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会計事務所を有する私共にとって以前から気になる論文があります。2013年にオックスフォード大学の教授らが発表した、『雇用の未来』に関する論文です。
有名なこの論文の中では、世にある702の職種・職業の中で、最もコンピューターにとって代わられる可能性のある12職種のうち3職種が経理・データ入力・納税準備と述べられています。
まさに、我々会計事務所の本来業務です。
会計業務がコンピューターにとって代わられる原因
上記3職種がコンピューターにとって代わられる原因は、この業務を担う人工知能にあります。
人工知能は、専門的な知識を必要とする作業や、繰り返しのパターンがある領域のデータ解析を、最も得意な領域としています。
そして、まさに会計業務は、個別の経済的な取引を専門的な知見から分類しつつも、90%を超える取引が反復して行われるという、この条件を満たす人工知能が最も得意とする業務なのです。
人工知能の処理能力は、成長することがあっても、後退することはありません。常に精度を上げ続けるマシンが、これまでの会社の帳簿の特性を読み込み、24時間休まず金融機関や電子マネーのデータを分析し続ける世界を考えてみると、経営者が手にすることができる強力な武器となることが、自ずとわかるでしょう。
10年後の経理・会計
2025年ごろの経理部や会計事務所の業務は、どのようなものになっているでしょうか。手作業から解放されたその世界では、経理部はより会社のデータを分析するための組織となっているでしょう。
また、会計事務所は、複数の会社に対して専門サービスを提供する見地から、経営者に対して業容拡大や効率性向上に向けたコンサルタントへと、その役割を転じていくものとなります。
このような時代を見据えて、会計事務所はどのような準備をしていけばよいのでしょうか。
私達の会計事務所では、会計事務所の本来的業務を税務申告業務から資金改善指導へとシフトしていっています。適切なアドバイスを、資金の観点から、また、さまざまな組織を知る人間としての観点から行っていく―。
しかしながら、従来の会計業務から、そのアプローチへの切り替えを行うことは容易ではありません。会計の専門知識を有し、最も経営者に近い存在である会計事務所は、企業の存続を決める資金改善指導へ移行していくこと。
これは、今私達が顧客に貢献できる最良のサービスであると同時に、私達会計事務所が10年後に生き残る術と考えています。
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NBCコンサルタンツ株式会社
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