んだり、給与制度・評価制度を見直すことが重要です。
そして、重要になる指標を定量化、KPIとして設定し、進捗管理をしていくこと・仕組みにすることも重要です。
働き方改革が目指すもの
さて、そもそも働き方改革が推進されるようになったのはなぜでしょうか?
その背景や目指すものについて、厚生労働省HPにはこのように記載されています。
我が国は、
「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」
「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの
状況に直面しています。こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、
就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが
重要な課題になっています。「働き方改革」は、この課題の解決のため、
働く方の置かれた個々の事情に応じ、
多様な働き方を選択できる社会を実現し、
働く方一人ひとりがより良い将来の展望を
持てるようにすることを目指しています。
出所:『「働き方改革」の目指すもの』厚生労働省HPより
また、政府が掲げる働き方改革9つの分野を見てみましょう。
- 非正規雇用の処遇改善
- 賃金引上げと労働生産性向上
- 長時間労働の是正
- 柔軟な働き方がしやすい環境整備
- 病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進
- 外国人材の受け入れ
- 女性・若者が活躍しやすい環境整備
- 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実
- 高齢者の就業促進
働き方改革は、労働力人口が減少傾向にある中で、多様な人々の多様な働き方を可能とするために進められているといえます。
最後に、働き方改革関連法の具体的な内容と施行スケジュールを見てみましょう。
働き方改革関連法の具体的な内容と施行スケジュール
残業時間の上限規制
施行スケジュール
大企業:2019年4月1日~
中小企業:2020年4月1日~
施行内容と罰則
原則月45時間、1年360時間を超える時間外労働をさせてはいけない。
違反すると罰則のおそれあり:6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
年次有給休暇の時季指定義務
施行スケジュール
大企業・中小企業:2019年4月1日~
施行内容と罰則
年10日以上の有給休暇が与えられる労働者には最低年5日の有給休暇を取得させる義務がある。
違反すると罰則のおそれあり:6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
同一労働・同一賃金
施行スケジュール
大企業:2020年4月1日~
中小企業:2021年4月1日~
施行内容と罰則
職務内容が同じなら、正社員と非正規社員といった立場だけで賃金や処遇の差をつけてはならない。
罰則はないが、損害賠償請求のおそれあり
残業時間月60時間超の割増率の引き上げ
施行スケジュール
大企業:実施済み
中小企業:2023年4月1日~
施行内容と罰則
すでに大企業では実施されている。
「月60時間超の割増率の引き上げ」が中小企業にも適用される
その他の制度
施行スケジュール
大企業・中小企業:2019年4月1日~
施行内容
- 高度プロフェッショナル制度
- フレックスタイム制度の拡大
- 健康面からの労働時間の把握
- 産業医の権限強化など
今まさに、一億総活躍社会の実現に向けての過渡期です。
より多くの方が多様な働き方を選択できる社会になるよう、すべての企業が中長期的な視点を持ち、改革を進められることを願っています。
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
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