中堅・中小企業の社長のための
経営支援・課題解決メディア

「18歳から大人」成年年齢引下げでどう変わる?

2022.02.10

Share

2022年4月1日より成年年齢の引下げが施行なります。これまでの20歳から18歳に引き下げられることで、どのように変わるのか・変わらないのか、税務に与える影響について解説します。

目次

成年年齢引下げの概要

令和4年4月1日から施行開始

今から約3年半前の平成30年6月13日、20歳と定められてきた成年年齢を18歳に引き下げることなどを内容とする民法の一部を改正する法律が成立しました。

明治9年の太政官布告で制定されて以来、約140年ぶりの改正となります。

また、女性の婚姻開始年齢は16歳(男性18歳)と定められていましたが、今回の改正で女性の婚姻年齢を18歳に引き上げ、男女の婚姻開始年齢を統一することとなりました。これらの法改正が、いよいよこの春より施行されます。

何が変わる?

成人になるということを端的に言えば
「親権に服することがなくなり、単独の自然人として社会的に認知される」
ということです。

成年年齢が18歳に引き下げられることで「義務と権利」にどのような変化が生じるでしょうか?

【18歳になったらできるようになること】

親の同意がなくても契約できる

例:携帯電話の契約、ローンを組む・クレジットカードをつくる、一人暮らしの部屋を借りる、雇用契約を結ぶなど。
※世にあふれる経済商材も玉石混交ですので、引き続き保護者は注意を払っていく必要があります。

10年有効のパスポートを取得できる

未成年は5年有効パスポートしか取得できませんが、10年有効パスポートが選択可能に。

国家資格が取得できる

公認会計士や司法書士、医師免許、薬剤師免許などの国家資格が取得できます。

【変わらない(20歳にならないとできない)こと】

  • 飲酒および喫煙をする。
  • 競馬、競輪、オートレース、競艇の投票券などを買う。
  • 養子を迎える。
  • 「成人するまで」という私人間の契約。(改正前の契約)

成年年齢引き下げが税務に与える影響は?

主に相続税および贈与税に係るものの年齢条件に変更が生じますので留意が必要です。

    • 相続税の計算における未成年者控除の年齢引き下げ
    • 遺産分割協議への参加が可能に

※遺言は15歳以上であれば行うことが可能。(民法961条)

  • 相続時精算課税制度の対象年齢引き下げ
  • 事業承継税制の対象年齢引き下げ
  • 贈与税の特例税率対象年齢引き下げ
  • 結婚・子育て資金一括贈与の対象年齢引き下げ
  • 住民税非課税対象者の年齢引き下げ

税務上の対象年齢も引下げられることとなりますので、 制度を活用している方・活用する予定の方は あらためて内容をご確認いただくことをお勧めいたします。

おわりに

江戸時代までは15歳で元服し 成人として扱われてきたことを考えると、18歳への引き下げは極端な話ではありません。 改正趣旨である“若年層の活力を社会に活かす”ことや、 世界的な潮流(多くの諸外国は18歳が成年年齢)に合わせるという 意味でも理に適っています。

法改正にともない、大学生=成人となるため、 我々の世代とは気構えも変わってくるかもしれません。 実際、学生起業する方も増えており、 契約行為を単独で行える状況は求められていたものとも言えます。

 

最後に「成人式」について――。 改正後は18歳、19歳、20歳の成人が 同時に誕生することになります。

成人式をどのように行うかなどは 自治体ごとで未定という先も多いようです。 社会が新成人を迎え入れるということは、 大切な行事・ひとつのイベントであり、 できる限り混乱が生じないようにと願うばかりです。

Share

法律改正関連記事

  • 詳細を見る
    電子帳簿保存法

    実はシンプル!電子帳簿保存法とは?

  • 詳細を見る
    税法改正

    『令和6年度 税制改正大綱』から紐解く実務のポイント

  • 詳細を見る
    【保存版】請求漏れの時効は5年!時効の更新方法やうっかり忘れてしまった際の対応・再発防止策を解説

    【保存版】請求漏れの時効は5年!時効の更新方法やうっかり忘れてしまった際の対応・再発防止策を解説

  • 詳細を見る
    『令和5年度税制改正大綱』から読み解く資産税改正

    『令和5年度 税制改正大綱』から読み解く資産税改正

  • 詳細を見る
    周知徹底の要~目的と手段~

    周知徹底の要~目的と手段~

  • 詳細を見る
    遺言書の『付言事項』のススメ

    遺言書の『付言事項』のススメ

  • 詳細を見る
    FIREとは?70歳定年時代の働き方を考える

    FIREとは?70歳定年時代の働き方を考える

  • 詳細を見る
    成人年齢引き下げ

    「18歳から大人」成年年齢引下げでどう変わる?

  • 詳細を見る
    遺留分に関する民法の特例

    遺留分に関する民法の特例

  • 詳細を見る
    債権法の改正について

    債権法の改正について

この記事の著者

NBC税理士法人

「縁のあったお客様は絶対に倒産させない。」という志のもと、税務面、経営の全般的なサポート業務を行っています。顧客訪問数1200社以上のノウハウをもとに、会計監査などの税務相談や、事業承継、新規開業、相続などさまざまなノウハウを配信しています。