経営状態が厳しい中小企業が「第三者の力」を使って、事業再生に取り組む場合の公的な仕組み・組織として、以下の組織があります。
- 経営改善支援センター
- 中小企業再生支援協議会
今回は、この似て非なる2つの仕組み・組織の「違い」について紹介をします。
目次
管轄省庁・場所
管轄省庁(経済産業省中小企業庁)は同じです。また、設置場所についても、同じ場所(県庁所在地の商工会議所など)にある場合が多いです。
対象企業
大きな違いは利用の可否について、支援協は原則「支援協が決定」する一方で、支援センターは「企業が申し込みをすると原則利用可能」ということです。
また、企業の状態として、支援協は原則「要注意先以下」の企業が対象になるケースが多く、支援センターは「正常先」でも利用可能です。
金融支援・銀行交渉のフォロー
より難易度の高い交渉が必要な金融支援(DDSや第二会社)は、支援協の方が「得意」と考えて良いと思います。
支援協は、その地方の金融機関OBが多く在籍していますので、銀行交渉の入口段階は、スムーズに進みやすいと思います。
一方で、支援センターを利用した場合、銀行交渉は企業と専門家が行い、支援センターは関与してくれません。
この銀行交渉のフォローの有無について、どちらが良いか?はケースバイケースだと思います。
支援協のフォローは(第三者の立場として)ある程度、決まったルールに基づいています。よって、うまくハマると良いのですが(場合によっては)企業にとって「不自由さ」を感じることもあるかもしれません。
計画策定に関する専門家の紹介・選定
上述の通り、支援協はより「第三者の立場」としての性質が強いため、原則、顧問契約を結んでいない(利害関係の無い)会計士・税理士などの専門家に計画策定のフォローをお願いすることになります。
一方で、支援センターは専門家の選定は企業に任されていて、従来から付き合いのある顧問税理士などを選定することが可能です。
この点についても、とちらが良いか?はケースバイケースだと思います。
事業再生の経験が豊富な顧問税理士であれば良いですが、必ずしもそうとは限りません。一方で、支援協から紹介していただける専門家は、事業再生の経験が豊富です。
補助金の金額に関するルール
この2つの仕組み・組織を利用した場合に、必要な費用の一部について国から補助を受けることができます。
いくつかの都道府県の支援協のWEBサイトを確認しましたが、明確なルールについて説明しているものはありませんでした。
しかし、私の経験した事例を鑑みますと、必要な費用の一部について補助を受けることが可能だと思います。
一方で、支援センターについては、WEBサイトで明確に補助金の金額に関するルール(費用の3分の2、上限200万円)が明記されています。
また、ほとんどの都道府県において、実際に利用を検討している段階(事前相談)で、補助金の金額を教えていただくことが可能です。
この点については、支援センターの方が使い勝手は良いと思います。
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中小企業再生支援協議会と経営改善支援センターの違いとは?
この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
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