2022年4月から民法が改正となりました。その中の一つにアルコール検知でのチェックが白ナンバーの車「白ナンバー」の車を一定の台数(※)以上使う事業者もチェック対象になりました。
今回はある企業の事例をもとに目的と手段を伝えることの大切さについてご紹介します。
目次
1.2022年4月、民法改正
少し前の話ですが、4月より民法の改正がありました。いくつかご紹介しますと、
- 民法上の成年年齢が20歳から18歳に引き下げ
【18歳からできる行為】
携帯電話購入/クレジットカード作成等の契約を個人で締結できる
10年有効パスポートが取得可能/
公認会計士・司法書士・医師・薬剤師等の国家資格取得可能 - 育児・介護休業法の改正
- 個人情報保護法の改正
- 改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の中小企業適用
などです。
今回は、その他に大きな改正として話題になった以下を事例にお伝えします。
運送業や運搬業など運ぶことを業務としている「緑ナンバー」で義務化されていたアルコール検知器でのチェックについて、
あらたに自社製品の配送など「白ナンバー」の車を一定の台数(※)以上使う事業者もチェック対象へ。
※乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上、または白ナンバー車5台以上。
なお、民法上の成年年齢が20歳から18歳に引き下げについては以下の記事で解説していますので、是非ご参照ください。
2.民法改正後、こんな企業に出会いました
4月も中旬を過ぎた頃、とある企業(建設業)にて、社員と面談をした際に出てきた話です。
「うちのような会社で毎日アルコールチェックなんてする必要あるんですか?」
「アルコール検知器は買ったけどまだ使ってないんですよね。」
この4月から義務付けられているのは以下です。
- 運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること
- 酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること
さらに今年10月より以下も義務化となります。
- 運転者の酒気帯びの有無の確認を、アルコール検知器を用いて行うこと
- アルコール検知器を常時有効に保持すること
先程の面談では、
「アルコールチェックは法律上の義務なんですよ。」
「検知器があればヨシじゃないです、ちゃんと確認し記録してください。」
と改めてお話し、理解していただきました。
恐らく社内では通知されていたと思われますが、それがしっかり理解されていなかった、ということなのでしょう。
ちなみに、このチェックや記録保存を怠っていることが発覚した場合、義務違反に対しては『2万円以下の罰金又は科料』となります。
しかし、私はそんな『罰則があるから』と今回改正を周知するのではなく、改正をきっかけにより自発的、前向きな行動につなげていくためにも、[目的]と[手段]をはっきり伝えることをお勧めしています。
3.目的と手段を伝えることが大事
今回の義務化には大前提として『交通事故を防ぐ』『酒気帯び運転をなくす』という目的があるわけですが、社内にしっかりと伝えるべきことは[目的]と[手段]です。
[目的]道路交通法遵守(酒気帯び有無を確認・記録し1年間保存する)
[手段](例):朝礼時、安全運転管理者が対象者全員をチェックし、記録簿をつける
何らかの周知徹底の場において、この[目的]と[手段]をしっかりと伝え理解させられないと、先述のように、間違った考え・行動を引き起こしかねません。
目的を達成できるのであれば、手段については特にこだわる必要はないでしょう。
そしてその目的に適うもっと効率良く簡単にできる手段、社員にとってよりわかりやすい手段などが提案されるようになれば、社員の自主性が高まってきた良い兆しです。
今一度、社員に対する指示について、[目的]と[手段]を明確に伝えられているかどうか、見直してみてはいかがでしょうか?
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NBCコンサルタンツ株式会社
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