岸田首相が提唱した「新しい資本主義」や最低賃金引き上げによって、中小企業が生き残るためには、縮小の時代でも賃上げを実現できる経営状況を作らなければいけません。
既に実現できている中小企業があり、今回はそれらの中小企業にはどのような共通点があるのか解説します。
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目次
新しい資本主義の現実
岸田首相が提唱する「新しい資本主義」は、企業に賃金の引き上げを求めるものであり、
賃上げを行った企業の法人税を減税する制度の控除率引き上げや、適用要件の見直しなどが検討されています。
しかしながら、そもそも企業の60%以上は法人税を納税していない欠損法人であり、法人税減税を提示したところで、社員の賃上げには全く役立ちません。
つまり、納税している黒字企業で働く社員の給与はますます上がり、納税していない赤字企業で働く社員の給与は上昇など望めない状態となるでしょう。
企業の格差問題、さらには労働者の給与格差問題を広げる政策になりかねない現実があります。
縮小時代でも賃上げできる経営を考える必要がある
その他の賃金上昇策として、最低賃金の引き上げがあります。
2021年10月から最低賃金が全国一斉に引き上げられ、東京都では時給が1,013円から1,041円に改定、全国平均では902円から930円に改定されました。
コロナ禍で雇用を守るのが精一杯の状況下、この最低賃金の引き上げが業績の厳しい企業の経営をさらにひっ迫させる要因となっています。
これらの問題を鑑みると、縮小の時代において賃上げできる経営状況を作り出さなければ、そもそも企業が存続できないといえるでしょう。アフターコロナの時代には、コロナ融資の返済が始まると同時に企業の倒産・廃業が増えることが予測されています。
表向きには「借入返済できないほどの業績低迷」が破綻要因とみられるでしょう。しかし実態は、給与を上げられない中小企業が、社員に離職され人材を採用することもできず「労務倒産」に陥ることが真因です。
高収益・高賃金経営を実現している中小企業の共通点
一方で、給与を上げられる企業は、ますます人を集め成長していきます。給与を上げられるか否かは、企業規模とは関係しません。
中小企業の上位12%は大企業の上位12%よりも経常利益率が高いという統計があります。
※中小企業庁『中小企業白書2012年版』より
つまり、大企業だから給与が高いという通説は、この上位12%の中小企業には当てはまらないことになります。
「高収益・高賃金経営」を実現できる土壌が中小企業でも上位12%には存在するのです。では、上位12%の中小企業はどのような経営をしているのでしょうか。
そこには3つの共通点があります。
経営内容の公開(業績の見える化)
売上・原価・利益を月次決算で公開。社長・社員問わず、労働分配率という指標を通して、人件費にいくら配分できるのかを共有する仕組みを構築。仕組みを理解・活用する教育がなされている。
小集団経営の組織構築(責任と権限の見える化)
小集団を社内に複数構築。小さな経営者として小集団のリーダーに利益目標を達成する責任と、給与を配分する権限を与えることで、知恵の創出を図り、利益率向上の経営を行わせている。
人事評価制度が明確(賃金制度の見える化)
上記の仕組みと教育、組織構築を基盤に「給与原資である利益をどう増やすか?」を皆で知恵を出して考える労働分配率経営を実践させている。
まとめ
変化に適応できない企業は、素晴らしいビジネスモデルがあったとしても、優秀な社員が辞め、給与が低く人も集まらず、営業も製造もまわらず存続できなくなります。
「企業」として生き残るには、文字通り「人が止まる業」となれるかどうかで決まるのです。
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NBCコンサルタンツ株式会社
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