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今年10月に改定された最低賃金、頭が痛い問題になっていませんか?今後も最低賃金引き上げの流れは続きます。
そこで今回は、最低賃金の引き上げが中小企業へ与える影響をまとめてみました。
政府が掲げる最低賃金の引き上げ目標とは
政府は2017年3月の働き方改革実現会議で決定した『働き方改革実行計画』において、最低賃金の引き上げ目標を「年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく。これにより、全国加重平均が1,000円になることを目指す。」としています。
2022年も例に漏れず最低賃金は引き上げられ、地域によって改定日は異なりますが10月上旬に順次改定されました。
直近の傾向を見てみると、新型コロナウイルス感染症が広まり日本中が混乱した2020年を除き、2016年以降は毎年20円超、最低賃金が引き上げられています。
自身の地域の最低賃金とその推移をあらためて確認してみると、何か発見があるかもしれません。
▼参考
厚生労働省『地域別最低賃金の全国一覧(過去5年分)』
https://pc.saiteichingin.info/table/page_list_past.html
2022年の最低賃金の状況
さて、気になる現在の状況ですが、全国加重平均の最低賃金額は「961円」となっています。金額は前年の930円から「31円」上昇し、上昇率は「3.33%」になりました。
ともに過去最高の引き上げ額・率であり、中小企業の経営者にとって、かなりの負担になっているのではないでしょうか。
経営者を悩ませる130万円の壁
企業経営の現場において、実際にどのような影響があるのか考えてみましょう。
まず、最低賃金の引き上げで最も影響が出るのは、パートタイマー(短時間労働者)の方々の勤務時間です。
なぜなら、配偶者の扶養内で働いている方の場合、社会保険加入の対象外である年収130万円の壁を気にする必要があり、年収が130万円以下に納まるように計算しながら働いているからです。
最低賃金の引き上げ前から年収130万円の壁ギリギリまで働いていた方は、最低賃金が上昇すると、おのずと働ける時間が短くなります。
最低賃金31円アップが与える影響
具体的には、最低賃金が「31円」引き上げられたことで、パートタイマー1名あたり年間約7.6日の労働力が減少します。
計算してみると以下のようになります。
▼給与の目安
年収130万円÷12ヶ月=108,333円/月
※社会保険加入の対象外(年収130万円以下)で働く場合
▼2022年10月以前のひと月当たり勤務時間
108,333円/月÷時給930円=約116.5時間……【1】
▼2022年10月以降のひと月当たり勤務時間
108,333円/月÷時給961円=約112.7時間……【2】
▼ひと月当たり勤務時間の減少
【1】-【2】=約3.8時間
▼最低賃金引き上げによる勤務時間・日数(年間)への影響
約3.8時間×12ヶ月=約45.6時間
※1日6時間勤務と想定した場合
約45.6時間÷6時間=約7.6日
パートタイマー3名で約1ヶ月分の労働力が失われる
上記の計算に沿うと、パートタイマー1名につき、年間約7.6日分の労働力が失われます。もし、3名のパートタイマーを雇用していれば、企業全体で約7.6日×3名=22.8日となり、1ヶ月の平日日数に相当する労働力が失われたことになります。
さて、経営者の皆様――、この失われた1ヶ月分の労働力に相当する業務改善や効率化は進められましたか?
きっと、ほとんどの会社が大きく変わらない状況……ではないでしょうか?
最低賃金31円引き上げと聞くと「苦しいけど、仕方がないな……。」と見過ごしてしまいがちですが、1ヶ月分の労働力が失われるとなると危機感も増してくるはずです。
今後も最低賃金引き上げの流れは続きます。だからこそ、大胆な改革に取り組んでいくことが必要です。
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▼「最低賃金31円アップが中小企業へ与える影響」
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