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人事評価制度の作り方|導入の手順とポイントも解説

2022.08.08

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人事評価制度は、従業員の人材育成などを目的として、従業員の仕事への取り組みや功績を評価し、処遇に反映する仕組みです。制度を運用するには、自社に合った制度を導入する必要があります。

まず必要なのは、制度を導入する自社なりの目的の明確化です。それから評価の基準や手法、担当者を決めて明文化すれば、大まかな形が見えてくるでしょう。

当記事では、人事評価制度の作り方と制度作りのポイントをご紹介します。制度の導入を検討している企業の方は、ぜひ当記事を参考にしてください。


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目次

1.人事評価制度の作り方

人事評価制度を導入し、適切な評価を行うと、従業員のモチベーションや生産性の向上が期待でき、人材育成や企業成長などの面で大きなメリットが得られます。

 

では制度を作成する際には、どのように検討を進めるとよいのでしょうか。厚生労働省による「職業能力評価基準導入マニュアル」をもとに、4つの手順に沿って解説します。

出所:厚生労働省「職業能力評価基準導入マニュアル」

1-1.人事評価制度の目的を決める

まずは自社の抱えている課題を明らかにしましょう。課題の解決策を探る中で、何のために評価を行うべきかが、おのずと定まります。人事評価の目的を設定することは、制度を作成する上で重視すべき点や優先順位の判断基準となります。目的に沿った仕組みづくりをしましょう。

次に代表的な目的として3つの例を挙げ、解説します。

  • 人材育成
    人事評価に基づいて従業員の仕事ぶりや業績を評価し、キャリアの道筋を示すと、企業の必要とする人材の効率的な育成につながります。また、評価基準の明確化により、従業員も業務遂行上の努力の方向性が認識できるでしょう。
  • 企業理念やビジョンの共有
    企業理念やビジョンには、企業の求める人物像や行動指針が示されています。従業員を組織の一員として育てるには、企業理念やビジョンの理解と浸透が重要です。
  • モチベーションの向上
    日ごろの業務への姿勢や取り組み方を正当に評価されると、従業員の仕事へのモチベーションが上がります。給与や等級など、目に見える形での周知も仕事への意欲をかき立てるでしょう。

目的が曖昧なまま制度の運用を始めると、評価が形骸化する危険性があります。制度の導入時のみならず、実際に運用が始まってからも常に目的を意識して評価に取り組みましょう。

人事評価制度を導入するときに外せないポイントについては以下の記事で解説しています。

1-2.人事評価の基準を作る

人事評価を行う目的を定めたら、次にどのような基準で評価をするのかを検討します。一般的に評価基準は、以下の3要素から構築されます。

成果評価

評価基準の中で最も分かりやすい要素です。特に営業職などの場合、実績が数値で可視化できるため評価が比較的容易です。数値で示せない業績については、課題における目標の達成度などを評価します。

能力評価

成果とは関係なく、従業員が業務に取り組む上で必要となるスキルそのものを評価します。企業の求める能力は、知識力や企画力、実行力などです。

情意評価

日ごろの勤務態度や業務への意欲、取り組み方などへの評価です。具体的には協調性や積極性などで、個人の性格や特性によるものが大きい傾向にあります。

厚生労働省では「職業能力評価基準」を公開しています。人事評価の基準に悩む場合は、活用するとよいでしょう。さまざまな業種や職種に合わせてカスタマイズできます。

出所:厚生労働省「職業能力評価基準について」

1-3.人事評価を行う手法を決める

人事評価にはさまざまな手法がありますが、ここでは代表的な手法を4つ紹介します。

MBO(目標管理)

MBOは従業員が自分で課題や目標を設定し、その進捗や達成度合いで評価を行う手法です。従業員が主体的に動ける上に、課題や目標の達成までの過程でスキルアップが期待できます。一方で、上司のフィードバックが必要となるため、管理職の高度なスキルが不可欠です。導入する流れとしては、まずは組織全体、次に従業員の目標設定やプランの作成、最後に上司による評価とフィードバックが行われます。

OKR

OKRは企業目標を部署やチーム、個人へと細分化して設定し、具体的な成果を目指す手法です。メリットとしては、組織における一体感の醸成や、コミュニケーションの円滑化が挙げられます。一方のデメリットは、導入や運用における人手と手間の大きさなどです。導入の流れは、まず企業全体に始まり、次に部署やチーム、個人の目標設定をします。次に定期的な1on1面談による進捗管理とフィードバック、最後に評価を行います。

コンピテンシー評価

コンピテンシーとは、高い成果を上げる優秀な人材の行動特性です。つまりコンピテンシー評価は、モデルとなる人材の行動特性を評価基準とする手法です。具体的な行動が評価項目となるため、基準が明確というメリットがあります。一方で、評価基準が曖昧になる点がデメリットです。導入の流れとしては、まずモデルとなる人物像を決め、行動特性を洗い出します。次に評価基準を定め、それに基づいた評価を行います。

360度評価(多面評価)

360度評価は、本来なら上司が1人で行う評価を複数の評価者により行う手法です。さまざまな人間の視点が入るため、評価の精度が高くなり、従業員の評価に対する納得度の向上がメリットです。しかし、評価者が複数人いるために、評価者の選定や評価の取りまとめに時間がかかります。導入の際には、評価項目や基準をしっかり精査してから評価とフィードバックを行う必要があります。

1-4.評価担当者を決める

どのような評価基準や手法を採用しても、実際に評価を下す評価担当者の判断が評価を左右することには変わりありません。基本的に評価者は、被評価者である部下の直属の上司です。評価者はあくまでも客観的に、公平な評価を行わなくてはなりません。個人の主観が評価に影響することを、評価エラーと言います。エラーには以下の7種類があります。

  • ハロー効果
    抜きん出た印象に引っ張られ、無関係の項目の評価に影響が出る。
  • 中心化傾向
    5段階評価の真ん中である3など、無難な評価ばかりする。
  • 寛大化傾向
    周りの目を気にして、全体的に甘い評価をつける。
  • 逆算化傾向
    先に最終結果を設定して、そこに行き着くように評価を調整する。
  • 論理誤差
    事実とは無関係な先入観や思い込み、勝手な論理付けで評価を行う。
  • 対比誤差
    評価者自身の知識やスキルを基準にして評価を行う。
  • 期末誤差
    評価期間の後半の出来事に影響を受け、評価期間全体を通した評価をしない。

評価者はこれらのエラーに注意して評価を行わなければなりません。スキル向上のために、評価者研修やセミナーへの参加や、社内での勉強会の開催などを検討しても良いでしょう。

2.人事評価制度を作る際のポイント2つ

手順を踏んで人事評価制度を構築したからと言って、評価がすべての従業員に受け入れられるとは限りません。人事評価制度を作る際は、運用方法にも気を配る必要があります。

ここでは、制度の導入と運用をスムーズに進めるために、確認しておくべきポイントを2点、ご紹介します。

2-1.運用方法を明確にする

評価を公平かつ正当に行うのは、容易ではありません。しかし、評価の運用を適切に行わなければ、従業員に不満を抱かせたり、反感を買ったりする可能性があります。特に運用方法はきちんと決めて明文化し、社内で共有するべきです。そうすれば従業員は、人事評価を通して自らの課題や目標を見いだし、意欲を持って職務に取り組めるでしょう。

運用方法の明確化には、人事評価制度のマニュアル作成がおすすめです。マニュアルがあると、評価基準が明確になり、評価者は評価が行いやすくなります。評価エラーの発生も抑えられるでしょう。評価される側の従業員も評価項目や基準が分かり、納得を得やすくなります。

2-2.現場の意見を取り入れる

評価制度の作成は、人事部門が担うケースがほとんどでしょう。しかし、人事担当者が現場の状況を正確に把握するのは困難です。現場の状況がしっかり反映されていない場合、制度の運用がうまくいくとは限りません。

評価制度を導入する際には、人事部門だけで作成せず、現場の従業員も巻き込むのも有用です。現場の意見を取り入れることは、従業員の働きや能力の可視化につながります。現場の従業員にとっては、企業の理念やビジョン、方向性を再認識するきっかけにもなるでしょう。人事評価制度の導入そのものが、組織全体の活性化につながることも期待できます。

なお、すでに人事評価制度を導入している企業様もあるかと思います。その場合、是非一度自社の人事評価制度がうまく運用できているかチェックしてみてください。

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まとめ

人事評価制度を作る上で最初に行うのは、目的の明確化です。目的を意識して制度の導入に取り組むことで、自社ならではの制度を作れます。制度の目的を明確にしたら、評価の基準と手法、評価者の決定を行います。目的さえ明確であれば、スムーズに制度の構築を進められるでしょう。

人事評価制度を作る際は、現場の声を取り入れたり、マニュアルを作成して運用方法を明確に示したりするのがおすすめです。どちらも従業員の評価に対する納得感を高める効果が得られるため、運用がよりスムーズになります。

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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