9月から10月にかけて、「トラブルゼロの事業承継4つの流儀セミナー」の講師をさせて頂いております。今回は、このセミナーを通して感じたことをお伝えします。
目次
なぜ事業承継がうまくいかないのか
創業者、後継者、役員など、セミナー参加者の【立場】はそれぞれですが、セミナー参加の【目的】は共通しています。それは・・・
『事業承継を成功させたい!』
『失敗したくない!』というもの。
ところが、同じ目的に向かっているはずなのに、上手くいってない会社が実に多い―。それはなぜでしょうか。事業承継には『“継ぐ側”と“継がせる側”という二つの主観』が存在します。それゆえ、難しさが生まれるのです。
その主観を近づけ、事業承継を成功させるキーワードが、計数です。
『計数という共通言語・共通のモノサシを持つこと』が、失敗しない事業承継の前提条件となります。
数年前にWBS(ワールドビジネスサテライト)というニュース番組で、弊社のご支援先様と担当コンサルタントへの取材を頂きました。テーマは同族企業の事業承継でした。
その映像の中で、ご支援先様の社長がコンサルティングを受けることの価値について、こうおっしゃいました。「二人で話していると、親子の会話になってしまうんですよね」 この言葉が現実をもっともわかりやすく表しています。
同族企業だからこそ、ケジメがつけづらい・・・。だから、そうならないように【仕組みづくり】が必要です。
▼事業承継を成功させるための仕組み
- [1]計数という客観的なモノサシを用意する
- [2]行司役を交え、親子の甘え(または身内だから突っ込み過ぎる)を排除する
株価の高い会社の自社株対策について
税の側面からみた財産承継において、自社株対策はハズせません。創業者の最大の相続財産が自社株であることは多いはず。しかし、計算上の評価は大きくとも、実際に換金可能か?を考えると、簡単なものではありません。
同族関係に創業者の持ち株を勝手に移動すると、贈与税又は譲渡所得が発生します。この点で苦労されている方は多いでしょう。顧問税理士さんの腕の見せ所です。事前の対策をおすすめします。
組織づくり
次に、後継者が経営者として運営できる組織づくりへの着手です。後継者が承継するにあたり、風土改革を行い、後継者が経営しやすい体質づくりを行う。経営者・後継者は勿論、社員の皆さんにも意識改革を行ってもらうことです。
風土改革に必要なことについては以下の記事で解説しています。
会社は誰かが経営者をつとめなければ成り立ちません。以前に相談に来られた経営者の悩みです。
「後継者である息子を会社に入社させたが、幹部社員が息子を認めない。影で批判をしている。息子も嫌になって、会社を辞めたいと言い出している。」依頼を受け、この会社に訪問し、幹部の皆さんに伝えました。
「それでは、部長が代わりに経営者をやって頂けますか?借入保証行為もセットですよ?」
「後継者が辞めたら、誰が経営者をやってくれるのでしょうか?」
「だから皆さんで後継者を育てるのです。本来それは皆さんの役割ではないですか?部長は次の部長を育てていますか?」
そのことを機に本格的に事業承継に向けての動きがスタートしました。事業承継は、単なる財産の承継だけでなく、経営そのものの承継が大事だと言えます。それには、皆を巻き込んだ体質改善が必要です。
また、後継者の計数管理を学ぶ場として弊社では、
「実践後継者塾®」
「実践社長塾®」などを開催しております。
ご関心をお寄せでしたら、上記のURLからお申し込みください。
事業承継関連記事
- 詳細を見る
【狙い目】採択率6割・最大800万円『事業承継・引継ぎ補助金』
- 詳細を見る
事業承継を企業の成長・発展のチャンスと捉えよう!
- 詳細を見る
PMI(M&A後の経営統合作業)とは?M&A実施後のプロセスと成功させるためのポイント
- 詳細を見る
有限会社の事業承継のメリット・デメリットや注意点を解説
- 詳細を見る
後継者人材バンクとは?概要や利用方法を解説
- 詳細を見る
社長・代表取締役の交代時に必要な手続きについて解説
- 詳細を見る
持株会社を活用した事業承継とは?種類やメリット、デメリットを解説
- 詳細を見る
社長急逝時の対応と手続き「企業と親族の行動ガイド」
- 詳細を見る
サクセッションプランニングとは?必要性やメリットを解説
- 詳細を見る
経営者の高齢化に伴うリスクと対策について解説
この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
NBCコンサルタンツ株式会社は1986年の創業以来、会計事務所を母体とする日本最大級のコンサルティングファームとして数多くの企業を支援しております。4,290社の豊富な指導実績を持つプロの経営コンサルタント集団が、事業承継、業績改善、人材育成、人事評価制度など各分野でのノウハウをお届けします。