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遺言書の『付言事項』のススメ

2022.04.28

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この記事の著者

NBC税理士法人

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最近、公正証書遺言の作成に立ち会わせていただく機会が増えてまいりました。

今回は、遺言書の『付言事項』(ふげんじこう)についてお伝えいたします。

INDEX

遺言書の『付言事項』とは

以前は、遺言書に記載いただく内容は「どのような財産を・誰に・どれだけ渡す(残す)か」だけでした。

もちろん、ある程度財産の価値を考慮した上で
「どのような財産を・誰に・どれだけ渡す(残す)」のかを
公正証書遺言書に記載することは、相続の争いを避ける上でも非常に有効です。

しかし、最近では「どのような財産を・誰に・どれだけ」ではなく、
『付言事項』というものを記載していただくことが増えました。

公正証書遺言書そのものは、法的に効果があるものなので、決まったことしか書くことができません。

一方『付言事項』には、法的な効力はありませんが好きなことを自由に書くことができますし、絶対に記載しなければいけないものでもありません。

遺言作成者が、どれだけ遺族のことを思いどのような財産を誰にどれだけ残すかを考えたとしても、遺言書には「結果」しか記載されません。

つまり、遺言作成者のそれまでの気持ちは、遺言書には一切記載されません。それではせっかくの遺言書の内容も遺族に完璧には伝わりません。

そこで重要になってくるのが『付言事項』なのです。遺言書作成者が、なぜこのように財産を残そうと思ったのか、その考えや気持ちを残すことができるのです。

『付言事項』の記載事項とメリット

『付言事項』の内容として多いものは、

  • 遺族への想い、感謝の言葉など
  • このように財産を分けることにした理由
  • 遺留分について(※遺留分とは、相続人が最低限取得することができる遺産のこと)

特に、遺産の中に会社の株式や会社で使用している不動産などの事業用資産がある場合、事業承継観点から、これらの資産は後継者に残されることが多いものですが、そういった説明が『付言事項』に書かれていれば、後継者以外の遺族がご納得されやすくなります。

さらに、もし事業用資産を後継者に残すために財産の残し方に偏りがでる場合、
法的な効力は一切なくても、財産の分け方の理由および遺留分の請求をしないでほしいということを併せて記載することで、仮に遺留分の侵害があった際、(最低限の遺産を取得できなかった方がいたとしても)遺留分の請求を防ぐことができる可能性もあります。

このように『付言事項』というものは法的な効力はないものの、遺言書の効力をさらに高めることが可能です。

何よりも遺言書作成者の気持ちを盛り込むことができるということ自体が素晴らしいことだと、いつも作成に立ち会いながら感じます。

私も今では
「どのような財産を・誰に・どれだけ渡す(残す)」ということよりも、この『付言事項』の方が大切なのではと感じるようになりました。

私の祖母は、公正証書遺言書ではなく自筆で何の法的効力もない遺言書を作成していました。(自筆の遺言書の全てについて、法的効力がない訳ではありません。)

そこにはどのような財産を誰にどうするのかより、年金暮らしの祖母がどうやってお金を貯めてきたのかということと「兄弟はみんな仲良く」と書かれていました。

この自筆の遺言書は孫の私にもありました。私は孫ですから本来相続権はありませんが、
その自筆の遺言書には「孫にも」と記載があり、少し財産をいただきました。

祖母の自筆の遺言書を読んだ後、私はあまりにももったいなくてこのお金を使うことができず、そのまま貯金しました。金額は大きいものではありませんでしたが、祖母の大きな気持ちが込められていたからです。

まとめ

皆様もぜひ、ご家族のために『付言事項』をしっかりと記載した遺言書を作成してみませんか?

作られた方は皆さん安心されます。皆様の心の平穏のためにもぜひご検討ください。

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