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人事評価制度にはどんな種類がある?評価基準も解説

2022.09.30

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人事評価制度を導入するにあたって、何に重きを置いて評価するといいのか、複数ある評価手法でどれが自社に合っているのかお悩みの方も少なくないでしょう。人事評価制度を導入する場合、経営ビジョンや戦略、社員の能力やスキルに応じた評価手法の選択が求められます。

当記事では、人事評価制度の概要と評価基準について解説した上で、人事評価手法の種類を7つご紹介します。評価手法のメリット・デメリットも併せて紹介するため、自社に合った評価手法を探している企業の上層部・人事部の方は、ぜひご一読ください。


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目次

1.人事評価制度の評価基準とは?

人事評価制度とは、社員の能力・スキルや企業への貢献度を評価し、その評価を基に社員の待遇などを決定する制度です。そのため、人事評価には公正に行う必要があります。

人事評価には3つの基準があり、それぞれの特徴は以下の通りです。企業が何を重視するかによって、どの基準をより評価するのかが変わります。

1-1.成果評価

社員が業務を遂行するにあたって、求められるスキルや知識をもっているかを評価します。業務の質や量などから判断できる一方、企画や事務、クリエイティブな業務は数値で判断できないため、成果の指標が必要となります。成果評価は、外的要因に関係なく評価することが原則です。

1-2.能力評価

社員に与えた業務の難易度や必要な知識・技術、その業務を達成するにあたって発揮した能力を評価します。能力評価を採用すると、社員のもつ能力と企業の目的が合致しやすい点がメリットです。一方で、評価者によって社員の評価に差が出るリスクもあります。社員の能力を適切に評価するためには、企業にルールを設けることが重要です。

1-3.情意評価

社員の仕事に対する姿勢を評価します。社員の働きや規律性を評価するため、被評価者を多面的に評価することが可能です。一方で、社員の内面は目に見えるものではないため、評価者のスキルによっては適切な評価が行えない可能性がある点に注意が必要です。

2.人事評価手法の主な種類7つ

人事評価の種類は多数あり、評価基準によっては複数の評価手法が採用されるケースもあります。社員をバランスよく評価するためには、いくつかの評価手法を組み合わせることも大事です。

ここでは、人事評価手法の主な種類7つの評価方法や評価できること、メリット・デメリットを紹介します。

なお、人事評価制度にはトレンドがあり、現在はジョブ型人事制度が注目されていることから、プロセスを重視する手法が話題です。人事評価制度のトレンドについては、以下の記事でも紹介しています。

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2-1.MBO

MBOの正式名称は「Management by Objectives」で、直訳すると「目標による管理」になることから、日本では「目標管理制度」と呼ばれています。運用方法としては、社員個人またはチームで目標を設定し上司の承認を得た上で、定めた目標に向かってPDCAサイクルを回し、結果(目標の達成度)を評価します。

企業や上司からの強制がないため、社員の自主性やモチベーションの向上を期待できる手法です。また、社員は自ら立てた目標に対する結果に対して、できたこと・できなかったことが分かるため、改善点を理解しやすい方法と言えます。

ただし、社員は自由に目標を設定できるわけではありません。社員が不満を抱くケースもあります。MBOは社員一人ひとりが設定した目標を基に評価するため、低い目標を設定される可能性がある点にも注意が必要です。

2-2.OKR

OKRの正式名称は「Objectives and Key Results」、意味は「目標と主要な結果」です。四半期ごとなど短期間で目標を設定し、目標の達成度を評価する手法となります。

混同されやすいMBOの違いは、OKRは高い目標を設定することです。社員はさらなる高みを目指すことになるため、自然に能力やスキルの成長を促せます。社員の挑戦心を刺激することもできるでしょう。また、OKRの目的は生産性の向上とコミュニケーションの促進であり、企業再生を目指すものではありません。

OKRでは、60~70%の達成率となる目標の設定が望ましいとされています。そのため、評価者は被評価者の目標達成度を人事評価に直接反映しないよう注意が必要です。

2-3.360度評価

360度評価は、一人の社員に対して仕事上の関係者すべてが評価を行う手法です。360度では執務態度をメインに評価するため、プロセスを重視できる評価手法と言えます。また、社員個人の能力を多面的に評価できることから、被評価者である社員は評価に対して納得を得やすいでしょう。

一方で、評価者の主観が入りやすく、業務と関係のない場面での私的な感情が評価に影響を及ぼす可能性もあります。他にも、評価者のスキルが不足していると適切なフィードバックが行えず、被評価者は改善点を見つけられないというケースも珍しくありません。360度評価を採用するにあたっては際は、評価者のスキルアップはもちろん、公平かつ客観的な評価が求められます。

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2-4.コンピテンシー評価

コンピテンシー評価は、企業内で高い成果を得ている人材をモデル化し、モデル化した人材の行動特性を基に具体的な評価基準を定めます。能力評価と似ていますが、社員の「行動」を評価する点に違いがあり、新しい評価手法だと言えます。

コンピテンシー評価のメリットは、人材育成を効率化できることです。業務で優れた成果をあげる人材をモデルにするため、被評価者となる社員はどのような行動が成果につながるのかを明確に理解できます。企業の経営ビジョン・経営戦略と評価の方向性を合わせやすいことも特徴です。

デメリットとしては、評価手法を導入するまでの道のりが長いことが挙げられます。コンピテンシー評価はテンプレートが用意されていないため、自社で独自の評価基準を定める必要があります。また、経営状況など環境が変化した場合、すぐに精度の高い評価項目に修正することが困難です。

2-5.バリュー評価

バリュー評価は、企業が定める価値観や行動基準に対して、社員がどの程度実践できたのかを評価する手法です。成果ではなく行動を重視するため、従来の人事評価とは評価基準が異なります。バリュー評価では多方面評価を行うことから、360度評価の一部と言えるでしょう。

コンピテンシー評価はモデルに沿った行動ができているのかを中心に評価するのに対し、バリュー評価では企業の価値観に沿った行動が取れているのかを中心に評価します。そのため、社員は企業の価値観に沿った行動力を養えます。一方で、企業の価値観に沿った行動は数字で示すことが困難なため、評価者の評価スキルが試される手法です。

2-6.ノーレイティング

ノーレイティングとは、社員にS、A、Bなどのランク付けをしない新しい評価手法です。従来の人事評価とは異なり、ノーレイティングでは定期的に1on1やコーチングを行うため、環境が変化した際は迅速な対応が可能となります。臨機応変に対応可能なため、社員の状況に合わせて短時間勤務や在宅勤務を導入しやすく、社員の満足度を向上につながる手法と言えるでしょう。

一方で、定期的に1on1などを行うため、上司の負担が増えるというデメリットもあります。限られた時間の中で行わなければならない業務が増える上に、高いマネジメント能力が必要です。評価者のスキルによっては、社員に不満を感じさせる可能性がある点に注意しましょう。

2-7.ピアボーナス

ピアボーナスとは、社員同士で報酬を贈り合う手法です。アメリカでは主流の手法で、日本でも中小企業・ベンチャー企業を中心に導入が進んでいます。

報酬といっても金銭のやり取りが発生するのではなく、感謝のメッセージやポイントを贈り合う仕組みです。企業によっては、ひと月ごとにポイントなどを換算し、社内で公表したり手当を支給したりするところもあります。

ピアボーナスのメリットは、メッセージなどを通してチーム内でのコミュニケーションが活性化することです。社員の良かった点が可視化されるため、ポジティブな環境を作れます。また、表面化されにくい内容へも評価しやすくなるため、優秀な人材の流出を防ぐことにもつながるでしょう。

ただし、ピアボーナスには専用のサービスを導入したり、企業によっては報酬を用意する必要があったりと、導入にコストがかかるというデメリットも存在します。また、社員が評価を得ることに集中してしまい、本来の業務が疎かになる危険性もあるため、メリット・デメリットをよく検討した上で導入しましょう。

まとめ

人事評価制度を設ける際は、企業の価値観や目的などに適した評価基準や評価手法を選択し、運用することが大切です。また、現状を理解し社員の不満を解消できる方法であるかも、併せて検討しましょう。

人事評価手法の主な種類としては、MBO、OKR、360度評価、コンピテンシー評価、バリュー評価、ノーレイティング、ピアボーナスが挙げられます。それぞれ、ねらいや評価するポイント、メリット・デメリットが異なるため、自社との相性をよく確認した上で導入する手法を決めましょう。

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人事評価制度を構築・運用するうえで最も重要なことは、公平・明確な評価の“ものさし”を設定し、それを社員にしっかりと説明、理解してもらうことです。具体的な指標や基準の設定方法、上手な運用方法にご興味がある方は、ぜひご参加ください。
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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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