社会人として長く勤めている人や、優れた能力を持った人は、チームをまとめるリーダーとして抜擢されることがあります。しかし、いきなりリーダーに選ばれた人の中には、自分にリーダーが務まるのか不安な人や、リーダーとして何が求められるのかよく分からない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、リーダーに求められる資質や、リーダーシップの6つのタイプについて解説します。この記事を読んで自分のリーダー像を具体的にし、リーダーとして活躍できるように努力しましょう。
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目次
1.リーダーのイメージから見えてくる資質は?
「良いリーダー」の素質を考える時には、自分自身がチームの一員として働いていた時に、上司に求めていた事柄を思い浮かべるとスムーズです。一般的な「良いリーダー」のイメージとして、以下の4つを挙げる人が多いのではないでしょうか。
- コミュニケーションスキルがある人
- 誠実な人
- 決断力がある人
- 行動力がある人
これらはどれも良いリーダーに必要な素質です。ここでは、リーダーに求められる4つの資質について、理由も含めて解説します。
1-1.コミュニケーションスキルがある
チームを統率し、指導していく立場であるリーダーには、人間関係を築くためのコミュニケーションスキルが必須です。チームで同じ目標に向かって取り組み、仕事を円滑に進めていくためには、チーム内で信頼関係を構築していく必要があります。
部下が持つ個性や考えは十人十色です。部下の個性を把握し、チームとしての意見をまとめていくためには、積極的なコミュニケーションを取らなければなりません。部下を教育し、適切な人員配置を考える上でもコミュニケーションは大切です。リーダーとしてチームを統率する立場になったら、コミュニケーションスキルを磨くことを意識しましょう。
1-2.誠実さがある
リーダーが部下に対して常に誠実であることは、信頼関係を築く上で重要な要素です。分からないことは分からないと素直に言い、チームに共有すべき情報はきちんと共有するなど、率直に話す誠実さが部下との信頼関係を築く鍵となってきます。
また、約束を守ったり、自分の仕事をきちんとやり遂げたりといった、社会人として求められることを着実にこなすことも、部下からの信頼を得る上で大切です。
1-3.決断力がある
リーダーは時に、思い切った決断を迫られることがあります。例えば、組織に前例のない仕事に挑戦する場合や、失敗したプロジェクトからの撤退を迫られている時などです。重要な決断が必要な時に、リーダーが自信なさげな様子を見せたり、一貫性がない言動をしたりした場合、部下は苛立ちや不安などのストレスを抱えます。自分自身の軸を持ち、いざという時に毅然とした態度で決断できる力が、リーダーには求められます。
1-4.行動力がある
ビジネスを成功に導くためには、アイデアを出すだけではなく、実際に行動して成果を出さなければなりません。そのため、自ら率先して行動し、チームメンバーにも行動を促す力がリーダーには必要です。
実際に行動するだけではなく、何のために行動するのか、なぜその行動が必要なのかを明確にし、部下のモチベーションを引き出すことも大切です。チームを引っ張っていくためにも、リーダーの行動力は不可欠でしょう。
2.イメージ通りのリーダーはどれ?リーダーリップの6つのタイプ
リーダーシップは、以下の6つのタイプに分けられます。
- ビジョン型
- コーチ型
- 関係重視型
- 民主型
- ペースセッター型
- 強制型
6つのタイプは、それぞれ特徴が異なります。そのため、まずは自分が抱いているリーダーのイメージはどれなのか、また自分はどのタイプのリーダーになるのが向いているのか考えることが大切です。
ここからは、6つのリーダーシップのタイプの特徴や、それぞれの優れている点について解説します。
2-1.ビジョン型
ビジョン型は、企業が目指している目標やビジョンを明確にして、チームを進むべき方向に導いていくタイプです。リーダーシップの6つのタイプの中で、最も前向きでカリスマ性が高いタイプと言えます。ビジョン型のリーダーは仕事のビジョンや方向性をはっきりと伝えられるため、夢や目標を同じくするメンバーが集まりやすいというメリットがあります。
ビジョン型の大きな特徴は、ゴールを明確に示す一方で、ゴールに到達するまでの方法や行程はメンバーに委ねるという点です。リーダーが補佐役となり、メンバーが主体となって仕事を進めることになるため、メンバーの自立心や帰属意識が高まります。
2-2.コーチ型
コーチ型は、文字通りリーダーがチームのコーチのような役割を果たすタイプです。リーダーとメンバーの1対1の関係性を重視し、メンバーの個々の目標をサポートします。メンバーの個性や長所・短所を把握し、個別にサポートをおこなうことで、モチベーションを高めるタイプです。
コーチ型のリーダーは司令塔のような役割であり、メンバーが主体となって業務を進めていく点はビジョン型と共通しています。
コーチ型のリーダーは、部下の考える力を育て、可能性を引き出すことができるのがメリットです。一方で、大人数の部下を一度に育てようとすると対応しきれなくなるというデメリットもあるため、注意しましょう。
2-3.関係重視型
関係重視型は、メンバー間の関係性を重視し、友好的な信頼関係を築くことで目標達成を目指すタイプです。関係重視型は良好な人間関係の構築に最も重きを置くため、メンバーにとって居心地のいい環境を作れる点が大きなメリットになっています。
注意すべきポイントとしては、リーダーとメンバー、あるいはメンバー同士が親しくなりすぎると、厳しい判断を下すのが難しくなることです。また、何か問題が起こった時に、責任の所在が曖昧になる恐れもあります。リーダーとしての方向性は、関係重視型だけに絞らず、他のタイプと併用するのがおすすめです。
2-4.民主型
民主型は、メンバーの声や提案を広く取り入れ、チームの活動や方向性に反映させていくタイプです。幅広いアイデアを集められるため、クリエイティブな意見やユニークな問題解決策が出ることが期待できます。民主型のリーダーは、メンバー全員の専門知識を効果的に活用できる点が大きなメリットです。
一方で、チームとしての意思決定に時間がかかる場合がある点が挙げられます。迅速な意思決定が求められるチームの場合、民主型は不向きと言えるでしょう。
2-5.ペースセッター型
ペースセッター型は、リーダー自身が具体的な手本を示し、メンバーに成功イメージを与えることでチームを導くタイプです。高い目標設定に対して、リーダーが率先して高いパフォーマンスを発揮することで、メンバーのモチベーションを向上させます。結果としてチーム全体の組織能力がプラスになる点が大きなメリットです。
ただし、ペースセッター型は、リーダーはもちろんチームメンバーも高い能力を持っていることが前提となります。リーダーと部下との間に能力差がありすぎる場合、リーダーのパフォーマンスの高さがメンバーを苦しめる可能性があるため注意が必要です。
2-6.強制型
強制型は、チームとしての意思決定をすべてリーダーがおこなうタイプです。リーダーは権力や圧力などの強い強制力を行使し、メンバーはリーダーが下す指示・命令に従って動きます。強制型のリーダーの元では、メンバーの自主性を伸ばすことができず、人材育成や次代のリーダー育成が進まないという点が大きなデメリットです。
しかし強制型は、災害や危機的状況などの緊急時に非常に高い力を発揮します。また、短期間で目標を達成しなければならない場合にも、強制型のリーダーシップが効果的です。
まとめ
リーダーには、コミュニケーションスキルや誠実さ、決断力や行動力といった資質が求められます。もしピンと来なければ、自分がチームメンバーだった時に、上司に求めていたことをイメージするのがおすすめです。
リーダーシップには、ビジョン型、コーチ型、関係重視型、民主型、ペースセッター型、強制型の6種類があります。それぞれ特徴や優れている点が異なるため、まずは自分がどのタイプのリーダーに向いているのかを見極めましょう。
「リーダーの力量以上に組織は伸びない。」
このような言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
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